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知的好奇心を揺さぶる 『マンガは哲学する』

マンガと哲学って絶対に面白い組み合わせ!とワクワクして手に取ると、裏表紙の説明文に惹かれ、序文を開いて既に大共感です。中途半端にまじめな話に嫌気がさすが気持ち、すごくわかります。期待を裏切られない大満足の一冊でした。

存在や自己、夢や人生、世界や時間についてのこんがらがる哲学的問題や問題提起の仕方を、噛み砕いた言葉と的確なマンガの引用で深めていきます。筆者流・物語の哲学的な読み方vs文学的な読み方の違いも面白く、知的好奇心が揺さぶられます。マンガの世界ってこんなに豊かだったのかと気づかされる嬉しさもあります。

筆者が序文で目指していた通り、マンガ入門にも哲学入門にも最適の一冊でした。



『マンガは哲学する』 永井 均


頭の良い人なのだなあ、と天晴れする読み心地です。筆者には哲学に対する明確なビジョンがあることはもちろん、それを言葉で説明する巧さが非常に心地良いのです。

時々意地悪な感じもするのだけれど、それが嫌味に感じられないのは、筆者に知的な実力があることがメリメリと伝わってくるからでしょうか。

ちょっと子どもっぽいところがあるけれど、だからこそ筆者は哲学者なのかな、とも感じます。

本書で扱われているのは知らないマンガばかりだったのですが、説明と引用するコマの選び方が抜群に上手くて引き込まれます。紹介されているマンガを知らなくとも充分に楽しめることでしょう。

全てのマンガを手放しで絶賛している訳ではなくて、時には厳しい意見や問題提起もあるのだけれど、批判する視点が的確かつ興味深いので紹介されているどのマンガも読んでみたくなります。褒めることでだけでなく、否定的な意見を書いてすら読みたくさせられるってまさに理想的な紹介だと思います。

マンガの世界が広がり、哲学の入り口が見えた気がします。マンガが哲学のとっかかりとして、こんなに取り組みがいのある題材だったとは!
マンガに疎く哲学に詳しい方が読んでも面白い組み合わせなのではないでしょうか。

筆者の本、もっと読みたいな!


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