ドキドキを隠そうとした熱い夏の記憶

初めてなんだって、あんまり知られたくなかったの。

みんなはきっと、経験もあるだろうし。

わたしだけ初めてで、ドキドキしているだなんて、なんだか恥ずかしいというか、思春期ってそういうのがあるよね。



憧れていたのは、野球部の二つ上の先輩。エースで、ちょっぴりやんちゃで、白い歯を覗かせてくしゃっとする笑顔がたまらない。

あまりにも眩しくて、手が届かなくて、見ているだけで胸がいっぱいになるような、そんな存在。


荒れ球が持ち味だった。そんな先輩の荒れ球を信じて、打たれても必死に守り抜く仲間たち。

高校球児なら誰もが夢見る地、甲子園。

勝利の女神は微笑んでくれた。



夢は、諦めなければ叶うんだ。


ああ、神様。

わたし、初めてなんです。怖いけれど、でも期待もあって。



憧れの先輩が掴んだ甲子園への切符。


そのおかげで、初めて飛行機に乗ったときのあのちょっぴり不安の混じった高揚感は、忘れられない熱い夏の記憶となった。

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