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Z世代が聴く名盤 #15 The Beatles「Rubber Soul」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

ザ・ビートルズ、6枚目のオリジナル・アルバム。同時期に出たシングル曲「Day Tripper」「We Can Work It Out」は未収録である。

前置き

ビートルズは大好きなバンドだ。自分が生まれた頃には既に解散から30年が経っていたし、4人中2人がこの世を去っていたし、大好きとか啖呵を切った割にはそんなに詳しいわけでもないが関係ない。大好きだ

怪談やオカルトに傾倒していた中学生の頃に見つけた「ポール死亡説」なる都市伝説からビートルズに興味を持ちはじめて、メッセージが隠されているというアルバムジャケットや楽曲の逆再生音源を漁っていくうちに彼らの曲そのものにも普通にハマっていき、今では公式アルバム13枚のうち10枚をTSUTAYAで借りてくるまでになった。

今作もそんな借りてきた作品の一つなのだが、ベストアルバムに6曲も抜粋して収録されてしまい、代表的な曲はだいたいベストにあるという事で正直借りてきたは良いものの結局ベストに入った6曲しか聴かず、最後まで全編通して聴いたことは一度もなかった

前回が「日本のビートルズ」ことたまのベスト盤の感想だったので、次回はビートルズにしよう!と思い至り、聴くならまだちゃんと聴けてない作品にしようと考え選んだのが今作。世間では「フォーキー」「内省的」との評価が下されていることが多いが、果たして…

感想

今作には「Please Please Me」「Help!」「Hello, Goodbye」のようなテレビ番組でのBGMやCMソングとして使われ、ビートルズを聴いたことがない人にも知れ渡っている曲は入っていない。かといって「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」「Abbey Road」みたいに音楽好きなら一度は聴いた事がある絶対的な名盤、みたいな評価がされているわけでもない。しかしながら「Drive My Car」「In My Life」などを筆頭にキャッチーなメロディは健在で決して侮ることはできない。

世間の「内省的」という評価は主にジョン・レノンの曲の印象によるもので全体的にはそこまで…と思うんだけど、「フォーキー」という評価は納得。今作はフォークロック的な作風で統一されており、以前のようなアイドル色は薄く、以降のようなサイケ色はほぼ皆無である。

ベストに入っていない8曲はこの感想を書くにあたって初めて聴いたけど、他の6曲みたいに繰り返し聴いていない上にベストから漏れたことから推察できるようにそこまでキャッチーなわけでもないので、全曲飛ばさずに丸々聴くのはちょっとキツかった。まったりしたノリで元々あまり好きではない「Michelle」「Girl」もこの流れだと一定の聴きやすさを感じるほど。強いて挙げるなら「You Won't See Me」「What Goes On」の2曲が印象深かったものの、それでもベストに選ばれた6曲のインパクトには勝てない。

ビートルズは「Sgt. Pepper's(略)」が発売50周年を迎えて以降は後期の作品が発売50周年を迎えるたびにリミックスを施した作品の再発売を行ってきたが去年はラストアルバム「Let It Be」に続いて「Sgt. Pepper's(略)」の一つ前の作品である「Revolver」のリミックス盤が出た。
法則に従うなら今年は「Revolver」の一つ前の今作がリミックスされて発売されるはずだが、9月が終わっても公式側からは何のアナウンスもない。
実は今作、年末商戦に間に合わせる為に急造された弊害でミックスがかなりやっつけ状態になってしまったらしくステレオで聴くと左側に演奏、右側にボーカルがはっきり分離して収められた珍妙なミックスになっている(ベストで当時の曲を聴いたときはこのミックスが嫌で、今作はモノラル版を探して借りてきた。この記事で聴いたのもそのモノラル版である)。現代的な感覚でリミックスされた本作のステレオ音源は是非聴いてみたいところだが、この時期になっても一切アナウンスが出ないとなると、作業が難航してるのか、今作のリミックスは作る気がないのか…

一番好きな曲:In My Life
一番「…」な曲:特にないけど強いて挙げるならThink For Yourself

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