見出し画像

「ジョブ型」の誤解に思う

しかし、昨年来の第2次ブームの中では、ジョブ型雇用が必ずしも正しく理解されていないと感じる場面も多い。まず、多くの誤解は定義に起因している。具体的には、ジョブ型の対義語をメンバーシップ型として、メンバーシップ型を日本的雇用システムの同意語としてしまう誤りである。これでは、日本的雇用システムにはない特徴が全てジョブ型に含まれることになってしまう。解雇自由しかり、成果主義しかりだ。(上記記事より抜粋)

日経新聞の「ジョブ型」の誤解を正す。という記事が興味深かったです。こういった言葉の定義や概念なんかを理解するのが好きなんです。(「正す」という言葉はあんまり好きじゃないですが)
今まで結構な回数ジョブ型雇用については取り上げてきたんですが、自分でもあやふやな箇所があったなぁ、と反省しました

ジョブ型の反対はメンバーシップ型

ジョブ型雇用を、日本型雇用(正社員の解雇が難しい、年功序列で勤続年数に応じた給与体系等)の対義語と捉えると、解雇自由な、成果主義の雇用形態だと誤った認識をしてしまいます。

ジョブ型の概念を提示した労働政策研究・研修機構所長、濱口桂一郎氏の意図は、ジョブ型=就職、メンバーシップ型=就社という対比である。
(上記記事より抜粋)

上記に書かれているように、本来ジョブ型の対義語はメンバーシップ型であり、メンバーシップ型は日本型雇用の要素ではあるものの、そのものではありません。そもそも、解雇が難しいのは法律や判例によるところが大きいですしね。

よって、メンバーシップ型からジョブ型になるからといって、何もかもが正反対になる訳ではないよと言うことです。

ジョブ型と言えば、ジョブディスクリプション

ジョブ型と言えば、各々の仕事にジョブディスクリプションが整備されることなんでしょ?と考えている方も多いですが、そもそも「ジョブ型は採用・異動も要は公募と考えれば理解しやすい。」と上記記事の鶴光教授は仰っています。

つまり、ジョブ型になるからジョブディスクリプションを準備するのではなく、公募をするためには、職務内容が明確になっている必要があり、ジョブ型の過程でジョブディスクリプションが整備されるという流れです。

逆に言うとジョブディスクリプションがあっても、採用・異動が公募されていない場合(被雇用者には選択権がなく、人事部の鶴の一声で職務が決まるような場合)はジョブ型と言えないそうです。

ジョブ型と言えば、成果主義

ジョブ型と成果主義はどちらも、給与体系において、日本的雇用の年功序列を基にしたものとは全くの別物ですが、ジョブ型は職務内容によって賃金が変わり、成果主義は成果によって賃金が変わるので、その二つが同じものではないことはすぐにわかると思います。

ただ、上記記事の鶴光教授によると「ジョブ型を企業に売り込む側がジョブ型を成果主義の隠れみのにしたいという下心を感じる」とのことなので、その2つが同一であるか、内包しているかのような誤解を招く表現が、世の中には氾濫してるのだろうと思われます。

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?