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『ない』が故に『ある』。オンラインの利点をとことん味わってオフを待つ


対面では会えないけど、言葉を交わすことはできる。

会える時が来るまで、オンラインだからできることを味わい尽くすチャンスと考えてみる。


ここ1ヶ月ぐらいで何回かZoomで話をする機会があった。


いずれも、私が普段の生活で直接関わることがないような人たちとの時間だった。


私が見たことのない世界を知っていて、私にはできないことができる。

私の知らないところで、私の知らない時間を、人生を歩んでいる人たち。


そんな人たちと、場所の制限を越えて話すことができるようになった。


オンライン飲み会。オンライン帰省。オンライン面接。

いろいろ言葉が生まれてきているけど、結局これらは全てビデオ通話の延長。あくまで複数人が参加可能になったビデオ通話でしかない。

最近の言葉を借りるなら、一種のライブ配信ともいえる。


これはもともとやろうと思えばできたことではある。

でも、ウイルスが世界各地に散らばってしまうまでは、会う事が当たり前になってしまっていたが故に今ほど意識は向いていなかった。


幸か不幸か、「人と会うな。家にいろ。」という前代未聞の制限が加わったことで、入れ替わるように別の話す手段のハードルが大きく下がった。場所を問わないデジタル(オンライン)という魔法の力が見直された。


対面の会話が封じられて失われたものは他にもある。


同じ空間で同じ時間を共有している対面の会話ならではの特別な感覚もないし、今まで対面だからこそ伝わっていた雰囲気も伝わりにくくなった。複数人が参加している時は、対面の時以上に話に入ることが難しいと感じる場面も出てきた。


表情をよりはっきりと見られるように臨場感を改善するためには、高画質カメラや撮影用ライトを買うなどして、それなりの設備投資をする必要もこれからは出てくる。

今までする必要がなかったことを考える必要が出てきた。


一方で、オンラインだからこそわかるようになった部分もある。


相手の生活を身近に感じられることがまずひとつある。

こういう部屋で普段生活をしているんだなぁと伝わってきたり、相手の趣味・センスが見えやすくなった。

いつもは外でバッチリ化粧をしたり、おしゃれをしたり、あるいはスーツを着ているような人が、オンライン飲み会ではもう少しゆるーい感じで参加する。

そのギャップから「あぁ、普段はあんな感じのこの人も人間なんだよな・・・」と人間らしさを感じられる一面が見えるようになった。


そしてもうひとつが、先ほども触れた『場所の制限を取り払える魔力』。


東京から北海道。大阪から沖縄。あるいは海外のように、今までは物理的な距離があって調整が難しかったこと。躊躇っていたこと。ここにきて物理的な距離のハードルを、直接でないとはいえデジタルが壊すことに成功した。

"直接"という距離感が失われた代わりに、精神的なハードルを"気軽"という感覚が塗り替えた。


場所の制限が関係なくなってきているからこそ、いろいろな場所の人たちと話ができるチャンスも生まれた。普段ならなかなか話ができないような人とも言葉を交わしやすくなった。


これは、オンラインに重きが置かれている今だからこそできるチャンスでもある。


『ない』が故に『ある』。今は、また直接会える日までの準備期間。


等価交換ではないかもしれないけど、天秤の片方が底まで沈んだことで、もう片方が限界まで上がった。


対面で言葉を交わせない。

空間と時間を共有できる喜びを味わいにくくなった。

異性と触れ合うこともできない。

乾杯でグラスを合わせた時の音が聴けない。

あなたに、会えない。


確かに、いつまでこの状態が続くんだろうという気持ちもあるし、対面で過ごす時間がこんなに特別なものだったなんて今まで考えもしなかった。会いたい人もたくさんいる。「やっと会えたね」って触れあいながら再会を喜び合いたい気持ちもある。


でも、失われたからこそ見えるようになった部分もあるし、失ったものを補うように研ぎ澄まされていく部分もある。


一時的に失われた部分にまた光が当たって解放された時のために、今はデジタルという魔法の力を使って、いずれ来るオフラインでの楽しみを増やす時。


場所の制限を越えていろいろな人と話してみる。

そこから得られる知識。情報。

オフラインでは見えない相手の一面。

この時期だからこそつながっていく縁もあるはず。


失ったものを見るなとは言わない。

私もそこまで強い人間ではないから。


でもせっかくなら、今はオンラインだからできることを堪能してみよう。


『ない』ことは必ずしも悪いことではない。

なくなったら、その穴を埋めるようにまた別の『ある』が加わる。


『ない』が故に『ある』。コインの表と裏。『表裏一体』。


今のオンで培われたものは、またオフが訪れた時に、より濃いものになっていくはず。


その時を楽しみに、今はオンを味わい尽くしてみるのも、悪くないかもしれない。



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