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フィクションの境目

「今」が一番な理由なんて明確だ。経験と知識がいちばんあって、だからこそまだ知らないことが世の中にたくさんあること、それを知れる可能性があることを人生でいちばんわかっている瞬間だから。

好奇心への執着が導いた、輪が少しずつ大きくなりつつある世界は悪くない。


もしかして壁の上にもなにかあったの?
でも、そもそも見下ろすことを平気でしてしまえるようになりたくないからと。賢さによる損があるなんて、誰も教えてくれなかったし。それ以上やさしくなろうとしないで、壊れちゃうからと引き止められた記憶はいつのものだろう。

好きなひとに呼ばれたんだね、急いで自転車に乗って引き返す女の子。
行くね、といつも思い切り進んでみるけど、もしかしたら引き返したい瞬間があったのかもしれない。深夜2時の信号は、あまりにも明るい。


きみは絶対値ではかっているのか。プラスもマイナスもない。軸からどれだけ“しなり”をきかせて遠くまで行けるか。だから、墜ちていくのも気持ちいいんだろう。

なんて言われた日があったっけ。そう、だから好きだと返せばよかった。

傲慢かやさしさかすら見抜けないひとに、労力を割く必要なんてない。そんなのただの手に入れられなかった未来に思いこがれている自分を正当化してるだけだ。怒りへの反射速度を上げることだけが、きみを守る方法じゃない。


遠回しの愛は、美しいけど続かないように。きみはきみのままで美しいからと。なにも気付きたくなかった、と泣いてしまう姿に彼は、きみは美しいとだけささやいて。

壁の上から見える世界は、ただのフィクションだからと。


読んでくださってありがとうございます。今日もあたらしい物語を探しに行きます。