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ドイツ滞在記~【紛失データ哀悼記④】Documenta14を知るためのリスト

マルタ・ミヌヒンの「本のパルテノン」の次に何を書き始めようかと考えて、インターネットの海を漂っていたのだが、そもそも、この記事でDocumenta14に興味を持った人がいるなら、私の記事よりも私が今参考にしているサイトのリンクを紹介した方がよいのではないか、という気持ちになってきたので、ひとまず主要なリンクを紹介しようと思う。

『Documenta14公式サイト』
http://www.documenta14.de/en/
英語、ドイツ語、ギリシャ語が読めるなら、公式サイトを見るのがいちばん手っ取り早いかもしれない。ただ、情報が膨大すぎて何が何だか分からない。また、当然だが作品批評などもない。一人ひとりのアーティストの紹介やプログラムは載っているが、展示作品の写真や説明などは少ない。


海外のサイトで、Documenta14についてかなり詳細にまとめているサイトを見つけたので紹介する。

『Universes in Universe』
ベルリンに拠点を置く、現代アートをまとめたウェブサイト
Documenta14 について、会場ごとに作品を紹介している。
https://universes.art/de/documenta/2017/
https://universes.art/de/documenta/2017/documenta-14-kassel/
(下のページに、会場ごとの一覧があります)

『Art Viewer』
ベルギーの現代アート推進団体による、ドクメンタ評
会場ごと、作家ごとに作品を紹介、批評している。
http://artviewer.org/special-feature-documenta-14/
(このページの下のほうに、ドクメンタ記事の一覧があります


日本語のサイト
『ART it』内のDokumenta14に関する記事
https://www.art-it.asia/u/admin_ed_exrev/psgrdlj3mextnvyktfcd
(文/大舘奈津子)
こちらのサイトで「Documenta」あるいは「ドクメンタ」と検索すると、写真やニュースが出てくる。

美術ライター、中野昭子氏によるレビュー
https://spice.eplus.jp/articles/148658

『美術手帖』短期連載:長谷川新の三大芸術祭レビュー② ドクメンタ14(カッセル会場)
https://bijutsutecho.com/news/7036/

『REAL KYOTO』美術作家、池田剛介氏によるレビュー
http://realkyoto.jp/review/documenta14/
http://realkyoto.jp/review/documenta14-2/

 さて、先にも書いた、私にドクメンタに行くきっかけをくれた知人だが、カッセルに向かう直前、私は彼女になにかおすすめの作家などいれば教えてほしいと打診した。こと、芸術に関しては私はズブの素人であり、義務教育の教科書レベルの作家の名前は知っているが、現代アートとなるとそれこそ未知の領域である。一方、彼女は「現場の人」である。ここで詳しくは書かないが、私よりもはるかに専門的な教育を受け、また自分でもそういった情報をインプットしている人である。彼女は「公式サイトをざっと見て、気になった人を挙げただけだけれど」と前置きして、作家名のリストを送ってくれた。生年月日と出身地、主要な情報などを追記して、ここに記載する。

Miriam Cahn 1949-スイス、バーゼル
Anna Daučíková 1950-チェコスロバキア
Sanja Iveković クロアチア、ザグレブ
Katalin Ladik 1942 セルビア ノヴィ・サド
Annie Sprinkle and Beth Stephens
 1954 米 フィラデルフィア / 1960 米モントゴメリー・ウェストバージニア http://sexecology.org/
Eva Stefani 1964 米 バージニア州アレクサンドリア
Vivian Suter 1949 アルゼンチン、ブエノスアイレス
Cecilia Vicuña 1948 チリ サンティアゴ
LorenzaBöttner 1959–1994 チリ プンタ・アレーナス
Maria Lai 1919–2013 イタリア ウラッサイ
Erna Rosenstein 1913-2004 ウクライナ、リヴィウ
Amrita Sher-Gil 1913–1941 ハンガリー出身のインド人画家
Alina Szapocznikow 1926-1973 ポーランド ホロコーストの生存者

 さてこのリスト、名前を見ただけではぱっとわからないのだが、実はほぼ全員が女性アーティストである。(補足すると、LorenzaBöttnerはMtFであったらしい)私はもともと女性作家の作品に興味があったのだが、ドクメンタでは、世界中からさまざまなアーティストが集まっているので、名前だけ見ても性別がわからない。そして、どれが女性アーティストなのかいちいち調べる気力は私にはなかった。

 私のドクメンタ巡りにおいて、このリストは大いに役立った。会場は広大で参加アーティストの数は膨大、作家名が細かく記入された全会場の地図と、もらったリストを見比べながら、さすがにここから見つけるのは無理だろう…と最初は思った。しかし、である。意外と見つかるのである。このリストの3分の2以上は見つけることができ、私はそれを目指して会場を回る、という流れを作ることができた。
 リストに挙げられていたのが女性ばかりだったのは、偶然ではない。彼女はフェミニズムアートや性別、性規範といったものに関心があり、私よりもはるかに知識があった。そして、私も彼女と同じようなものに興味があった。彼女が個人的に気になる作家を挙げただけなのか、それとも私の好みを勘案して多少選別してくれたのかわからないが、帰国してあらためてこれらの名前を検索すると、なるほどたしかに、非常に興味をひかれる経歴、作品を持つ人ばかりであった。
 私のこの哀悼記も、このリストとわずかな記憶を頼りに、書き綴っていこうと思う。

「紛失データ哀悼記」記事一覧はこちら↓
https://note.mu/nanami_s/m/m246d394331b8

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