【詩】今年も春が来る
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今年も春が来る。
空気がすうっと、見渡しよく透き通る。
風がさあっと、世界を優しくなぜる。
日差しが、全てのものをワントーン明るく照らす。
キラキラ、花束、涙、巣立ち。
そこにいる主役達は、そこにいるだけで、光を発しているよう。
真新しいスーツに身を包んだ若者。
少しの不安とそれ以上の期待とをはらんだ、少し上を見上げる瞳。
ぶかぶかの制服に身を包んだ学生たち。
全身から高揚が溢れ出て、おしゃべりが止まらない。
桜が一気に咲き誇り、桜吹雪が景色を支配する。
ヒラヒラと落ちる姿をとらえたくて駆け回る子ども達。
普段、写真なんか撮らない風の彼が、
今だけはと桜と彼女を一緒に収めるべく
必死な顔でスマホのシャッターを押す。
「やっぱり、春は出かけたくなるね」と、
その彼女は嬉しそうに彼に話しかけてる。
その横を、撮影の邪魔をしないように避けて歩きながら、
私はくしゃみを一つ。
澄み渡っている風の空気は、気候の良さに騙されているだけで花粉やら黄砂がいっぱいで結構かすんでるし、
風がそれを運んでくると思うと深呼吸も憚られるし、
マスクが手放せないから逆に息苦しい。
ただでさえ、日差しがまぶしくてげんなりしているのに、
卒業式で巣立つ子達のキラキラした表情に前途ある未来を感じると、
中途半端に生きてきた自分の身を顧みて、
結局、高校の卒業式の日が人生のピークだったなあと、さらに憂鬱になる。
就活に失敗してバイト先にそのまま就職したから、
新入社員らしい就職じゃなければスーツも着なかった。
今から全てが始まる学生達を見ると、妬ましさしか感じない。
どこもかしこも舞い散る桜がうっとうしければ、
いろんな人に気を使う花見もできれば行きたくないし、
幸せ家族も、はしゃぐカップルも目の毒だ。
なのに、やたらと視界の中に入ってくる。
春は自分以外の全てのものが輝いて見えて、
自分の薄暗さをただ感じるだけの季節。
何て憂鬱な季節だ。
どんより曇って、あのカップルの上に雨でも降ってしまえ!
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……あれ? これ、詩じゃないな…。ただの中年のグチだ…。
そういうわけで、私は春が一番苦手な季節です。
周りが美しすぎて、とっても気持ちが落ち込みます。
またあの季節が来るのかと思うとげんなりしますが、
極力、家に引きこもるか、ジムで筋トレでもしてやり過ごそうと思います。
そもそも、私、ボキャブラリーがアレすぎて、詩なんか書けません!
お粗末様でした!
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