「お腹から声を出す」という言い方のこととか

こんにちは。こんばんは。青木です。

今までの記事は全てスマホから書いていましたが、今回は初めてPCから書いてます。めっちゃ時間かかりそうですが、頑張ってみます。

さて、今回は歌の話です。
一番語りやすい部分ではありますが、同時に一番主観に寄ってしまいやすい部分でもあります。あくまで私が10数年歌を歌ってきたなかで感じたことですので、あしからず。

皆さん「はじめてお歌をうたったときのこと」を覚えていますか?私はさっぱり覚えていません(笑)
音楽に親しみのあるご家庭でしたら、言葉を覚えるツールの一つとしてお歌があったという人も少なくないでしょうが、大多数が保育園・幼稚園のお歌の時間だったのではと思います。
私自身は小さい子供の時から声が大きい子で、一歳下の妹の分までギャーギャーうるさかったです。そんな私はお歌の時間にはよく先生に「大きい声で元気に歌えて上手だね!」ととても褒めてもらえました。今でも覚えているくらい嬉しかったんだと思います。

小学生になり、お歌の時間が「音楽の授業」になりました。みんなで楽しくお歌を歌った楽しい時間が、音楽という学問を学ぶ時間に変わります。私は音楽の授業になっても相変わらず楽しんでましたが(学校の勉強が苦にならないけど成績にはあまり反映されないタイプ)、学校の授業自体が苦手だという子供はこの辺から徐々に心が離れていくと思います。
しかも授業なので、テストや発表があります。指名されて立って一人で歌わされたり、メロディーとズレていると何回も歌わせられたりもします。ちょっと歌うのが苦手だったり、人前に立つのが苦手な子はトラウマになりかねません。数年前はみんなで一緒に歌ってたからちょっとくらい下手くそでも気にならなかったのに…そうやって音楽の授業が一番嫌いになる子も多いんだろうなーと思います。

この音楽の授業や合唱コンクールなどでよく先生が言う言葉の代表格が、「お腹から声を出して!」というものです。誰もが一度は言われたことがある言葉だと思いますし、なんなら私も友人知人にアドバイスとして言ったことがあります。街中のボイトレスクールでもこのセリフをいうトレーナーはいるんじゃないでしょうか。

「お腹から声を出す」………

おなかからこえをだす…………????

ちょっと不思議な言い方じゃありません?
声が出るのって……口からですよね???
人と会話するのに使ってるのって口を動かして喋ってますよね?歌はお腹を動かしてお腹から歌が聞こえるんですか?口ですよね?口を動かして口から声が出てますよね??んんん?????

この「お腹から声を出す」という教え方、とても罪深いです。なぜなら、あまりにも抽象的すぎる!歌を多少なり専門的にやっている人なら、この言葉が言いたいことが感覚的にわかると思いますが、小中学生の子供には難しすぎます。
この言葉の難解さが、子供の歌への苦手意識に拍車をかけている一面があるんじゃないかと思います。今でも覚えているのが、中学校の合唱コンクールの練習の時、一人の同級生の男子が「声が小さい!もっとお腹から歌って!」と注意されて一人だけ歌わされてました。その男子は一生懸命大きい声を出していましたが、それでも「まだもっと!」と言われ、叫ぶように歌ってメロディーを間違えるとそれを修正され、最終的に声を張り上げすぎて咳き込んでしまっていました。声がカスカスになるまで張り上げさせられ、先生もさすがにそこで止めていましたが、その男子はその後音楽の授業を不真面目な態度で受けるようになっていました(その子のフォローとして、ほかの授業は普通に受けていて赤点をとるような子ではなかったので、本当に音楽だけ不真面目になりました)

この先生の教え方以前に教育者としてどうなのかという問題はちょっと置いておいて、この男子が「自分が出せる中で無理のない範囲で大きい声が出せる」ようになるにはどうしたらよかったんでしょうか?この問題を直接的に解決するのが、ボイストレーニングです。

先に話しておきますが、ボイストレーニングとボーカルレッスンは似て非なるものです。
ボイストレーニング→主に歌唱においての基礎~応用テクニックの指導。腹式呼吸、ビブラート、エッジボイス、ファルセットなどのよく聞く「テクニックの方法を学ぶ」。人体の構造や音声学と呼ばれる学問に基づいたアカデミックな色が強い。
ボーカルレッスン→主に歌唱における表現の指導。その曲をどのように表現したいか、歌い手の理想とする表現をするための「テクニックの使い方を学ぶ」。より実践的であり、歌い手の表現力や感性がダイレクトに影響する。

このように思っていただけると大体大丈夫です。もっと大雑把に、「ボイストレーニングが基礎、ボーカルレッスンはボイストレーニングの応用」って感じでもまあいいです。
私の同級生が先生に指導されていたのは「抽象的な表現で当人の身体的・音楽的センスに委ねたボイストレーニング」だったということになります。これはあまりにも中学生にはハードルが高い…というか、大人でも難しいです。

ですが、この指導方法で音楽の授業を受けてきた方はとても多いですし、巷のボイトレスクールでもよく見かけます。ですが、学校の先生は昨今表面化している通り、ハードすぎるほどのハードワーク。今でもすでに多忙を極めている先生たちに、さらにボイストレーニングを専門的に学べというのはあまりに酷ですし、教え方の是非は個々人にあるとはいえ音楽の授業に関しては現状が精一杯だと思います。

この長い記事(←ここまでで2276字)を読んでくださってる方でボーカリストの方や歌のレッスンに通いたいと思っている方がいたら、ぜひ各スクールの体験レッスンに行ってみて、トレーナーの教え方を吟味してください。同時に、自分でも歌うときに人体がどのような動きをしているかを調べてみてください。声帯の動きの動画とか見ててちょっと気持ち悪いですが面白いですよ。
抽象的な言い方で指導していないか。体のどの部分を動かしたらどのような作用があるのかが解説されているか、もしくは質問して答えられるか。ボイストレーナーもボーカリストも声の専門家です。さらに人からレッスン料を頂いて教える立場の人なら、より深い知識を持っているはず。というか、私なら自分より専門的に深い知識を持っている方から指導を受けたいです。
さらに言うと、上質なボイストレーナーはボーカルレッスンと並行して教えてくださる方が多いです。なぜなら彼らもパフォーマー側として音楽活動を行っているからです。歌うのが好きな人が「もっと上手くなりたい!もっと知識を身に着けたい!」と思って自分のテクニックを磨いて、それを人に教える対価としてレッスン料を頂いてるので、当然といえば当然かもしれません。

ひとつ前の記事の最後のほうで書いていますが、私の目標は迷えるアマチュアアーティストの手助けをすることなので、ボイストレーナーの勉強もしたいと思っています。自分の音楽活動にも生かせますし、私が手掛けるアーティストには安価でレッスンを提供できるようになりますしね。
今も手前味噌ではありますが、ボーカルレッスンのほうで簡単なアドバイスはできると思うのですが、レッスン料を頂くようなレベルではないので……いいねの数が増えたりコメントをもらうようになったらnoteのサークルでプランの一つとして「簡易ボーカルレッスン」みたいな形で、月額も500mlの水一本分で¥100/月とか。開設した際にはぜひよろしくお願いします!

今回は「お腹から声を出す」というボイトレ界の大罪とも言える曖昧な表現とボイトレとは何ぞやということを少し掘り下げてみました。いいねやコメントお待ちしてます。

……ちなみにここまで→3171字、3時間半かかりました。タイピング死ぬほど遅い………

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