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選ばれし者しか踏み入ることができない超シークレット島が日本にある!?【6/24は小笠原諸島が世界遺産に登録された日】

(昨日、慰霊の日は投稿を控えました)

今日は、小笠原諸島が世界自然遺産へ登録されることが決定した日です。

小笠原諸島は、東京都小笠原村に属する大小30余りの島々のことです。東京都に所属しているものの海上約1000kmも離れた位置にあります。
この島々には独特の生態系が築かれ、固有の動植物の宝庫であることから、この自然を守るため2011(平成23)年の今日、世界遺産登録となりました。

特定の人しか入れない南硫黄島

この小笠原諸島、大小30余りの島々があると前述しましたが、このうち一般の人が暮らしているのは父島と母島だけです。あとは硫黄島や南鳥島に、自衛隊や気象庁職員らが常駐しているくらい。残りの島々は無人島です。

これら無人島のうち、限られた人しか入島を許されない特別な島があるというのをご存じでしょうか。

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それは南硫黄島(みなみいおうとう)という島です。
周囲7kmほどの小さい島で、周囲を断崖絶壁に囲われています。さらに島のなかも山ばかりで平地や川すらなく、サバイバルを体験する以外に行く目的など思い浮かばないような険しい島です。

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では、いったいなぜこの南硫黄島には限られた人しか入れないのでしょうか。

手付かずの自然の宝庫

南硫黄島に入れない理由は、ズバリ自然保護のためです。
小笠原の無人島のほとんどがかつて人が住んでいた島ですが、この南硫黄島だけはなんと人が一度も定住したことのない島なのです。前述した険しい地形を考えれば納得です。

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つまり、この島は人間生活の影響を受けていない、文字通り手付かずの自然が残っているということです。

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そのため、ほかの地域では見ることのできない固有種が数多く生息しています。幻の海鳥と呼ばれるクロウミツバメアカオネッタイチョウの繁殖地となっていたり、ここでしか見られない陸生ミズムシや7種の昆虫やカタツムリの仲間がいたり、などとても貴重な自然が残っているのです。

さらに推定個体数が2、300頭程度しかいないといわれている幻のコウモリ「オガサワラオオコウモリ」もこの島に生息しています。

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入島の厳しいルール

こうした貴重な自然の生態系は、外来種によって簡単に崩されてしまいます。
その持ち込みを防ぐため、硫黄島には許可なく入島できず、さらには入島許可を得た調査団であっても、かなり厳しいチェックを経なければなりません。人間の衣服に植物の種が付いていたり、靴底の土に小さな虫などがいたりした場合でも、それは大問題。環境省が作成しているチェック項目をすべて満たさなければ入島できない仕組みが設けられています。

このような厳しい入島ルールがあるため、南硫黄島は調査があまり進んでいませんでした。過去には1936(昭和11)年の植物調査、1982(昭和57)年の地質や動植物などの基礎調査、2007(平成19)年の自然環境総合調査、2017(平成29)年の環境調査の4回にとどまっています。

最後の2017年の調査は、東京都と首都大学東京(現・東京都立大学)、そしてNHKによる共同調査でしたが、このときにもリュウキュウノミガイ属の新種が見つかったり、過去の調査で1頭しか見つけられなかった固有種のゾウムシ「ミナミイオウスジヒメカタゾウムシ」が再発見されたりと、大きな成果があがりました。

このときの調査の映像は、NHKオンデマンドで視聴できるそうです。(2020年9月27日まで)
研究者や報道関係者くらいしか入ることのできないこの島ですが、その貴重な記録が見れるとは大変価値のある資料と言えるでしょう。


参考文献:
小笠原村
日本自然保護協会
Urban Life Metro
NHK

Ⓒオモシロなんでも雑学編集部

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