2「君と友になる為には7つの条件が重なった時だけ 〜奇跡編〜」②
日常で出来る事の方が少ない私は、友達とも距離を取るようになっていった。
生きる事を続けていくにつれ、予定を変えてしまう方が多くなっていたから。相手に迷惑をかけてしまう。そして、
その内、近くからいなくなっちゃうんだ。寂しくて。
それでも遊びに誘ってくれる子はいたけど、嫌われたくなくて。
メールのやり取りで繋がっているくらいが、丁度良かった。予定通り動けないなんて情けないけど、健常者には分かってもらえないだろう。
結局また好きな場所へ帰りたくなるなんて。都合良く聞こえるのだろう。
自分の1番好きな場所が、安心するなんて。
密閉空間で大人数だとしても、好きな場所が心の薬だなんて。
当選メールが届いた時、感動して嬉しい気持ちが大きかった。
そのはずが、気持ちは半々になっていた。
「こういう風に挑戦した時の応募って、なぜか当たるんだよね」そう言ったのはイベントの2日前。急に外に出たくなってしまったらどうしよう、外の空気に触れたくなってしまったら…。考え始めたらきりがなくて、大きな不安ものしかかって。でも、行ってみたかったイベント。好きな人たちを直接見られる貴重な空間。
大丈夫、薬をあらかじめ飲んでおいて、イベントに参加しよう。薬が効かなかった事は今まで一度も無い。大丈夫、大丈夫…せっかく当選したんだから楽しみたい。そう、自分に言い聞かせる事しかできなかった。
ここまで、電車は全て各駅停車。ゆっくり時間をかけて来た。
会場に着いて、大勢の人を目の当たりにした時、急に怖くなり人混みから少し離れた。どうしようと思う焦りが、頭をグルグル回った。そして、
「イベントへご参加の方は2列に並んでください!」と、係の人の声で一回目を閉じた。深呼吸をし、ヨシッ! と、気合いを入れて列に並んだ。
その時だった。全ての始まりは、この時だったんだ。