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広島原爆投下から78年

昭和20年(1945年)8月6日午前8時15分広島に原爆が投下されました。まさにこの文章を書いている朝のこの時間です。

日本は世界で唯一実際に核兵器が戦争で使われて、その悲惨な現実を身をもって知る国です。

2023年5月に広島で開催されたG7サミットで発表された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」では核抑止力に固執する一方、核兵器禁止条約については全く触れられていません。

[外務省 「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」仮訳]
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100506500.pdf

「広島ビジョン」が「全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認する」として核兵器のない世界の実現を究極の目標としつつも、「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」と核抑止に固執していることに対し、今日の広島平和記念式典で松井一實広島市長は、「核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取り組みを早急に始める必要があるのではないでしょうか」と述べています。

私も全くその通りだと思います。核で世界を威嚇するロシアも核兵器不拡散条約(NPT)で核保有が認められた国なのです。

世界には核兵器自体を禁止しようとする核兵器禁止条約というもう一つの大きな流れがあります。核兵器禁止条約の内容については広島市のホームページにもその概要が簡潔にまとめられています。

この条約では核兵器の開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移譲、使用、使用の威嚇などの活動を、いかなる場合にも禁止しています。この条約に署名し批准する核を持たない国々のコミットメントほど、核兵器をこれ以上世界に拡散させず、核兵器の危険から世界を守る力強いコミットメントはないと思います。日本の広島から発せられた「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の中で、また、今回の広島平和記念式典での岸田首相の発言の中で、この核兵器禁止条約について全く触れらないということが私は残念でなりません。

被爆者の高齢化が進み、だんだん被爆者の声が直接届きにくくなる中で、ふりしぼる広島、長崎の声を日本政府にはぜひくみ取ってほしいと思います。


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