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サンドバッグという名前なのに、砂は入っていない【5/19はボクシングの日】


本日、5月19日はボクシングの日です。
1952年の今日、白井義男が世界フライ級チャンピオンのダド・マリノに判定勝ちし、日本初のボクシングの世界チャンピオンになりました。これを記念して、日本プロボクシング協会が制定したのがボクシングの日なのです。

本日はこのボクシングに関する雑学をご紹介します。

砂がないのにサンドバッグ!?

ボクサーといえば、いつも厳しいトレーニングで自分を追い込んでいる姿を想像しますね。ひらすら走り込んだり、シャドーボクシングをしたり、サンドバッグを殴ったり、など非常にハードなトレーニングを体力や技術を高めています。

この練習のときに使うサンドバッグですが、じつは意外な秘密がありました。
「サンド」というからには、中に砂がたっぷり詰まっている、と思う人がいるかもしれません。しかし、じつは砂など一粒も入っていないのです。

工事現場や洪水防止のために使われる土のうを思い浮かべれば、砂が詰まっているとどれだけ大変なのかわかると思います。

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土のうをいくつも持つことができないように、砂を大量に詰め込むと、かなりの重量になります。実際にサンドバッグと同じような大きさの布に詰めて吊るしてみたとしましょう。そうなると、もう運ぶことも困難なくらいの重さになって、きっと天井のボルトも抜けてしまいます。

また、砂は湿気によってどんどん固まってしまう。さらに重さによって、下のほうはさらに硬くなります。それこそ石のようになります。
さすがにパンチ力を鍛えているボクサーでも、そんなに硬いものを殴ると、拳を傷めてしまい、練習になりません。

とりあえず砂を詰めた過去

では、砂でなければ、サンドバッグのなかにはいったい何が詰まっているのでしょうか。

その答えは、です。
ボクシング用品メーカーによれば、フェルトやナイロン、メリヤスなどの生地やスポンジなどの布切れが詰まっているのだそうです。
砂かと思いきやふにゃふにゃの布の集合体とは、ちょっと拍子抜けした気分ですね。しかし、それほど柔らかいものでなければ、あんなにバンバンと殴ったりすることなどできません。

では、なぜ布が入っているのに「サンドバッグ」なのでしょうか。布なら、「クロスバッグ」と呼んだほうが実態に即していますし、わかりやすいです。
しかも、サンドバッグと呼ぶのは日本だけで、海外では「トレーニングバッグ」や「パンチングバッグ」と呼ぶのが一般的です。なぜ、日本だけがサンドバッグなのでしょうか。

その答えは、日本にボクシングが伝わったときにまでさかのぼります。
日本でボクシングが始まったのは、1921年です。渡辺勇次郎が東京・下目黒に「日本拳闘倶楽部」を設立した1921(大正10)年12月25日を始まりとしています。(が、日本プロボクシング協会HPでは幕末説も示唆されています)

このとき、アメリカからトレーニングバッグも持ち込まれました。しかし、当時の日本人には何が入っているかわかりませんでした。そこで、とりあえず砂を詰め、サンドバッグと呼んでみたのです。

しかし、いざ殴ってみよう! となると、硬くてとても殴れたものではありません。そして中身は布などの柔らかいものに入れ替えられましたが、サンドバッグという呼び名だけが定着してしまったのです。


参考資料:
『「見るだけ」で楽しい!「ビジュアル雑学」の本』博学面白倶楽部(三笠書房)
日本プロボクシング協会HP


Ⓒオモシロなんでも雑学編集部

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