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南国のAIによる技術サポート事情

以前、南国で自宅のインターネット回線が突然切れてつながらなくなりました。

コロナ禍でリモートワークの折、死活問題です。インターネット回線は電話会社がプロバイダーとなっていて、アプリで回線の自己診断ができるようになっています。アプリの自己診断を起動すると、ルーターに問題があるので技術サポートに電話してくださいと表示されました。

指定された電話番号に電話すると、生身の人が電話口に出てくるのかと思いきや、「AIの自動音声が対応いたします」と言います。「あなたの問題を普通にお話しください」といわれたので、「最近のサポートはすごいな、普通に話した文脈からどうやって問題点を判定するのだろう。どんなアルゴリズムで解析するのかな」などと感心しながら、できるだけわかりやすく説明しようと英語で一生懸命説明しました。

「インターネット回線が突然切れてしまいつながらなくなりました。アプリで自己診断をしたところルーターに問題があると言われ、こちらに電話するように言われました。リモートワーク中ですぐにインターネットにつながらないと困るので、すぐになんとかしていただけないでしょうか?」といった内容を、一文一文区切りながら、主語述語をはっきりさせて頑張って説明しました。

しかし、AI音声は私が頑張って説明した後に一言「何言っているかわかりません」と、完全にサンドウィッチマンのコントを再現してくれました。

わたしは思わず「サンドウィッチマンか」と声に出して突っ込みましたが、AI音声は笑いもせずに「もう一度くりかえしてください」と非情に繰り返すばかりでした。

私は心折れてしまい、なんとかチャットでのサポート受付を探し出し(これもAI対応でしたが)、やっと「テクニシャンを派遣いたします」との回答を得ることができました。

その後1時間ほどでテクニシャンが来てくれて、ルーターを取り換えてもらい、無事インターネットにつながりました。

AIにここまで対応させてしまうなんてすごい国だなと思うと同時に、必要なサポートを受けられるところまで到達できずに、私のように心が折れて挫折しそうになる人も多いのではないかとちょっと心配になりました。

まあ、南国の人々はちょっとやそっとじゃ心折れなさそうですし、強力なネゴシエーターが多いので、むしろお互いAI対応ぐらいのほうが良いのかもしれません。

家族は日本にいて南国に単身赴任中でしたし、コロナでリモートワークが始まったばかりの頃でほとんど人に会う機会もなかったので、人恋しさもあって、生身のテクニシャンが家に来てくれた時はちょっとうれしかったです。AIの塩対応にはちょっと寂しさが増しましたけれど。

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