見出し画像

勝手に1日1推し 219日目 「ラストマイル」

「ラストマイル」監督:塚原あゆ子 脚本:野木亜希子     映画

豪華でしたよね~、本作のイベント!!映画、絶対見たい!ってなっちゃうでしょ、そりゃあさってなった。
シェアードムービー?って初めて知ったんだけど、過去作ドラマの世界線と同軸の物語ってことなんですね!「アンナチュラル」も「MIU404」も大好きだったあ・・・
レッドカーペットに登場した豪華極まりないシェアード俳優の方々がみんな仲良さそうでほこほこしちゃったあ・・・
脚本も野木亜希子さんだしね、間違いない!!
どうなっても見るっしょ。
でもでもドラマを見ていなくても内容的には全然無問題なので、未見の方もご安心を。

ある日、届いた荷物は爆弾だった――日本中を震撼させる4日間。 11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界的なショッピングサイト最大手から配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく—―。関東の4分の3を担う巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。 誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか? 決して止めることのできない現代社会の生命線 ―世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか? それぞれの謎が解き明かされるとき、この世界の隠された真の姿が浮かび上がる。

Filmarks

家にいながらクリック1つでなんでも買えてすぐに手元に届く。もはや生活の一部となってしまっている便利な物流。この快適な生活の背後にある闇は深かったですね。
物流含めライフラインを支えてくれている人々には、労働環境や収入の保証と安全が確保されてほしいものですね。日々感謝。

配達のドライバー不足なんて、コロナ以降こんなに問題になってるんだから知らない人なんていないでしょ。でも内実を知る人も考える人も改善を試みる人も少ない。どうして物流に問題が生じているのか、ドライバー不足なのか、置き配を促進しているのか、本作以降、鑑賞した人誰もが知ることとなります。

って、こんなに世相を反映したシリアスなストーリーなのに、軽やかに描くよね、ホント。脚本と演出でこんなにも重苦しくなく出来るもんですね。毎度ながら感心しちゃうなー(←誰)。
ふっつーにはらはらしてどきどきして、笑えて泣けてさ。128分の長さを感じさせない。
これ、シリアスシリアスしてたら疲れちゃうし、見よう!ってなる人、きっと半減しちゃうハズなのよ。広く届けるには重過ぎてはなりませぬ故。
ドラマから一貫して、誰もが知る、又は、無意識でも感じている社会問題をエンタメに昇華させて描いているから、こんなにも巧妙かつ軽妙で秀逸で、すんなり馴染むんですよね!誰にも地続きだし誰もが当事者なんだもん、関心が持てるし面白いしってなるに決まってるじゃんっていうね。

野木亜希子さんって漫画を実写化した映画の脚本も手掛けてるじゃないですか。私が原作ファンで映画でも見たのは「俺物語!!」と「カラオケ行こ!」だけなんですけど、とにかく作品の解釈の解像度が本当に高いなって思うんですよ。裏切らない。
そもそも2次元を3次元化する訳だから原作そのままでいいはずがない。原作にはないオリジナルプロットが加わっても、本質を変えることなく作品自体を別のエンタメへと昇華させていると思うんですよね。

それって、全編オリジナルの脚本についても同じで、テーマや問題の本質を捉え、解釈し、上手に調理。問題意識の提示の仕方を誰にでも分かり易く見易くなるように解像度を高めに高めて作り上げているんだって思うんです。鋭く深く切り込み、でも難しくなり過ぎず関心をもって楽しく見られるようにってエンタメ性を失わずって両立させるんだもんなあ。すごいなあって、興味深いなあって思います!

爆弾テロを解明するというミステリ&サスペンス(フィクション)に消費者と物流の問題点(リアル)を包み込む。結果、知らず知らずタイムリーで身近な現実問題と向き合っている鑑賞者っていう導きがスマート。
大サービス!!シェアード先の機捜の活躍やUDIラボメンバーによる核心部分の紐解きも納得出来るものだったし、正に「ラストマイル」で起きた事件で幕を閉じるなんて、お見事!!
ちなみに「ラストマイル」とは、顧客に商品やサービスを届ける最後の区間って意味らしいです。
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」青島です。「踊る大捜査線」です。否「ラストマイル」です。
オチがまた最高!!こういうとこがホント好き。hinomoto~(涙)。国内での丁寧なモノ作りがもっと尊重されて欲しいものです。細かい所までにくいね!
物流のみならず、タイパ、コスパが主流な世の中で、それについて考える時間と立ち止まる勇気が問われているのかもしれませんね。

私たちはフィクションの中でだけでも理不尽を打開してもらいたいし、そこから現実でも理不尽は打開出来るかもしれないって思える希望や、実際打開する勇気を持ちたいじゃないですか。
何も変わらないように見えても、少ししか変わらなかったように見えても、次に進んでるって思える現実に即したラストも良かったです。
作品内の登場人物も鑑賞者も、同時に小さな気付きを得、感情がリンクした気がしました。
からの、米津玄師さんの歌声~歌詞~。しみじみ。

とはいえ、消費者としては安くて便利って魅力だから抗えないんだけど、それが過ぎるとあかんので、ほんとムズカシイ。Amazonとか使っちゃうよお。
私の生活圏では足で何でも叶いますんで、面倒臭がりなポチりは控えようって思いました。
メディカル便だったり過疎地だったり小さいお子さんがいたりお年寄りだったりが優先でって・・・。

ででで!!ほんと、満島ひかり劇場!!最高!!
自信ありげなバリキャリから始まり、段階的に疲弊、焦り、不安が表れ、最終的に怒りからの底なしの使命感。
衣装がね~、良かったね~。
レトロな古着っぽいコートにトレンチにスーツにワンピにってヴィンテージルックが本気でかっこ良かったし似合ってた!
スタイルを持ったしごできな女性としての個性が一目瞭然。
ファッションには弱いデリファス自社仕入れのもさもさスウェットやニットなんかも愛嬌があって似合っちゃっててずるい。かわいい。
反対に孔(岡田将生)の仕事にも身なりにも人生に無関心な感じも衣装で表しているんだろうけど、なんだかそこまでひどくもダサくもなくて、こちらもずるい。ベンチコートを翻す姿なんて様になってます。ヒーローかよ。かっこいい。
五十嵐役のおディーン様も良かったよね~。最後の表情、ヤバかったね。決して悪い奴じゃないんだよな。衣装もイケてるすかしたCEO感が出てましたね。
社員みんなのルックが雄弁に語るの巻でした。

関係ないけど、私的には木林さんファンだから、出てくれて嬉しかった!スチャッ(レンズ上げる音)。「アンナチュラル」を再度見直すことを決意しました。

最後になりましたが、トレンチコートが欲しくて数年探しているんだけど、中々これっていうのに巡り会えないのよね。今年こそいいのを見つけるぞと心に誓ったことも併せて記します。

ということで、推します。

PS:ネタバレ(?)かもだけど、ロッカーに書かれたメッセージって結構終盤まで、どういうこと?ってなってたんですけど、労働環境改善の訴え?思い?次の人へのメッセージだったってことでよいでしょうか。自殺じゃなかったんですよね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?