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海藻



夏は無性にネバネバしたものが食べたくなる。オクラや、とろろ、なめこ、納豆、ワカメ、めかぶ、もずく、昆布etc…

特に“もずくスープフリーズドライ”にはお世話になっている。春夏秋冬、一年を通しても楽しめる逸材だ。袋から取り出せばほのかに香る昆布だしに唾液がじんわりと口の中を湿らせ、マグカップに移す際、袋の中に少し残った粉を指先につけて舐めてしまう。お湯を沸かし沸騰する前に火を止めてコップに注げば出来上がる手軽さも有り難い。口に含むと柚子の香りが鼻を抜けるのもまたいい。

昔から海藻類が大好きだった。家にある焼き海苔をこっそり食べてはどんどんなくなるので、母に見つかって海苔禁止令が出たり、おしゃぶり昆布を知ってからはコンビニで必ずおしゃぶり昆布を買うようになった。
泳ぐのが得意だったのと水の中にいるのが好きなのも相まって、前世は魚だったんじゃないかと思う。

海に縁あって専門学校に行ってた頃は、寮から駅まで徒歩1時間かかるけれど裏山と海までは徒歩3分と自然に恵まれた土地ながら徒歩10分圏内にコンビニが一軒だけあった。そこで買う108円の海苔の味噌汁が金欠時の休日の昼食だった。かなり救われた。

海藻の中で一番昆布が好きだ。
噛めば噛むほど味が出る。
できればおしゃぶり昆布のような人間になりたい。しゃぶればしゃぶるほど味が出るけど、ちょっとしょっぱくて水分が必要になるくらいの濃さで。半ば受け売りになってしまうがフルーツバスケットに出てくる主人公、透の名前の由来みたいで好き。

ぼんやりとおしゃぶり昆布をしゃぶりながら、思い耽ると結局は自己満足で生きるのが一番自分にとっても、他人にとっても優しいことだと実感する。

昔よく聞いたよな「自己満」はだれかの放った悪口だったり否定的な言葉だったけれど、幸せになるためにどう生きるのがベストか自分にとって何が大事か考えたら、誰かのために何かしらしていたくて、けどそう言った「誰かのため」「優しさ」みたいなものは、相手のためと言いながら「貴方のため」と思い続けると見返りを求めてしまう「偽善」になりかねない。

個人的な正義を持ちすぎれば誰かを傷つけてしまうし、何も持たずに他人軸で生きれば自分を見失ってしまうから、自己満足でいいから何かをすることが結果自分を幸せにするのではないか。

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