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オリンピックから見るジェンダー

みなさんこんにちは!
私たちはrethink olympicです!
このアカウントは都内の大学に通う4人の学生で運営しています。
私たちは去る8月8日に閉幕した東京オリンピックの経緯や様々な問題点について考え、発信していきます。
私たちの投稿がみなさんのrethinkする機会になればいいなと思っております。

今回は東京オリンピックから見えた日本や世界の「ジェンダー」に迫っていきたいと思います。最近は「ジェンダー」という言葉をよく耳にしますよね!ニュースだけでなく、ファッションなどでも「ジェンダーレス」がトレンドになるなど、日本人の私たちにとっても身近な言葉になったと言えるでしょう。しかし、世界と比べると日本はジェンダー平等への理解が遅れているという現状があります。なので、今回は改めてみんなで「ジェンダー」について考えていきましょう!

ジェンダーとは?

なんとなく性別のことかな?という印象を持っている方から、はっきりと説明できる!という方までいらっしゃると思いますが、まずはジェンダーという言葉について一緒に確認してみたいと思います。
ジェンダー(gender)とは、生物学的な性(sex)と比較して、社会的・文化的な文脈で作られた性別の事を指します。生物学的な性に関しては、生殖機能の違いによって決められるものですね。一方で、女性だから・男性だからこうあるべきだ、という考えをジェンダーと呼びます。この考え方は社会の、そして個人の様々な側面から見られると思います。例えば女性は職場でヒールを履くべきだ、という#KuToo運動の対象になった問題も、ジェンダーに起因する問題です。だって女性だけ高くて一日中履いていると疲れるヒールを履かなければならない理由ってなんですか?少し考えると、社会的にそうすべきだ、と考えられていたことが原因のジェンダー不平等な事例の一つだと分かりますね。
日本はこのジェンダーの考え方をもとにした不平等な状況が深刻で、国際社会からも頻繁に批判されています。自分にはそのような考え方はない!平等であることが良いことだと思うし、意図的にジェンダーの観点を原因に差別することはない!と考えている方も多いと思います。しかしジェンダー問題の恐ろしいところは、あまりにも社会的に蔓延しているものであるため、自分には自覚がないうちにジェンダー不平等な価値観を取り込んでいる可能性があるところです。ぜひこの記事を読みながら、改めて自分自身は本当にジェンダー問題に対してフラットな姿勢を取れているのかどうか、考える機会にしてくださると嬉しいです!

問題発言から見えた日本のジェンダー観

今回の東京オリンピックは大会ビジョンとして「多様性と調和」が掲げられるなど、互いの違いを受け入れ、共生していく社会を目指すことが一つの目標とされていました。

「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。」

出典:東京都オリンピック・パラリンピック準備局『大会ビジョン』

開閉会式でも「多様性と調和」を体現する演出が多く取り入れられていましたね。最終聖火ランナーは多様性の象徴として、日本、ハイチ、アメリカにルーツがあるテニスの大坂なおみ選手が務めました。

しかし、日本国内でのオリンピックへの道のりを振り返ってみると、今年2月に大会組織委員会の森喜朗元会長が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などの女性蔑視発言をしたことで、日本だけでなく世界中から批判の声が上がりました。さらに今年3月には、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式のクリエイティブディレクターを務めていた佐々木氏が、渡辺直美さんの容姿を侮辱する内容の演出案を考えていたことが公になり辞任しました。このようにオリンピック開催までに、日本のまだ遅れているジェンダー観というものが世界に露わになり、オリンピックビジョンの「多様性と調和」から乖離しているように感じられました。実際、世界経済フォーラムの2020年版「ジェンダーギャップ指数」によると、日本の順位は153カ国中121位と全主要国の中でも突出して男女格差が大きいということがわかります。

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出典: 世界経済フォーラム"Global Gender Gap Report 2020"

これだけジェンダー平等や多様性が叫ばれている現代でも、政治家などによる性差別発言は後を絶えません。それは、政治家に限ったことではなく日本の社会全体を見渡してみても、人によってジェンダーに対する「意識」に大きなズレがあると思います。『電通総研コンパス第6回調査「ジェンダーに関する意識調査」』によると、下のグラフに示されいるように『「社会全体」は男女平等になっているか』という問いに対し、「男性の方が優遇されている」と答えた人の割合が男性は54.1%、女性は75.0%と男女間で20%もの差が生まれていることがわかります。これは、男性全体がジェンダー平等に対する意識が低いと言いたいわけではありません。ただ、このデータから見える「意識」の差を埋めていくことが、これからの日本社会でジェンダー平等を達成するために重要になってくると思います。

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出典:電通総研コンパス第6回「ジェンダーに関する意識調査」

東京オリンピックの中のジェンダー

「多様性と調和」を掲げ開催された今回の東京オリンピックですが、性的マイノリティーを公表したアスリートは183人と過去最多となり、前回のリオオリンピックの3倍以上となりました。公表するアスリートが増えている背景には同性婚が合法化となった国が増えたこと、SNSでブライベートを公開することが身近になったことがありました。
今回の東京オリンピックでは特にLGBTQを公表したアスリートの活躍が目立ちました。LGBTQのアスリートが獲得した金メダルは11個で、国や地域別と比較すると7位という結果でした。飛び込みのトーマス・デーリー選手が金メダルを獲得した際には大勢の性的マイノリティーの人々にとって意味のある勝利だとオープンに話しました。こうした当事者による発言は世間の意識を変えたり、考えさせるきっかけとなると思います。

出典:NHK「金メダリストから性的マイノリティーへのメッセージ | シンクロ高飛び込み | 東京オリンピック」

まとめ

今回は、オリンピックから見た「ジェンダー」についてお話しましたが、どのように感じましたか。今回のオリンピックを通して、オリンピック自体ではジェンダー平等への理解が深まっていると感じられましたが、開催国であった日本ではジェンダーへの理解のなさがより浮き彫りになりましたね。私たち一人一人が意識的にジェンダーに対するバイアスを無くし、これからどう向き合っていくか、その姿勢が今問われていると思います。

参考文献

内閣府 『性差:ジェンダーとセックスの違い』2011年
http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article070.html(8月29日閲覧)

JICA 『「ジェンダー」の意味、解説します』
https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article004/index.html 
(8月29日閲覧)

BBCニュース 『【東京五輪】 初のトランスジェンダー選手、重量挙げで記録なし 英選手が銀』2021年
https://www.bbc.com/japanese/58059610 (8月30日閲覧)

日テレNEWS24 『東京五輪 LGBTQアスリート増加のワケ』2021年
https://www.news24.jp/articles/2021/08/14/07923369.html 
(8月29日閲覧)

BBCニュース 『東京五輪組織委の森会長、辞任へ 女性蔑視発言問題で』2021年 https://www.bbc.com/japanese/5602228 (8月30日閲覧)

日刊スポーツ 『佐々木宏氏「調子乗って出したアイデア」謝罪文全文』2021年
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202103180000017.htm (8月30日閲覧)

日刊スポーツ 『最終点火者は大坂なおみ、コロナ禍と人種多様性とんだ東京五輪の聖火ともす』2021年https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/tennis/news/202107230001207.html (9月2日閲覧)

東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト 『東京2020大会におけるジェンダー平等/多様性と調和の推進について』2021年
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/unity-in-diversity (8月30日閲覧)

電通報 『今年は120位。意識と実態がつりあわない、日本のジェンダー平等』2021年 https://dentsu-ho.com/articles/7712 (8月30日閲覧)

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