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オリンピックの真価とは?

みなさんこんにちは!
私たちはrethink olympicです!
このアカウントは都内の大学に通う4人の学生で運営しています。
私たちは去る8月8日に閉幕した東京オリンピックの経緯や様々な問題点について考え、発信していきます。
私たちの投稿がみなさんのrethinkする機会になればいいなと思っております。

今回は東京オリンピックが本当にアスリートファーストだったのかについて考えていきます。今回のオリンピックは開催を強行するIOCや政府の姿勢から「利権のためのオリンピック」という風に言われることも多かったように思われます。また、大会期間中はアスリートへの誹謗中傷などもあったりなど、選手を守るための枠組みがまだ準備されていないという側面も見えました。この記事では、IOCや政府のオリンピックとアスリートへの向き合い方を見直していきます!

アスリートファーストだったのか?

振り返ってみると、今回の大会は開催までに「アスリートファースト」という言葉がIOCや大会組織委員会にとって都合良く使われてきたかのように思われます。まず、東京の酷暑問題についてです。招致の時点から東京の天候について東京五輪招致委員会は虚偽の報告をしていたのではないかと海外メディアから批判されています。招致の際には、「温暖で、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」と主張していました。しかし、実際には大会期間中も酷暑が問題視され、アスリートたちも悲鳴をあげていました。女子マラソンに至っては、競技開始の前夜にレースが1時間早くスタートすることを伝えられ、アスリートたちも困惑することとなりました。以前からわかっていた問題にも関わらずIOCもそのことをスルーし、結局はオリンピックが始まってから後手後手の対応になってしまいました。

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出典:NO COAL JAPAN「史上最も暑いオリンピック」, Szubski C: Sweltering Heat at the 2020 Olympics in Tokyo. Sportify Cities Report. 2016.

また、今回のオリンピックはコロナ禍の開催ということで、通常のオリンピックとは全く違う様相となり、参加するアスリートも複雑な思いを抱いていたように思います。開催直前まで世論では中止の意見があった中で、政府や大会組織委員会はオリンピックを強行開催し、アスリートたちは「選手」と「国民」という間で苦境に立たされてきたように見えました。実際、陸上女子1万メートルで出場した新谷仁美選手は開催半年前に、「アスリートとしてはやりたい。(でも)人としてはやりたくないです。アスリートとしては賛成だけど、一国民としては反対という気持ちです」と発言されていました。大会全体を通して「アスリートファースト」という言葉が独り歩きして、当のアスリートたちが置いてけぼりにされているように感じられることが多々あったように思います。オリンピックはアスリートのための大会であるはずなのに、なぜか主催者側の意見が優先され、そのしわ寄せを受けているのはアスリートたちのように見えました。

コロナ禍のオリンピック

東京オリンピック・パラリンピックはコロナ禍で開催されました。8月4日には大会組織委員会が、選手や関係者など計29人が新型コロナウイルスに感染したことを発表しました。感染者の中にはギリシャのアーティスティックスイミングの選手が含まれており、ギリシャ代表は棄権をしました。1年の延期を含めこれまで練習を重ねてきて、コロナによっての直前の棄権はとても心が痛みます

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出典:国立感染症研究所「東京オリンピック競技大会に関連した新型コロナウイルス感染症発生状況(速報)」

アスリートは選手でもあり国民でもある

国別対抗戦であるオリンピック・パラリンピック。そこで活躍するのはアスリートです。近年、世界の様子を見ると、アスリートが国によって制限されたり圧力をかけられる様子が見受けられます。例えば中国の卓球界です。中国は卓球が強豪で有名であり注目をされますが、その反面、過度な期待をされるなど選手へのプレッシャーがとても強まっています。今回の東京オリンピックでは混合ダブルスで銀メダルを獲得しました。しかし、国中が金メダルを期待していたこともあってネットでは「国家を敗北させた」「オリンピックでメダルを取れないことは『非愛国者』に等しい」など、バッシングを受けていました。国別対抗戦であるが故にこのようなことが怒ってしまうのは胸が痛みます。また、アスリートが五輪出場の可能性を広げて国籍を変更しようとするケースもありますが、「愛国心」というような国や人それぞれ違う情緒的な要素が入ることで問題が複雑になります。次のオリンピックでは、観客が国の代表や国籍というものに囚われずにアスリートを応援できるような大会になって欲しいものです。

スポーツと政治

スポーツは国、もしくは政治の道具として度々利用されてしまうことがあります。「スポーツウォッシング」という言葉を聞いたことはありますか?元五輪選手で政治学者のジュールズ・ボイコフ氏が『オリンピック 反対する側の論理』(作品社)の中で、「スポーツイベントを使って、染みのついた評判を洗濯し、慢性的な問題から国内の一般大衆の注意を逸らす」と表した言葉です。個人的に何だか今回のオリンピックと重なるような言葉だと感じてしまいました。もちろんオリンピックアスリートたちの活躍は見ていた人々に大きな感動をもたらし、多くの人を勇気づけました。しかし、だからと言ってオリンピック期間中に起きた様々な問題に目を瞑り、忘れてしまっていいのでしょうか?私は、それとこれは別問題だと思います。オリンピックは私たちに多くの課題を残していきました。政府の説明では東京オリンピックではバブル方式によって安全・安心に行われると言われていましたが、実際には選手や関係者の無断外出があったことが判明し、バブル方式は随所に穴があったことが指摘されています。また、「コンパクト五輪」を目指していたものの最終的に東京オリンピック・パラリンピックの費用は当初の2倍以上になっており、今後は巨額の赤字も懸念されています。更には、今回のオリンピックのために新たに建設された競技会場が早くも「負の遺産」になるのではないかという話題も上がっています。恒久施設として新たに建設された7会場の総整備費は約2900億円に上り、そのうち5会場は今後、年間の赤字総額が10億円を超えるとされています。当然のごとくこれらの費用には私たちの税金が注ぎ込まれています。一方で東京オリンピック閉幕後には、海外アスリートや海外メディアらが「日本でなかったら開催できなかった」や「大会は成功した」と評価する報道を多くしていました。これらの称賛を一通り振り返ってみると、ボランティアの素晴らしさ、日本人の親切さやその協調性を讃えるものが多かったように感じます。日本でも開催直前まで「反対」の声が多かったのに、どのようにして私たち日本人は協力的な開催国になれたのでしょうか?そこで私は、オリンピック開催直前に読んだある記事に書かれていた言葉を思い出しました。モーリー・ロバートソン氏の記事にあった「合理的泣き寝入り体質」という言葉です。

自分もこの間までは反対していたけど、もう「やる」と決まったんだから応援しようよ――と、とりあえず現状を追認し、自ら納得できるようなロジックを勝手に頭の中で構築していく。

出典:週プレニュース『東京五輪で日本人の"合理的泣き寝入り体質"が世界にさらされる?』

日本人が「もうやると決まったなら仕方ない」と渋々受け入れて開催されたオリンピックが、海外からは協力を感謝され大会の素晴らしさを讃えられて閉幕することになったって何だか皮肉ですね。開催される中でアスリートの活躍に胸打たれる瞬間はあったし、見ているうちに開催して良かったと思った方もいると思いますが、日本が五輪を開催したことで残った負の遺産は、称賛の言葉だけでは片付けられないのではないかと思います。今回のオリンピックは様々な大義名分の元で、私たち国民が振り回されてきました。「復興五輪」、「人類がコロナに打ち勝った証」など掲げていましたが、振り返ればそのどれもが達成できていないように思われます。果たして、このような状況を生み出した東京オリンピックは本当に「成功した」と言えるのでしょうか。橋本聖子大会組織委員長は「成功したかは歴史が証明してくれる」と発言していましたが、すでに現時点で自明のような気がするようなしないような、、、


参考文献

東京新聞 『酷暑の東京五輪「ひどいうそついた」米メディア、IOCへの「理想的な」報告を問題視』2021年
https://www.tokyo-np.co.jp/article/11978   (9月11日閲覧)

東京新聞 『五輪競技会場「負の遺産」に? 重い維持費、赤字へ危機感』 2021年
https://www.tokyo-np.co.jp/article/12133  (9月11日閲覧)

朝日新聞 『女子マラソン、1時間前倒しで開始へ 記録的な暑さで異例の前日変更』2021年 https://www.asahi.com/articles/ASP866KFJP86UTQP03F.htm
  (9月11日閲覧)


BBCニュース 『【東京五輪】 来日選手4人含む29人が新型コロナ感染 東京で新たに4166人感染確認』 2021年
https://www.bbc.com/japanese/58081904  (9月11日閲覧)

BBCニュース 『【東京五輪】 中国選手、国家主義者の攻撃の的に メダルなしは「非愛国者」』 2021年
​​https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58091279  (9月11日閲覧)


日刊スポーツ 『五輪で初の「クラスター」 ギリシャASチーム全12人を選手村外へ隔離』 2021年
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202108040000401.html  (9月11日閲覧)

現代ビジネス 『東京五輪、「疑惑をかけられた偉い人」が全員“逃げ続けている”日本のメチャクチャ』 2021年
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83414?imp=0  (9月11日閲覧)

森田浩之 『東京五輪報道に見えた真の「アスリートファースト」──開幕の半年前に起きた変化が意味するもの』 2021年
https://news.yahoo.co.jp/byline/moritahiroyuki/20210127-00219573 (9月11日閲覧)

日本経済新聞 『アスリートの国籍変更は悪いことなのか』 2017年
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO12976570W7A210C1000000/ (9月11日閲覧)

Yahoo!ニュース THE PAGE 『海外メディアは異例ずくめの東京五輪をどう評価したのか…「優しく寛大で忍耐強かった日本人」「指導者が安全・安心を裏切る」』2021年
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d18df8da13313608bf8da2255dcbcc8f0df5ac6  (9月26日閲覧)

Yahoo! JAPAN 東京オリンピック・パラリンピックガイド『インド人記者が見た“コロナ禍”の五輪「日本でしか大会開催できなかった」』2021年 
https://2020.yahoo.co.jp/column/detail/202107280008-spnavi  (9月26日閲覧)


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