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飽和した情報を「言葉」で「基準」をつくって、わかりやすくする〜「名付ける」のパワー:前半〜

なんぼー:今日なんか服装の雰囲気いつもと違うね。

りさ:そうなんです!私もイメチェンしようと思ってて。骨ストに似合う服装を模索中です!

なんぼー:そういうことか。最近ファッションの診断流行ってるよね。

りさ:そうですね!私は「骨ストソフエレブルベ夏」です!

なんぼー:呪文?

りさ:呪文じゃなくて、「骨格診断」「パーソナルから診断」「顔タイプ診断」の結果ですよ〜!

なんぼー:今そんなに沢山種類があるんだ。情報が飽和している時代だからこそ、診断がガイドになるってことかな。

りさ:そうかもしれないですね。ネットで探せば無限に商品に出会えるし、色んなスタイルも見れるから、逆にどういう格好すればいいかわからなくて。そういう時に、診断があると「自分に似合う」格好がしやすいので、服やコスメが選びやすくなるんです。

なんぼー:人間の脳が処理できる情報の量って限られているもんね。雑多に選択肢があると、逆に選択するハードルがあがるっていうか。

りさ:そうなんですよね。どんな服も着れるようになった自由はありがたいんですけど、どれが自分が着るべきか、選ぶのも大変で……。

なんぼー:多様なスタイルが受け入れられている一方で、ある程度選ぶ基準が必要っていうのは面白いなあ。

りさ:色々あるから「似合う」を見つけたいんですよね……!

なんぼー:面白いね。ある程度、基準を作った上で「自分らしさ」を追求しているんだね。

りさ:そうですね。それに、ある程度基準があることで、同じ「骨スト」の人たちと悩みを共有できるようにもなりました。「首元が詰まっている服を着ると、顔だけ浮いている用に見えるよね〜!」とか。その悩みを診断に基づく解決策で解決できるようになったのも、嬉しくて。

なんぼー:なるほど。基準を設けることで、語れるようになる、っていうのは他にも例があるかもしれないね。例えば、「ぬま田海苔」って知ってる?

りさ:知らないです!韓国のりは好きなんですけどね……!

なんぼー:いいね。こんな感じで、パッケージがものすごくモダンなんだけど。

りさ:シンプルでおしゃれですね〜!

なんぼー:ただ、端っこに、海苔の味に関して、機能的な説明をしてるの。

りさ:ほんとだ。「風味:5」「歯切れ:5」「口溶け:4」……すごーい!面白い!こんな基準初めてみました!

なんぼー:海苔ってもちろん美味しいけど、普段そこまで味わいを意識して食べることってないよね。好きだったとしても、どうやってその味わいの違いや美味しさを伝えればいいかというと難しいし。

りさ:私も海苔、好きですけど、「海苔の味がすき」くらいしか言えること無くて、こんな風に「歯切れがいい海苔が好きだな〜」くらいの解像度で考えたことなかったです……。

なんぼー:そうだよね。もちろん、美味しさって数個の基準だけで語れないから、この基準以外にも美味しさの要素はあると思うんだけど、あえて指標を絞って見せることで、どこから語っていいかわからなかった美味しさを、語りやすくすることができる。

りさ:食べ比べてみたくなりますよね。

なんぼー:そうそう。食べ比べることで、どういう海苔が好きかわかるし、「こういう海苔が好きだ」「この海苔のここが好きだ」って語れるようになること自体が、海苔を食べる体験価値をあげてるんだよ。

りさ:それはあるかも。ファッションも海苔も、基準があることで、より楽しみ方が増えるっていうか。私も「あのモデルさん、骨格ウェーブだからこの服似合うんだなあ」とか、ファッションの楽しみが増えた気がします。

なんぼー:海苔の場合は、誰かにプレゼントもできるから、本当の海苔好きの中でも「あの人はああいう海苔が好きだから、これをプレゼントしてあげよう」と思えることもあるし。

りさ:少し違うかもしれないですけど、お酒も「辛口」「甘口」とか「フルーティ」「重厚」とか、語る言葉を持っている人たちの方が、味わうの楽しそうですもんね。

なんぼー:そうだよね。それでいうと、五反田の「それがし」っていうお店は、日本酒のテイストをマトリックスにして紹介していたりするんだよ。

りさ:へー!こ、これも飲み比べてみたくなる……!

なんぼー:ある程度基準をつくると、同じようなものを味わっていても別のものに感じるし、共通言語になるし、共通言語になるから語り合えるし、基準をつくる、言語化するって面白いよね。

りさ:言語化するって面白いですよね。

なんぼー:認知していなかった感覚の言語化の文脈でいうと、「男梅」って良いブランドだと思うんだよね。

りさ:「男を磨く〜梅がある〜男梅〜!」ですか?

なんぼー:そうそう(笑)僕も男梅大好きなんだけど、男梅って品種じゃないじゃん。ただ「顔をしかめるくらい強めのすっぱさがある梅」っていう。

りさ:言われてみれば……!

なんぼー:しかも、商品も男梅の飴もあれば、サワーもあるし、グミもある。ジャンルも絞られていないんだよね。生み出す商品の幅が広いんだよ。ただ「男梅」っていう言葉があることで、「たしかに僕は酸っぱさの強い梅が好きだ」っていうことに気づいて。

りさ:「梅」と「男梅」は別の味を表しているんですね。

なんぼー:そうそう。食べ物のジャンルでもないし品種でもない、なかなか独特な区切り方だしネーミングで面白いよね。

りさ:見えないものを見えるようにする言葉、ですね!今まで表現できなかった感覚を言葉を作って認識できるようになるの、面白い!

なんぼー:言葉を作るって面白いよね。今まで認識していなかった概念を感じられるようにしてくれるし、それによって、決断もしやすくしてくれる。

他にも言葉をつくることで人を動かすことにつながる話があって…

<つづく>


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