見出し画像

亜熱帯ジャングルで、"Primitive Cyborg" になる

Iriomote JUNGLE CLUBのこの3月のギャザリング無事全行程完了。全体で12日間のジャングル仮暮らし。計24名の方が参加。とてもよかった。参加いただいた皆様ありがとうございました。

今回、Starlinkを導入し、トラブルありつつなんとかJUNGLE Office稼働。ジャングルで仕事するというのは新鮮な体験。ぼくもかなり原稿書いたがよい、とてもよい。自然からのインスピレーションがふんだんに注がれる。テクノロジーと原生自然が交差するのもよい。そして、議論も良かった。今回、哲学やデザインを研究している人たちと、色んな角度から「ジャングルから考える」として思索を深めた。サバイバルだけではない体験へと進化したギャザリングだった。

メンバーがいろいろと魚突きなどのサバイバルスキルを上達させつつあるのも嬉しい。とくに、技哲の活動を一緒にやっている原島さんが夜の魚突きで4匹を百発百中で頭を突いたのは驚いた。それができたのは昼間に達人の技を一緒に泳いでみていたから。ミラーニューロンと生命の力を感じた。

"Primitive Cyborg" というのはどういうことか。これはテクノロジーによる拡張を引き算することから始まる。ぼくらは、普段、膨大な身の回りの道具やテクノロジーのみならず、都市という巨大なインフラを背負って生きている。

けれども、このギャザリングの舞台にはインフラはない。あるのは山から水をサイホンで引いてきた水道くらいなもの。それも今回渇水で十分には使えなく工夫が必要だった。ツールもこの原生自然にふさわしいと判断した厳選されたもののみ。ライトやランタン、スマホなどのためのエネルギーもソーラーで自給した電気を使用しガソリンやガスは使わない。火起こしもガスは使わない。料理や風呂は、枯れ木を倒してこしらえた薪。電波も入らないから、ソーラで貯めた電気でStarlinkを稼働し、衛星から受信するというわけだ。

そんな中でも、ぼくらは、最低限の生きるためのツール、つまりPrimitive toolsとそれを使いこなす技術があれば生きていくことができると確信するのだ。それを実現した存在が、"Primitive Cyborg"だ。

サイボーグというと機械で能力を「拡張」したイメージになるかもしれないけど、構図としてはいつでも人類はサイボーグだ。その拡張の度合で判断するべきではないとわたしは考える。

僕らは裸では生きていけない。その裸に何らかのツールやテクノロジー、それを使いこなす技術で能力を拡張することが必要なことを認めよう。つねにサイボーグ状態なのだ。

おもいとしては、一人でも多くの人に、このジャングルでの引き算を体験して欲しい。そして、帰還するときにふりそそぐ都市のインフラやテクノロジー群の感覚を実感してもらいたい。そうして、足し算としてテクノロジーを身につけていって欲しい。テクノロジーは単に与えられるものではない。

そうすれば、安直にテクノロジーを批判したり、またどんどん拡張することを良しとすることにもならず、各々が生きるために必要なその境界をつかんでいくのではないかとおもう。イリイチが言うような分水嶺は、自分で判断するしかないだろう。自転車だってそれを超えることもあるだろう。

さらに、この滞在は、「プラネタリーな」なにかについても直感するものにしたいと考えている。今回、ぼくらが協力している竹富町の海洋プラごみリサイクル事業の実証実験も4月からスタートする。マイクロプラスティックの問題に触れるだけでも、ぼくらはプラネタリーな行為者でもあることとその責任も知れるだろう。テクノロジーは破壊するだけではなく可能性ももたらす。

じっさい現地では、ひたすら毎日の食材調達から料理、風呂を沸かしたり、薪を集めたりで、そんなにゆっくり考える時間はない。けど、身体は覚えている。都市に戻ってから、自然と湧き上がる何かが教えてくれることもあるだろう。

次回は6月18−28日予定。前半はアクティブな、後半は思索を深める企画を考えている。参加されたい方は遠慮せず、まずはわたしに問い合わせて欲しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?