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うちの畑の緑肥について2023

農作業が忙しくてなかなか記事の更新ができてませんでしたが、この時期しかタイムリーに書けないこともあるなーと思い、重い筆を持ちました。

八戸市豊崎のピーマン畑には土づくりを兼ねて緑肥を植えています。
緑肥とは植物を育て、それを土中に漉き込むことで肥料にすることを言います。


使用する緑肥の種類


緑肥の一例


・スーダングラス(イネ科)
・ソルゴー(イネ科)
・ライ麦(イネ科)
・ひまわり(キク科)
・大根(アブラナ科)
・ヘアリーベッチ(マメ科)
・白クローバー(マメ科)
・赤クローバー(マメ科)
・クリムゾンクローバー(マメ科)
など

これらを混ぜて使います。

スパイスミックスみたいですね。

なぜ緑肥を使うのか?

ピーマンの連作を避けるために昨年作付けしたエリアには緑肥を作付けします。
緑肥を使用することの最大の目的は私の場合は土中への有機物の供給です。土中に有機物が供給されると、その有機物を分解するために微生物が増殖します。つまり緑肥は微生物の餌となるのです。そして徐々に分解されることで長期に渡りピーマンなどの作物の栄養となるのです。有機物は微生物によって腐植という状態になり、土の重要な構成要素になります。有機物含有量(≒微生物量)が多い土は水はけがいい上に水持ちもいいという相反するような最高の状態となるのです。
有機物の分解のステージに応じて微生物は様々な種類にとって変わりながら移ろいます。また微生物からの食物連鎖があり、微生物が増えることは土中の生物多様性に繋がります。土中の微生物を含めた生物多様性が高まるとどうなるのか?
例えば毎年同じ場所で同じ作物を作り続けた場合(連作)、土中にはその連作作物の根が好きで共生したがる微生物ばかりが増えてしまいます。多くの場合はそれは病原微生物です。病原微生物が増えた土壌では、その作物は健康に育つことができません。一度病原微生物が増えた土壌を正常に戻すには長い年月が必要となります。
微生物はその生存エリアにおいて互いに生存競争をしております。簡単にいうと陣取り合戦です。生物多様性が高まるとバランスがとれ互いに拮抗します。すると病原微生物のみが増殖することがなくなるため、病気が蔓延するという状態にはならないのです。
地下部分だけでなく、地上部分でも生物多様性が高まります。

緑肥大根の葉につくカメムシ


緑肥の葉や花にもいろんな虫が寄ってきます。緑肥を食べる虫がいて、さらにそれを食べる虫が寄ってくる。そういった食物連鎖が生まれます。ピーマンだけが畑にある環境ではピーマンを好きで食べる害虫が増えやすい状態にあります。畑の環境中にピーマン以外の植物がいろいろある状況ではピーマンの害虫だけが増えることがない状況になるのです。余談ですが人間の世界も同じですよね。自分のことを好きな人もいれば嫌いな人もいて、さらに多くの人は自分のことをどうとも思っていない。自分のことを好きな人ばかりではない、嫌いな人ばかりでもない、さらに多くのどうとも思っていない人がいて、自分の人間関係のバランスが取れているのです。

私の場合はイネ科、マメ科、キク科、アブラナ科を合計9種類混ぜて使います。
それぞれの植物の根に共生する微生物がいるでしょうし、それぞれの葉や花につく虫がいます。植物の種類の分だけ生物多様性が増すのです。花が咲くと景観も綺麗ですしね。

ひまわりと大根の花

さらにもう一点メリットを付け加えると、畑はただの土の状態でおいておくより、緑肥など(別に雑草でも良い)植物が生えていることで光合成をし、CO2を吸収します。そして吸収されたCO2は植物内で糖やアミノ酸などの炭素化合物となり、植物を土中に漉き込むことで炭素化合物は土中に吸収されていきます。地球レベルで見ると農家個人が緑肥によって吸収するCO2量なんてたかが知れてますが、各農家が自分のできる範囲でCO2削減に向けた動きをすることで脱炭素に貢献できるのではないでしょうか?

以上、緑肥について書きましたが、生物多様性は結果的に農薬を減らすことに繋がると考えています。農薬を減らすことができれば、生物多様性が生まれます。その循環の中でこそ持続的な農業ができると思うのです。

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