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【Iriomote JUNGLE CLUB: JUNGLE Gathering 202406 to 202410 報告と計画】

(Instagram, Facebookに掲載した文章と同じ内容です)

ぼくらの滞在は、西表島の最果ての地((20年前の私のような)放浪者が無法キャンプするのを食い止めるために作られたという経緯をもつとあるキャンプ場)を舞台としますが、インフラもなく、水は山の水をサイフォンでひいいたもの。電源は、スマホやライト、スターリンクのために持ち込んだ最低限のソーラー+カーバッテリー+インバーターのみ。食料をまわりの自然に頼り、テントを巣とする生活は、地球のダイナミックな変動の影響を心身にダイレクトに受けます。


そして、今回は異常に暑く、より心身にこたえる環境でした。さらに海水温も高く魚影もうすく、また梅雨明けの南風がおさまらず海が荒れ気味で漁にも出にくく食糧調達もスムーズではなく。。しかし、その分、学ぶことが多いものです。この経験がすべて今後に生かされるのです!ギャザリングも6回目。ジャングルで生きるための知恵、技術は、こうした環境の変動に応じることで起きる再帰的学習を通して磨かれていくのです。

とはいえ1人の脱落者(8泊予定から5泊への変更)が出た以外は安定した運営でした。参加者は、「サバイバル的滞在」それ自体の目的以外の目的を持ってきた人も中にはいて、それも多様。人類学や哲学研究のためのフィールドワーク、制作中の映画の構想、サバイバル服(?)の開発、移住候補として、制作のための調査や、アートやデザインのインスピレーションをえるためや、後述の海洋プラごみリサイクル事業のためなどなど。毎夜そうしたテーマをもとに星空のもとディスカッションできたのも最高によい時間でした。総勢23名、合計106泊!(つまり(朝昼晩ぜんぶではないけど)300食近くを自分たちで割った薪と調達した食料でダッチオーブンなどで調理したということ!)WIREDのぼくの技哲連載の「野生のサイバネティクス」記事を読んで参加してくれた人類学志望の学生(ニューヨークの大学に通っているそうな)さんがいたのがなにより個人的には嬉しかった。

10月は10月20日ごろから11月10日ごろまで10月23日から11月7日までを予定しています。

西表島の10月はまだ夏。ウェットスーツなしでも海に潜れますが。暑くはなく寝袋が必要なくらいで、気候が良いベストシーズンです。なので今ギャザリング参加を迷われている方には10月に参加されることをおすすめします。

10月は、大潮に昼も夜も潮が引くので、昼引いたときはリーフ釣り、夜引いたときに真夜中に起きて浅瀬で海老や魚をとることができます。真夜中にすーっと沖まで潮が引いて歩ける浜と言うのは神秘的で、島の人が伝統的に使っている道具「パッタエイグア」(と発音される)を用いてエビをとります。よくできた道具で子供でもエビをとれます。


シークワサーを絞る。
ベースキャンプに自生するパパイヤ。

また、潮のタイミングで日中の浅瀬で、投網でミジュン(イワシの一種)やパダラという小魚が捕れるシーズンです。投網練習しましょう!(現地で)。それでアンチョビ、ナンプラーも作る予定!


ベースキャンプの前の海で投網でとらえた小魚(2022.10)

また、慣れたメンバーは、夜の魚突きにも繰り出したいと思います。今回は夜の潮が合わなくて、夜の水深が深くてやりにくかったのですが、10月は潮見表を見るかぎり潮が合う日も多いです。

ベースキャンプの前の海で夜に仕留めた魚(2023.3)

猟としてはベースキャンプ周辺にイノシシの罠をかけたり、また今回2回行ったのですが、島の人が離小島で行う猟に希望者が同行します。今回は合計6頭の捕獲と解体に立ち会いました。

ベースキャンプ近くにかけた罠にかかったイノシシ(2024.3)

また、今回『ソウル・ハンターズ』というシベリアのユカギールの人たちとともに狩猟採集生活をしながら書かれた人類学の研究書を持ち込んでいましたが、獲物は獲物がないから捕れる、それゆえ基本的にはストックを持たないという精神があるようで(他の狩猟採集民もそうした文化を持つようですが)そこにピンときまして。次回からはそこも意識していきたいとおもいます。(今回はクーラーボックスを追加したこともありまるで「冷蔵庫」のようにストックが充実したことに違和感を感じていたもので)。


具体的には、毎回その場で調理して食すか、スモークや干物にして回していきます。(今回は、イノシシ肉20キロが残ったので、それを次回に残さず、希望者で山分けすることになっています)。今回途中からのスモークしましたが美味でしたね。黒島で駆除で撃たれた孔雀のひなのスモークを頭からかじる現地メンバーの迫力もすごかったです。


ベースキャンプでスモークを作る(2024.6)

また、今回は、前回の3月に雨が少なかったためジャングルファームに野菜の苗を植えることができなかったり、いろんな事情で十分に野菜の自給ができなかったのですが、10月は事前に計画をして、よりストイックに米と醤油味噌などの基本調味料以外は完全自給を行います。

野生のパパイヤ、キクラゲ、センダングサ、ハマインゲン、ファームに生えているニラ、シークワーサーなど、他にも事前に野草探索しておきます。今回は、ニラ、センダングサ、シークァサー、ピパーチでつくったジェノベーゼソースが美味でしたね。松葉とレモングラスのお茶もよかった。次回はピパーチも採取するとこからはじめてつくりたい。だんだんとベースキャンプの周りの環境も頭に入るとともに身体化してきたメンバーも増えてきていますね。


ベースキャンプ周辺で集めたもの

今回断念した塩についても、不織布などを用いてマイクロプラスティックを除去した上で、薪の火で沸かして塩を作りたいとおもいます。

そして、その海洋ごみのプラスティックを資源として再生させる実証実験を間瀬さんのリマーレと島の人の協力のもと竹富町の予算でその10月に始めます!これもお楽しみに!

今回も『ソウル・ハンターズ』や技術哲学、環境哲学、人類学からデザイン、生活系の本まで(長谷川愛さんが持ち込んだ白土三平のフィールド・ノート本が良き!!!)の書籍がドサッと持ち込まれましたが、その書籍をもとにしたディスカッションもあり、議論も進みました。10月に向けて事前のトークイベントもオンラインで行っていきます。

またPrimitive Cyborgとしてツールとの関わり、その身体性を重視していますが、現地で一緒に運営しているアキラさんやポイエティカの奥田くんたちと「Primitive tools」企画を構想しています。これは、アキラさんの真骨頂でもあります。

また野生のサイバネティクスの記事で書いたようなあり方を議論したり、ジャングルサバイバルで重要になるボディ・ワークやツールについてじっくりワークするような研究会を合宿形式でこの夏行うことを予定しています。

10月の参加希望、はやめに一報連絡いただけると助かります!!DMお待ちしておりますね!!

どうも、長文お読みいただきありがとうございました。

七沢

ジャングルギャザリングの案内

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