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「どらえもん のびたとUNIQLOレザータッチミニショルダーバッグ ーメンズとレディースのはざまと他者意見ー」

「どらえもん! どらえもん! 大変だ、大変だ!」

「なんだい、やぶからぼうに」

「大変なんだよ!!」

「君とっては大変なことなんだろうね。きっと大したことないとおもうけどどうしたんだい?」

「本当に大変さ!! 聞いたらどらえもんもびっくりするよ!!」

「そこまでいうんなら、そこまでのことなんだろうなぁ・・・で?」

「これをみてくれよ!! UNIQLOがレザー調のミニバッグを出したんだよ!!」

どーんという効果音でもつけたそうにしながら、スマホ画面をみせてくる。

そこには レザーミニショルダー という名称のアイテムが映っていた。

「どうだい!!」

「どうだいって、、ただのバッグやん」

「ただのバッグ!? 君にはそう見えるのかい!?」

「逆に君はそれがバッグ以外のなににみえるゆうねん。というか、アイテム名にバッグ書いてるやろ」

「はっ! わかってないなぁ! まぁやたらと世を賑わす風邪っぽいなにかのことをまったく知らなかった未来からきた君には、よくわからないだろうね!」

「そこは現代人が頑張って、なんとかしろや。未来人がいるだけ希望がもてるやろ。まぁこの話ふかぶるとめんどいからこのへんに置いとくで。で、なんやねん」

「22世紀からきたのにトレンドを理解していない君におしえてあげるよ!」
「逆に1−2年単位の細かいトレンド理解している未来人いたらうざいやろ」

「で、このアイテムが画期的なのがUNIQLOがミニバッグを出してきたってことさ!!」

「はぁ・・・」

「気の抜けた返事だなぁ!! これから驚きで、その息さえできなくなるよ。 いまや世界的な企業に成長したUNIQLOで、製品品質にも定評がある。そんななかでも小物が弱かった!!!! それが今回、良品ともいえるだろうバッグをだしてきた、それもトレンドにそったミニバッグ!!!」

「・・・・」

「ドレスライクなレザー調というのもいいよね。フェイクだけれどもガラス調のレザーで一見、本物とも見分けがつかないよ! オンラインの写真見てるだけだけどね!! しかもみてくれよ!! YKKの最高級のエクセラジップをつかっているんだよ!? こういう小物ではこういう細かい点が見た目の印象を左右するからね!! ここにエクセラのジップをつかうとはさすがだよ!!」

「そんなエクセラのジップは他のと違うのかい?」

「知らないよ! エクセラのジップなんて単語、ここで読んだのが初めてだからね!! ただ、とにかくすごいってことさ!」

「いや、ほんま、すごいな。君が」

「で、これだけのクオリティにこだわり! トレンドを追いかけて、値段がなんと1990円!! 1990円!! 1000円台なんだよ!!?」

「税込にしたら、2189円やけどな」

「はぁ! まったく君は細かい男だね!! いやネコか! いやネコ型か!」

「まぁとりあえず、君がすごいとおもっている理由はわかったよ。よくわからんけどな。ただすごいとおもっていることはわかったよ」

「伝わったならよかった!! このアイテムはさらにメンズ・レディース兼用だからね!! これ以上のコスパはないよ!!!  発売が待ち遠しい!!」

「いや、ほんま商品見ずによくそこまでいえるな・・・」

ーーーーーーーーー1週間後

「まったく!! あいつらは全然わかってない!! 全然、わかってない!! まったく・・・・全然わかってないよ!!!!」

「・・・・・・」

「あーーー! なんで正しいことを正しいと言えない世の中なんだろうね!!」

「・・・・はぁ、どないしたん?」

「聞いてくれるかい? どらえもん! まったくひどいんだよ!」

「別に聞く気はないけど、しゃべるだけしゃべるといいよ」

「まったく! ひどいもんさ!! スネ夫がユニクロのレザータッチミニショルダーバッグを持ってきたんだよ! 今日! いまさっきね!」

「ああ、なんか君がめっちゃ騒いでいたやつね。なんかジップがすごいとか・・」

「ジップとかはどうでもいいのさ! 超大型店にいって早めにゲットしてきたっていうんだけどさ」

「はぁ、それが気に入らなかったのかい?」

「ぼくはそんなちっさい人間じゃないよ!! スネ夫がそのバッグをどうどうとコーデしてきたんだよ!」

「まぁ、ふつうに買ったバッグをつこたんやろなぁ」

「だからいってやったのさ!! それはレディースっぽいよってね!!」

「はぁ・・・・」

「ちょっと丸みを帯びて、レディースみがあるから、メンズファッションには使わない方がいいよってさ! 的確なアドバイスをしてやったんだよ! そしたら、スネ夫が 自分はそう感じない とかいうんだ!」

「・・・だったらそうなんやろ」

「いやいや!! ぼくはだれよりも先にそのバッグに目をつけていたからね!! 期待もしていたさ!! でも、いろいろと見ていたら、みんなレディースっぽいといってるんだよ!」

「みんなってのはだれだい?」

「YouTubeの動画さ!!!!」

「・・・・・・」

「だから、君の意見はそうかもしれないけど、世の中はそうなんだぞ! っていってやったんだ。でもスネ夫はコスパを考えたら いい買い物をしたとかいいだすし! まったくコスパに囚われて目が曇っているんだよ! まったくメガネもかけていないっていうのに!」

「で、どうなったんだい?」

「ぼくは懇切丁寧に説明していたら、ジャイアンが そういう意見もあっていい。でもつかいかた次第だろう とか日和見なことを言い出してさ」

「まったくそのとおりやな」

「だろう!? 日和見な意見じゃない、ホンモノの意見を教える必要があると思ってさ!! YouTubeの動画もみせてやったよ!! ぼくの貴重なギガを消費してね!!」

「その恩着せがましさはすごいな」

「彼らの携帯を借りてもいいくらいのことさ! 結局、スネ夫もジャイアンも「わかったよ」とは最後にいって帰っていったけれども・・・まったく正しいことをいえないこんな世の中じゃ、」

「ーーーーーー君の意見は?」

「え?」

「ここまでスマホをいじりながら黙って聞いていたけれども、いっこうに君の意見が出てこないからさ。スネ夫とジャイアンが辟易して帰るのも無理はないさ」

「どういうことだい!? ぼくはぼくの意見をちゃんとーー」

「いや、君はただだれかが感じた意見を“正しい”と思って、それを伝えているスピーカーでしかないだろう? だから話ができずに、最後はふたりも帰ったのさ」

「な・・・! ぼくがスピーカーだって!?」

「そうさ。自分の声を発しない。誰かの意見を自分の声のように大きくしゃべる。スピーカーそのものじゃないか。そして、最大の不幸はそれを自分の声とおもっていることか」

「そ、そんなことは、、ぼくはぼくの意見を、、、」

「1週間前に感じていたことを、ぼくに熱弁したことを覚えているかい? そこから君はどうして意見を変えたんだい? 意見が変わるのは別にいいさ。でも、そこに自分の心がないなら、それは単に感化されただけだ」

「な。。。。」

「きみはその商品を見にいったのかい? きちんと手にとって、そうおもったのかい? レディースっぽいと。もしレディースっぽいとおもったとしてもそれはそれでいいさ。けれども誰かが レディースっぽいといっていたからそれはディースっぽいというのは、きみの意見じゃない」

「ぼ、、、、ぼくは、、、、、」

「君は、考えていないんだよ」

「ぼくは、、、、!!!!」

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「ぼくは失敗がしたくなくて、、、誰かの声をそのまま自分の意見としてしまった。あんなに楽しみにしていたのに」

「だろう? 君は結局そのものを今日、初めて見たんだろう。そしてよく身のせずに誰かの意見をそのまま伝えただけ」

「そうだ。ぼくは全然、アイテムもコーデもみていなかった。。ぼくは! なんてことを!!!!!」

「たしかに誰かがそういっているとわかったら気になるだろう。でも、それは正しいわけじゃない。誰かの意見が正しいわけじゃない。その中から自分なりの意見や考えを持つことが何よりも大切なんだ」

「ありがとう、どらえもん!! ぼくは考えることを放棄していた!! ちょっとユニクロにいってくるよ!!!」

「うんうん、そうしたらええ。ユニクロはいつでも君のそばにあるんだから」

「とりあえず売り切れそうだからゲットしてくるよ!! どうしてもダメだったら速攻で返品だ!!!」

「店頭で吟味しろや、自分」





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