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感想

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#朝井リョウ

朝井リョウ著『スター』11の感想

Youtuberのマネジメントと、動画配信サービスをやっている会社で働く紘は社長からやらせを持ちかけられる。と言う話。 誰もが発信できる世の中になったということは、発信者目線で語られがちだと思うんですが、この章は消費者目線で考えるきっかけになりました。 消費者目線で考えると、誰もが発信できるようになったことで出会えるコンテンツが豊富になりました。コンテンツが豊富と言うことは自分の好みに合ったコンテンツを見られる時間が増えるという良い面があります。 自分が好きなゲームのプ

朝井リョウ著『スター』8の感想

作品の質を高めることよりも、クリエイターが有名になることの方が、作品を多くの人に届けられるということが書かれています。 これは、インターネットの発展などにより個人の発信力が高まったため、有名になってしまえば、多くの人に作品をおすすめすることが可能になったことと、多くのコンテンツがコンシューマーの可処分時間を奪い合っている現代において定義の安定しない質の高い作品よりも、知っているあの人が作った作品の方がより選ばれることが原因です。 そんなこんなで、現代のクリエイターは作品の

『風と共にゆとりぬ』を読んで

読みながら声を出して笑い、小学生の頃にさくらももこさんの『もものかんづめ』や『さるのこしかけ』でエッセイの面白さを知ったことを思い出しました。 大学時代が中心の前作と違い、今作では兼業作家だった頃と専業作家になった後の話が中心でした。色々と面白い話があったんですが、第三部が強烈だったので他の印象が飛んでしまいました。 第三部は「痔瘻」の話です。 私が若くて週に2、3日だけ働いて、後は家に引きこもっていた頃、バイト先で聞いた怖い病気の名前が「痔瘻」でした。当時無闇やたらと

創作の未来を『ままならないから私とあなた』に思う

今日も『ままならないから私とあなた』の感想を書いていきます。 薫は雪子の目的を見誤ったため受け入れてもらえなかったわけですが、コンシューマーには受け入れられたようでした。これは創作の将来を暗示しているのではないでしょうか。 AIが創作する未来音楽を聞いたり、映画を見たり、小説を読んだりするのは、何かしら心動かされたり、癒されたりするからだと思うのですが、将来的にはそういった創作物で人を喜ばせることは人間のクリエイターよりもAIの方が上手くやれるようになるのでは無いでしょう

「ままならないから私とあなた」を読んで思うこと

あなたが見ている世界は、ほんとうに「正しい」世界なの? 天才少女の薫と平凡な雪子――二人の友情の行方は 天才少女と呼ばれ、成長に従い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。すれ違う友情と人生の行方を描く表題作。 (Amazonの商品紹介原文まま) 朝井リョウ氏の『ままならないから私とあなた』を読んだので感想を書いていこうと思う。めっちゃ面白かったので、みんな読んでみるといいと思う。掲載順とは異なるが、個人的には「レンタル世界」より