給与平均の誤解に思う。
新型コロナウイルス禍が賃金に影を落としている。厚生労働省によると2020年度の1人当たり現金給与総額(月平均)は前年度比1.5%減の31万8081円となり8年ぶりに減少した。経団連の集計では21年の春季労使交渉の賃上げ率も8年ぶりに2%を割り込んだ。足元では緊急事態宣言が延長され、雇用環境の改善は遅れている。賃金の下押し圧力は長引く懸念がある。(上記記事より抜粋)
上記の記事をボーッと読みながら「みんな、意外と給与あるのね」と思ってました。コーヒーを飲んで目が醒めてくるにつれて、上記の感想は正しくないなと思えてきたので、自分の理解を深めるためにもまとめておこうと思います。
そもそも、ここで私が思ったみんなと言うのは、一般的な人です。更に掘り下げると給与分布のボリュームゾーンにいる人たちのことを差しています。まぁ、そこまで考えずに定義が不明瞭なみんなという言葉を使っていたのが実情ですが。
平均はあくまで平均
上記記事の平均ですが、(支払われた給与額の総額)/(それをもらった人数)で算出されており、労働人口(分母)が変わる状況下で、「給与って上がってんの、下がってんの?」を把握するために出されている数字です。
なので、個人が貰っている給与額と紐づけること自体が誤認を生みますし、ボリュームゾーンの人の給与額とはおそらくズレています。
平均の誤解
とはいえ、子供のころから平均と言う言葉は、「真ん中ぐらい」と言う意味で使われてきました。テストの平均点とか、平均身長・体重とか。
これは、それらの分布が以下のように正規分布(ベルカーブ)だったからです。
正規分布であれば、平均と言う言葉に「真ん中ぐらい」と言う意味が乗っかっても不自然ではない、と言うのは上図を見てもらえればわかるかと思います。
蛇足
ちなみに、上記のグラフは以下のサイトで出した17歳男性の身長分布なんですが、このサイトなかなか良いです。PDFで提供されているいまいちデータもあるようなので、すべてで可能なわけではないですが、政府の統計情報にアクセス出来て、さらに自分が出したいグラフの作成までサイト内で完結できます。今度詳細を紹介したいぐらい良いサイトです。
給与分布はベルカーブじゃない
給与分布が見つけられなかったので、厚労省が発表した世帯所得分布を見てみました。個人の給与所得とは全く別物ですが、同じような分布の形になるんじゃないかと思っています(勘)。
上図を見てもらえれば、給与・収入に対して使う平均と言う言葉に「真ん中ぐらい」と言う意味を乗せるのが間違いになるというのはお分かりいただけると思います。こういった状況(正規分布以外)で「真ん中ぐらい」を知りたい場合はその言葉通り「中央値」をとるのが良いと思います。
ただ、ロングテールが長くなればなるほど、「中央値」もボリュームゾーンとはズレるので、可能であれば都度、各種の統計情報を確認して全体像を掴むようにしたいものです。
まとめ
「平均=真ん中ぐらい」と一概には言えない、中央値もボリュームゾーンとは別物。
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