マガジンのカバー画像

短歌とエッセイ

4
自作短歌とエッセイ。すべてフィクション
運営しているクリエイター

#現代短歌

【短歌】梅雨と仲良くなりたい

幸福が地獄の彩度を上げる夏もう生きるのは無理かもしれない

病名も地獄もハッピーエンドへと消費されないために詩を詠む

泣きながら眠る身体を干す場所も見つけられずに生臭くなる梅雨

もう人間キャンセル界隈 6月はかわいい芋虫として生きます

抱擁もショートケーキも自傷になる寄り添ってくれるのは歌だけ

ぬくもりを夜ごと辿った鍾乳洞 雨が止むまで灯し続ける

短歌

いつの日か本当の私の手のひらで本当の初夏の風に触れたい

玉入れの玉を数えるスナップでいらない形容詞を投げ捨てる

振るい漉し最後に残ったものだけが愛なのかなぁ 重すぎるかな?

焦げ臭い指と火の先に祈りを見た日もあった 傷は勲章

琺瑯のバターケースと花と手紙 食卓のひかり暮らしは祈り

日常に短歌が満ちていたのなら文鎮はいらぬ 風になりたい

めくるめく風がページを捲ったら世界を巡る旅をしよう

もっとみる