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まだうつ病になってませんが何か?

社員がメンタルの調子をくずしはじめる環境を作ってる時点でその職場は終わってる。もちろん色んな職場で、職員の健康管理に悩まれてると思うし、ここ最近、過労死をはじめ労災による病気や死が改めて問題視され、もうこれは本当に様々な工夫や苦労がされてるとは思う。会社にカウンセラーをつけたり、産業医面談を積極的にすすめたり、「少しでも困ったらいつでも相談してね」という雰囲気を出してみたり。この国には体調を崩した職員が「傷病手当」を貰いながら休職できる制度があったりもするしね。

でもこれらの制度の多くは「不調を抱えた人をどうサポートするか」に偏っていると思う。もちろんそれはとても、大事なことなのだけど、私個人的にはこう思う。

「不調がはじまる環境がある時点で、その会社はある程度終わってる」


※もちろん普段からいい環境を作ることに努力されてる職場もあるのは知ってます

不調が顕著になると会社はやっと手を打ち始める。声をかけてくる人もいるだろう。私は会社に自分の抱える不調を話していない。たとえ声をかけてくれる人たちがいたとしても、期待してないから話すことはないと思う。

だって、過去にも明らかに会社のせいで壊れていった人達は大勢いる。声を上げながらも無視されてきたひとたち。それを改善できる立場にあるはずの管理職クラスは社員が辞める原因を検証すらせず、そうならない環境を作ろうとするようなアクションを起こしてすらない。 過去に辞めた人たちが抱えた問題を無かったことにしているひとたちに、話すことなどない。会社には何も残さず、自力で歩けるうちに、自分の足で去ろうと決めている。

うちの会社には、不調になったら時短勤務、別室勤務、自宅勤務、産業医面談、そして休職など、さまざまな取り組みはある。しかし、いずれの場合も一度限界を超えた人たちである。その後の回復は容易ではない。もう後には戻れず去ることを余儀なくされるひとも多い。残ることができた人も、以前と同じように働くことが出来なくなっている様子も見られる。取り返しがついているように見えて、取り返しのつかないほどに擦り切れている人が大勢いるのだ。この事態を真剣に捉えている人がどれだけいるだろう。限界をこえたひとたちをサポートするよりも、限界をこえる人たちをうまない環境を作って欲しい。ただ、今のところその様子は全くない。

そこに気づき、危機感をもったひとは、冷静さを失わないうちに静かに去っていく。何も言わずに。


入社して4年目の今の職場。毎年のように誰かが心身を壊して去っていく。心身を壊さないまでも、会社と喧嘩別れをするひともそれなりにいる。

なりたくなかったその一人になってしまった。私はもうすぐ会社を辞める。

コロナになる前は仕事が忙しく、次々にやってくる仕事に追われ悩む暇もなかった。理不尽なことで泣けた日もそりゃあったが、仕事の楽しさがまさっていた。

一方他のチームでは上司の不在、仕事量の多さ、パワハラ、なんとも言葉に表せない会社の組織構図の歪さの犠牲になって、突然発作を起こして休職を経て退職、上司と喧嘩して退職、パワハラを訴えるが何の対策もとられず首を切られ退職、何も語らず暗い顔して退職、など、非常な事態がすでに起きていた。

私はそれが自分の身にも起こり得るという危機感があまりに足りなかったと思う。

わたしのそれは今考えれば急に来たものではなかった。前兆は何年も前からあった。そして2020年の4月、課が新しい長のもとスタートしたときから、わたしたちの課はメンヘラ製造機のごとく壊れはじめていた。

下に圧をかけ上の圧に屈する課長、課長のいいなりのリーダー陣のもとで、徹底的に「管理」され、頭を使うことを許されない私たちは意見を聞き入れてもらえることも少なく、手と足をひたすら使えという指示のもと働き続けた1年間。

前兆として一番最初に出たのは体の不調。とにかく体が疲れ、腕や体幹がかたまり、体温計では正常なのに熱がこもったような体、原因不明の頭痛、そして蕁麻疹。これらは10ヶ月以上、今も続いている。

次の症状は無気力。デスクについても頭の整理ができず、前日に書いたメモに目を通しても仕事をスタートさせる気力がわかない。そして頭をつかう作業が捗らない。同じところをグルグル繰り返してしまい、1日に出来る作業量が著しく低下。そして何より、未来のことを話し合うミーティングなどはキツイ以外の何ものでもない。一応、頑張って表面をなぞるようにやる気があるよう取り繕って意見はいうものの、終わったら覚えていないのである。

一番大変だったのは感情コントロール。普段はどちらかというと、喜怒哀楽が消え去ったように過ごしているけれど、何かのスイッチが入ると急に悲しくて涙が止まらなくなったら、怒りで涙が出たり、とにかく仕事中も、プライベートでも、自分の感情のコントロールがきかない場面が増えた。

「働いて間もないあなたたちのことは信用してません」

そんなことを言われた時にはもう、ビルの屋上から飛び降りてやろうと思いましたよ。(ビルの屋上にあがりすらしなかったけど)

それでもまだ冷静だった私は、自分の不調は異常であると認識し始めていて、3月に入ったころ、数ヶ月以内に退職することを決意した。2月になって、職員が契約不継続を告げられたり、希望して退職を申し出たりするなど、ストレスフルなニュースが飛び交ってるなか、私も一回決断しないと目の前の仕事をこなす気力が湧いてこないと思ったからだ。

実際退職を決意し、4月になって職場のストレスフルな空気も落ち着いた頃、わたしの心身は再び急に安定した。一年で最も忙しい時期にあり、考える暇を与えられなかったのも功を奏したのかもしれない。そして一度は、「これならまだ続けられる。」と思って「9月までは頑張ろう」と再決意したこともあった。

しかし、もうダメだ、、、もう無理、、、と思う大きな出来事が起き、やはり当初の予定通り早めに辞めようと決意した。(出来事の詳細はまたいつか話す勇気が出たら書こうと思う)


仕事上がりに上司にチャットをした。

「忙しい時期にすみません。近く退職させていただきたいと思っています。」


やった。言えた。

会社から見たら私は、元気に何の問題もなく働いてきたて自己都合退職するひと、という存在でしかない。心身の調子が悪いので辞めますなんて言ったら、寝耳に水だと思う。そのくらい平静をうまく装ってきた。誰も困らないように数ヶ月かけて準備はしてきたし、近い同僚には前から辞める予定を告げていた。

上の人がどんなに困ろうが知ったこっちゃない。顔も見たくないほど嫌いなひとたちだ。なのにそんな時私にはこんなことを思われているんじゃないかという被害妄想がうまれる。

「あいつはうつ病になったわけでもないのに、急に辞めた勝手なやつだよ」


書いていて思う。わたしはなんて自分に対して暴力的なやつなんだろう。だから言い返してやった。


「まだうつ病になってませんが何か?私は会社を辞めます」


誰のせいだろう。

上のせい。上はそのまた上のせい。

組織の特性上、社長や経営者がいない組織は、本当の意味での責任者がいない。問題の当事者はだれ?


それが分からない組織は選ばない。

それだけが得られた唯一にして最大の教訓。

集団心理の怖さが身に染みる。







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