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兄の友達のスペシャリストたち

小学校低学年くらいまで、私は兄の後ろにくっついてばかりいました。

兄は自分の友達の家に遊びに行くときも、私が後からくっついていっても、特に文句も言わず一緒に遊んでくれました。そして兄の友達も私がくっついていっても、普通に受け入れてくれました。

兄の友達にはすごいスペシャリストたちがいました。

一人は魚釣りのスペシャリストで、釣り道具のことや釣りの仕掛けのことなど、ものすごく知っていました。当時釣り堀が近所にいくつかあって、一緒に連れて行ってもらったことがあります。本当に釣りに関しては何でも知っているようでした。

私たち兄弟は、最初は釣り堀で借りた道具で釣っていたのですが、兄も私も、自分の道具を持ちたいというと、本当に懇切丁寧に釣り道具の選び方を教えてくれました。釣り道具屋よりも詳しいのではないかと思ったぐらいでした。

私の釣りブームは兄の交友関係の変化とともに終わり、そのスペシャリストに選んでもらった釣り竿は、私の最初で最後の釣り竿となりました。それでもしばらくは近くの池や川での魚釣りに活躍していました。

兄の友達のもう一人のスペシャリストは、蝶採集のスペシャリストです。

その人は、採集した蝶を本格的にバルサで作った展翅版で羽を広げて乾燥させて、まるで博物館の展示品のように名札を付けてきれいに整理して標本にしていました。日本全国に採集行っていたようで、図鑑でしか見たことがないような珍しい蝶の標本を見せてくれました。

この友達の影響を受けた兄も、かなり蝶の採集や標本作りはまっていました。兄の友達は、きれいな標本をつくるテクニックや、蝶を傷つけずに採集するテクニックなど、私たち兄弟にいろいろと教えてくれました。珍しい蝶がとれる場所や時間帯も教えてくれました。

私は、友達の影響を受けた兄の影響を受けて、見よう見まねで蝶の採集と標本づくりを体験させてもらいました。蝶採集用の柔らかい網を買ってもらったり、珍しい蝶をつかまえるぞーと、夏休みに朝早くから出かけて行ったり、わくわくするような時間を味わいました。

兄の友達のスペシャリストたちは、子供のお遊びレベルなんてものではなく、本格的にのめりこんでいる人たちでした。

兄も私もそこまで本格的にのめりこめませんでしたが、興味ある事をとことん突き詰められる人たちが、こんなに身近にいたことが、今思うととても貴重だったなと思います。そして、幼かった私にも優しく接してくれて、対応も大人だったな、ありがたかったなと、いまさらながらに思います。

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