七沢智樹 - #テクノロジーの哲学

七沢智樹 - テクノロジーを哲学し設計するTechnel合同会社代表/ Profil…

七沢智樹 - #テクノロジーの哲学

七沢智樹 - テクノロジーを哲学し設計するTechnel合同会社代表/ Profile→ https://linktr.ee/nanasawa

マガジン

  • テクノロジーの哲学

    ぼくのテクノロジーについて書いた記事をまとめています.

  • 原生ジャングルへの思い

    ぼくの西表島についての記事をこちらにまとめます.

  • ウェルビーイングを問い直す

    ウェルビーイングが幸福感をともなうものというニュアンスで語られることに異議を唱えたい。

  • 意識研 - 「意識」とは? AIに回答不能な究極の問を問う

    • 7本

    意識研 https://ishikiken.studio.site/

  • Cyborg Meditation-テクノロジーへの気付き

    プロメテウス神話をひもとくまでもなく、私たちはテクノロジーとともにあり、日常的にテクノロジーを通して行為する。現にこのテキストが読めているのは、テクノロジー群がおりなす、有機的といえるほどに進化した巨大なシステムが、わたしとあなたを「媒介」しているからだ。そのテクノロジーは、私たちの身体の進化のスピードを遥かに超えて進化する。私たちは、とっくに「行く」という行為の足をテクノロジー(自転車から電車、ロケットまで)にしたように心身の機能を代替させ、ますます「サイボーグ」となる。こうした、拡張としてのテクノロジーを外側からではなく、その生命の内側から洞察し内省することが求められている。私たちは、一つの生命体としてのサイボーグであることを自認した上で、マインドフルになり「気がついていく」必要があるのだ。そう、「Cyborg Meditation-テクノロジーへの気付き」が求められている。

最近の記事

  • 固定された記事

技術哲学とは何か−−人とテクノロジーの関係を捉え直すために

技術哲学とは何か? 日本では,情報が少ないので,noteに基本的なことを書いておきたいと思います.先日ある出版企画の一環でインタビューを受けた時に話した内容を元にまとめています. 私が今日お話ししたいのは,一見マイナーに見えますが,現代において非常に重要なテーマを扱っている「技術哲学」についてです.技術哲学は,テクノロジーとは何かという問いから出発し,テクノロジーに関して哲学的に論じることで,テクノロジーにまつわる社会的問題を考察するのみならず,よりよいテクノロジーと人や社

    • 【Thinking through JUNGLE online #001 (JUNGLE Gathering 202406 説明会)】開催報告

      昨晩、6月のジャングル(6/20-7/1)に向けて、メンバーと「なぜ、いまジャングルなのか?」を「サイボーグの再野生化」などをテーマに語りました。動画をここにアップしておきます(限定公開動画です) 昨晩は、登壇した、七沢、原島大輔さん、奥田さん、それぞれのジャングルでの気付きや滞在の意義について、それぞれの研究テーマに即して語りましたが、十分に語れたのではないかと思います。(愛さんは諸事情により不参加、次回にまた) また、こちらの最近ぞれぞれ携わった翻訳書のテーマと「なぜ

      • 亜熱帯ジャングルで、"Primitive Cyborg" になる

        Iriomote JUNGLE CLUBのこの3月のギャザリング無事全行程完了。全体で12日間のジャングル仮暮らし。計24名の方が参加。とてもよかった。参加いただいた皆様ありがとうございました。 今回、Starlinkを導入し、トラブルありつつなんとかJUNGLE Office稼働。ジャングルで仕事するというのは新鮮な体験。ぼくもかなり原稿書いたがよい、とてもよい。自然からのインスピレーションがふんだんに注がれる。テクノロジーと原生自然が交差するのもよい。そして、議論も良か

        • Vison Proは、空間コンピュータだった――ここにある身体の延長のための装置となるか?

          (Facebookと技哲サロンにポストした内容と同じです) X(Twitter)で、発売当初にVison Pro体験したい、、という心の声をつぶやいていたら、実は、技哲ナイト!見ていますという、MESONのスタッフさんから連絡いただき、昨日、ついに体験させていただくことができました。MESONさんは、Vision Proアプリをすでにリリースしているスタートアップ。創業者のかじさんから、アップルがすごいゴーグル作ってるんすよ、そのためのアプリを開発してるんすって、数年前から

        • 固定された記事

        技術哲学とは何か−−人とテクノロジーの関係を捉え直すために

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        • テクノロジーの哲学
          17本
        • 原生ジャングルへの思い
          7本
        • ウェルビーイングを問い直す
          2本
        • 意識研 - 「意識」とは? AIに回答不能な究極の問を問う
          7本
        • Cyborg Meditation-テクノロジーへの気付き
          3本
        • デジタルウェルビーイング入門:どう付き合うべきか?
          4本

        記事

          来年こそジャングルへ!ご案内第一弾!

          ジャングルクラブTシャツプレゼントキャンペーン!2024年3月は、メンバーからの希望の声が多い「ジャングルオフィス」という企画と、「ジャングーファミリー」という企画を実行します。 それに向けて、ちょっとしたキャンペーンとして、年内にNFTを購入いただいた方にジャングルクラブTシャツ(通常3千円で販売)をプレゼントしますので、ジャングルクラブが気になっていた方、この機会に、まずは会員になられることをお勧めします! ジャングルクラブTシャツ 申込フォーム↓ クリック ht

          来年こそジャングルへ!ご案内第一弾!

          禅と現象学、そしてAI (GPT4テクノロジーエッセイシリーズ)

          GPT4原文 禅と現象学:静寂の中の真実へのアクセス禅と現象学は、異なる文化と時代から生まれた思考の伝統でありながら、私たちが経験や現実とどのように関わるかという問いについての深い洞察を共有しています。このエッセイでは、禅の教えと現象学の「現象学的還元」という概念の間の相互関係を探求します。 禅は、何千年もの間、日常の経験から真実を見つけ出す方法として坐禅や瞑想を提供してきました。禅の目的は、言葉や概念、先入観を超えて「無」や「本質」にアクセスすることです。これは、直接的

          禅と現象学、そしてAI (GPT4テクノロジーエッセイシリーズ)

          コンヴィヴィアルなテクノロジーを考える: 再帰的な学習という技術の本質とコンヴィヴィアル

          今晩の技哲ナイト!に向けて音声を吹き込んで起こしたものをアップします. コンヴィヴィアルテクノロジーとは何でしょうか?コンヴィヴィアルテクノロジーとはという問いを問いかけると,何かコンヴィヴィアルという共通した尺度があるということや,さらにはテクノロジーというものが何か一つの概念であるように,印象を受けます.けれども,コンヴィヴィアルというものも,テクノロジーというものも,何か共通で普遍的なものというわけではないわけです.例えばユクホイは何か一つのテクノロジーがあるように,

          コンヴィヴィアルなテクノロジーを考える: 再帰的な学習という技術の本質とコンヴィヴィアル

          誤ったウェルビーイングの理解とは? - WHOはウェルビーイングを定義していない (ウェルビーイングを問い直す②)

          これからの続き そもそもウェルビーイングとは何か?ウェルビーイングの語源は、イタリア語のbenessereにある。Oxford English Dictionaryによれば、イタリア語の“benessere”の翻訳として16世紀に導入されたとされる。 Benessereは、Bene(Well)+Essere(Being)である。その意味は、善き生、いわゆるgood lifeと等しいだろう。 そして、少なくとも「ウェルビーイングの哲学」では、この意味でウェルビーイングとは

          誤ったウェルビーイングの理解とは? - WHOはウェルビーイングを定義していない (ウェルビーイングを問い直す②)

          ウェルビーイングを問い直す① ウェルビーングと幸福感は関係ないでしょ

          ウェルビーイングという言葉は、厄介な言葉である。ウェルビーイングと聞いて、ああ、はいはい、となる人のウェルビーイングの理解は、だいたい間違っていると思っている。これは、四年くらいかけて徐々にウェルビーイングの本質を私なりに考えていって見えてきたことと関係する。 「ウェルビーイングの理解」が間違っている。なんだかこの発言自体が、ぜんぜんウェルビーイングじゃない感じがする。けれども、そう言いたくなる感じがする。その理由は、現代において、ウェルビーイングということばに「幸福感」と

          ウェルビーイングを問い直す① ウェルビーングと幸福感は関係ないでしょ

          デジタル「exit」は救いか?

          僕たちはこの世に生きている.現実を生きている.しかしその現実は,時に非常に窮屈で苦しい.面倒なことがたくさんあり,体に病気があったり,またお金がなく,人間関係もうまくいかければ,場合によってはこの世は生き地獄となる. そんなとき,ひとときの間でも,映画やVRやゲームの中や漫画や,はたまた小説を読んで,没頭して,そこにそこでの陶酔感や恍惚感を味わえたなら,それは救いになるだろう.間違いない.私達は現実の苦しさから逃げるための救いの道を求めている. このときに究極の救済とは何

          デジタル「exit」は救いか?

          脱「ゲシュテル」は可能か?:生産性向上というテクノロジーの宿命の果てに

          「ゲシュテル(ハイデガー用語のGestell.総駆り立て体制や集-立などと訳される)」について意識研(シーズン2−2)で取り上げられた.このシーズン2では渡邊淳司さんを迎えウェルビーイングテクノロジーを議論している.今回は私の研究テーマでもあるので前のめり気味だったが「ハイデガーがなんと言っているかとは全く関係なく議論しましょう」ということだったので,若干,私が理解しているゲシュテルとは違うゲシュテルを問題にしているのかなと話を聞いているうちによくわからなくなってしまったのは

          脱「ゲシュテル」は可能か?:生産性向上というテクノロジーの宿命の果てに

          今年最後のジャングルギャザリングの案内 テーマ「ダイナミズム」202310

          今年最後のジャングル仮暮らし 「野生のダイナミズム」を思い出せ今年最後のジャングルギャザリングが,この10月に西表島奥地で行われる.毎度のことながら,ジャングルに囲まれたあのベースキャンプで仮住まいの共同体が形成され,その暮らしが成立するだろう.そこはインフラもない奥地.手ほどきを受けながら,ツールを使いこなし,生命に感謝しいただき,仲間と日々を過ごす.そして,その暮らしを取り囲む,原生自然に暮らす「野生のダイナミズム」に気づき,それに身を任せるなかで,おのれの生命のダイナミ

          今年最後のジャングルギャザリングの案内 テーマ「ダイナミズム」202310

          マインドアップローディングは,現代の「錬金術」なのか?

          意識研が立ち上がってはや3ヶ月.マインドアップローディングをテーマにして定例研究会は,4,5月とやってきて6月で一旦完了した。 すでに書籍化の話が進んでいるので,このnoteで頑張って情報を出さなくても,未来にきっといい感じで本として世にでるであろうから,ここはきばらず気軽に書いていきたい. 「国際技術哲学会」という学会が,先週4日間にわたって代々木で行われた.日本での「テクノロジーの哲学」の普及を目指すぼくとしては,かなり充実した時間を過ごすことができた.実行委員や共同

          マインドアップローディングは,現代の「錬金術」なのか?

          AIの脅威は,AIに聴いてみる

          昨今,AIの脅威についてメディアでよく語られてる.先日も,ヒントン博士がGoogleをやめたのは,AIの脅威についてもっと考えたいし訴えたいからだった. 実際,その脅威は広範囲に及ぶ, プライバシーやセキュリティといった個人に関わる問題から, AIの道徳的地位や存在論的な意味といった哲学・倫理の問題, それに関わるAIを法的にどのような存在として位置付けるべきか, さらに,そのAIが莫大な電力を消費することで地球環境に負荷をかけ続けることの問題…. とくに,環境への負荷

          AIの脅威は,AIに聴いてみる

          意識研究会 第一回開催報告

          ちょうど1ヶ月前のことになるが,以前お知らせしていた「意識研究会」の初回の研究会が行われた.これから毎月一回のペースで行われていく. この研究会は,ある支援者と信原幸弘の出会いによって実現したもので,お二人の,アメリカの「Closer to Truth」のような究極問題を問う文化を日本に根付かせるべきだ!という熱いおもいから生まれたもの.まずは,信原幸弘の専門である「意識の哲学」を基礎に,「意識とは何か?」を問おうということになり,昨年まで七沢と共に議論を重ねていたお三方を

          意識研究会 第一回開催報告

          原初のサイボーグを生きる

          今また西表島のジャングルに来ている。2週間の野営中である。Iriomote JUNGLE CLUB の仲間が十数名入れ替わりこのベースキャンプに訪れ、ジャングルに生きる意味をクエストしている。 WIRED Japan編集長の松島さんが、WIREDの今月号で、この活動について触れてくださったので、その応答として急ぎこの記事を書いている。松島さんには先日ご自宅で、このジャングルについて熱く語らせていただいた。 このジャングルでの野営。その意味は、プリミティブな道具で狩猟採取的

          原初のサイボーグを生きる