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[私はもう少しで学校で銃を乱射するところでした]魂の叫びのTEDスピーチ

“I Was Almost A School Shooter" by Aaron Stark

これは困難な生い立ちで虐待されながら育ったアロン・スタークが、銃乱射を実行する直前に思いとどまれた、些細な親切の重要さを語ったスピーチです。

取り返しのつかないこと

「私はもう少しのところで学校で銃を乱射してしまうところでした。
あれは1996年のことです。苦しく向けようのない怒りの末に、取り返しのつかないことをするところだったのです。

私が生まれ育った家庭は、暴力的で、ドラッグ中毒であり、引越しばかりで転校した数は30−40回。私はどこへ行っても新参者で溶け込めず問題を起こし、その度に警察がやってきては別のところへ追い出され、ほぼ2週間おきに転校させられました。

そしてこの悪循環の元凶の一つに、私はいつも臭かったのです。まともにシャワーも浴びず、清潔な服もなく汚れ破れており、肥満体でした。

ですので、新しい学校に行くたびに、毎回新たないじめの対象になりました。
子供たちは私を銃で撃つフリをし、食べ物を頭にぶちまけ、デブと呼びましたが、これは学校だけでなく、家でもやられていました。

役立たずと言われながら育ち

12歳の頃、他のほとんどの子供たちのように無防備で何もできるわけでもなく、常に皆から役立たずと言われながら育ち、やがてそれを信じるようになりました。

暗闇の中でブランケットを盾にするようにしてくるまり、怯えて閉じこもり、良い人も悪い人も見分けがつかず、近づくもの全てをはじき返し、押し除けるようになっていきました。

14歳でリストカットをし(ここで腕を上げて袖をまくり、傷跡を聴衆に見せる)、15歳には家を追い出されてホームレスになりました。

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それまで僅かにいた友人をも遠ざけ追い払ったのは、それ以外の対処法を知らなかったからです。
16歳の時、とうとう行き場がなくなり、先に自分から追い払った友人の庭の物置に逃げ込みました。屋根は穴が空いて雨が滴り落ち、割れた窓の横で、蜘蛛の巣だらけの椅子に座り、血だらけの腕を抱えながら、このままでは死んでしまうと真剣に思いました。

ギリギリのところで電話帳を開き、ソーシャルサービス(福祉課)に電話をし助けを求めましたが、助けてくれるどころか、今まで虐待し続けてきた母のもとへ連れ戻されました。

大勢を傷つけたくなった

久しぶりに会った母が私のリストカットの跡を見たときに言った言葉が頭から離れません。
『次にやるときはカミソリを買ってやるよ。そうしたら確実に始末できるからね』
(震えた声で)・・・この時点で私の心臓は完全に張り裂けてしまいました。もう何も生きてる価値を見出せず、失うものは何もなくなりました。それは恐ろしい瞬間でした。
この行き場のない怒りと悲しみを銃で発散させようと考え始めました。
あとは、それをどこで実行するか。学校でもいいし、ショッピングセンターのフードコートでもよかった。できるだけ警備の低いところで、できるだけ短い時間内で、できるだけ大勢を傷つけたくなったのです。

これで銃を手に入れるのが難しかったのなら何も進展しなかったでしょうが、私の家庭事情を知る古い知り合いに会って銃を手に入れたい旨を告げると、二つ返事で「いいよ。三日後にな」と言われます。たったそれだけで銃が手に入ったのです。

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ただそばに座る

ただ幸いなことに、そんな絶望の暗闇の中で私は独りぼっちではありませんでした。
私に物置小屋を提供してくれていた友人は、私の境遇を全て知っていて、私が悪事を重ねていたのも全て承知の上で、私を保護してくれていたのです。いままで私が彼にした仕打ちや、彼のものを盗んだこともあったにも関わらずです。

それは、あからさまな親切のオファーではなく、ただそばに座り、ご飯を食べに行かないかとか、映画を見に行こうとか言って、私を一人の人間として扱ってくれたのです。

今まで、誰からも相手にされず見放され、一人の人間として扱ってもらえず、まだ何もしていないうちから通報されしょっぴかれの繰り返しの人生の中、25年前のまだ子供だった私に何が出来たのでしょうか?虐待の末に、恐れ、傷つき、鬱になり、隅で縮こまっていた子供に。

・・・でも、そんな中でも見放さず寄り添っていてくれた友人のおかげで、私は銃乱射を踏みとどまることができました。私に、今日は何日だよと教えてくれ、連れ出し、どんなに辛い時でもトンネルを抜けたら光が見えてくるもんだよと教えてくれたのです。

トンネルを抜けたら光が

そして、光が見えてきたのです。(声を震わせて)
今私は、幸せな家庭を築き、4人の子供美しい妻に恵まれ、彼らはこの会場に来ています。
<拍手喝采>
そしてもっと特筆すべきことに、その友人もここに来てくれています。
<会場内が割れんばかりの拍手と歓声にあふれる>

愛を与えられる価値がないと思われるような人にも愛を与えることができます。
チャンスをください。ありがとう。」

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<全聴衆総立ちのスタンディング・オベーション。会場の様子がステージからもよく見えるように、それまで暗かった会場の照明が灯される>

寄り添うだけでも十分伝わることを教えてくれたスピーチだったと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

次は、[8万3千回の脳のスキャンで判った重要なことーーー問題行動の影にあるもの] The Most Important Lesson From 83,000 Brain Scan の、開眼もののスピーチを紹介したいと思います。


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