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tuck4
私をぎゅっと抱きしめて
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ここは人間とぬいぐるみが共に生きる街、ドリーミング・シティ。
いつもは明るいこの街も、あいにくの大雨によっていつもとは違う、暗い雰囲気が覆っていた。濃い雨でぼんやりと光る広告群が睥睨する中、黒いブルゾンを着た少女が走っていた。
腕に抱えられた白いユニコーンのぬいぐるみが、持ち主の少女を不安そうに見上げる。
その時、正面を三体の黒い熊のぬいぐるみが行く手をふさぐ。右足首には『BLACKBEAR』のタグが付けられていた。
「その『ノータグ』は違法です。すぐに明け渡してください」
三体の熊は息の合った動きで、右手から鋭く光る爪を引き出した。
かばうように後ずさる少女、瞬間、熊たちが飛ぶ。
そして、その三つの首がきれいに刈り取られた。
少女の横から飛び出したそれは、着地して抜き放った刀を納めると、少女の方を振り返った。
そのぬいぐるみは、鋭い目をした、うさぎのぬいぐるみだった。
【続く】
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ワナビ症候群の小説家もどきです。主にSFを書いてます。最近はガーディアンやったりテンノになったりして宇宙の均衡を守ったりもしてます。でもちゃんと小説も書いてるよ! 本当だよ!
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