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国際司法裁判所がイスラエルのパレスチナ占領政策に対し勧告的意見

国際司法裁判所 (ICJ)が2024年7月20日にイスラエルによるパレスチナの占領政策が国際法に違反し、イスラエルにはユダヤ人の入植活動を停止する義務があるとする、勧告的意見を出しました。

[NHK NEWS WEB 2024年7月20日 2時33分]

[BBC NEWS JAPAN 2024年7月20日]

外務省の「国際司法裁判所 (ICJ)について」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100028728.pdf) ではICJについて以下のようにその意義と特色について説明しています。

国際法に基づく国際紛争の平和的解決 : 国際司法裁判所(ICJ)は、国際法に基づく裁判で国家間の紛争を平和的に解決することを任務として、1945年に設立。国際連合安全保障理事会及び総会の選挙で選ばれた15名の独立・公平な裁判官により構成され、オランダのハーグに所在。
国連の主要機関 : ICJは、国際連合憲章により、国連の「主要な司法機関」とされ、国際の平和と安全など国連の目的の実現のために活動。ICJには、国家間の紛争を解決する裁判手続のほかに、国連の諸機関の求めに応じて法律問題について勧告的意見を述べる手続がある。
普遍的な裁判所 :地域的な裁判所と異なり、全国連加盟国は自動的にICJ規程の当事国となる。また、国際法の特定の分野に特化した専門的な司法機関と異なり、ICJには国際法上の全ての問題を付託できる。ICJは、このような普遍的性格をもった唯一の国際司法機関。
国際法の発展 : ICJは、国際連盟期の1921年に設立された常設国際司法裁判所(PCIJ)を前身とし、国際法解釈を通じて長年国際法の発展に寄与。その判決や意見には高い権威が認められている。
付託件数の増大-司法的紛争解決への期待の高まり : 冷戦中の1960年代から1980年代にかけて、東西の政治対立等を背景に、ICJへの紛争付託件数は伸び悩んだ。しかし、近年、国際法の各分野で司法的紛争解決が注目を集める傾向にあり、ICJも活況を呈してきている。2021年1月現在、ICJには14件の紛争が付託されており、紛争当事国も世界の各地域にわたっている。これは、国際社会における実効的な紛争解決機関として、ICJが信頼を寄せられていることの表れ。

国際司法裁判所の勧告的意見については、国際連合広報センターのページに以下のような説明があります。

判決とは異なり、勧告的意見はそれ自体拘束力を持たない。それを実施するか否かを決めるのは勧告的意見を求める国連の機関もしくは専門機関である。実施も自分たちでできる手段を通して行う。時には、紛争が生じた場合、機関が裁判所の勧告的意見を求めることに国家や国際機関が同意する。そして、両当事者はその意見を最終的なものとする。国家や国際機関がその法的実務において裁判所の意見を考慮することは国際法の発達を助長する。

今回の勧告的意見は2022年12月の国連総会決議がイスラエルのパレスチナ領土の長期にわたる占領・入植・併合がもたらす法的結果に関する勧告的意見を求めたものに対して答えたものです。ICJの今回の勧告は今後、国連総会に送付され、国連総会が対応を決定することになります。

イスラエルによるパレスチナ占領について、ICJが法的判断を示すのは今回が初めてだそうです。

今回の勧告的意見では、イスラエルのパレスチナ占領地での駐留は国際法違反であるとしています。占領の継続について「パレスチナ民族の自決権の行使を長期にわたりはく奪し、基本的権利を侵害している」と指摘しており、私たちの懸念を反映した画期的内容と言えると思います。

国連がこの勧告的意見に基づき早急に行動を起こすことを期待します。

これとは別に、南アフリカは2023年12月29日に、イスラエルがガザ地区でパレスチナ人に対するジェノサイドを行っているとICJに訴えています。これに対しICJはラファへの攻撃停止を命じる仮処分(暫定措置)を出しています。

暴力や人権侵害に対する国際的な包囲網が強化されていくことを願います。

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