どうしてわざわざ難しい言葉で話をややこしくするの?
『文脈』
『最大公約数的に』
唐突に話の中で出てくると、話がかえってややこしくなる言葉がある。
意味そのものは分かっても、突然出てくるものだから、そこに意識が引っ張られて話の内容が入ってこなくなるのだ。
しかも、そういう言葉ほど、言っている本人は「ドヤァ . . . 」と得意げになっているからさらにタチが悪い。
ただ『文脈』って聞くとよくわからない。
『その話の背景』とか『その状況に行き着くまでの背景とか経緯(いきさつ)』みたいに、想像がしやすい表現なら余計なことを考えなくていい。
『最大公約数』って得意げに使う人がいるけど、これもよくわからない。
『それぞれの立場から見て、考えを合わせやすい点(妥協点)』みたいな意味のようだけど、それなら最初から『それぞれの立場から見て合意できるポイント』とか『妥協点』って言えばいいと思わないだろうか。
「どうしてわざわざ話をややこしくするのかな...」と、最近のオンライン会議や対談企画を見てきて密かに思っていたことだ。
「横文字とか専門用語使わないと頭良いアピールできなくて死ぬ病」にかかってる、意識高い系()な人も人生の中ではちらほら見かける。
『コンテクストが』
『サステナビリティが』
『コンセンサス』
「そういうのいいからわかりやすい言葉で話さんかいゴルァ(パーン)」っていう、漫画とか面白動画でありがちな辛口ツッコミボイス(よくない部分)が顔を出すのだ。
「わからないお前の頭が悪いんだよ!」って反論する人もいるけど、言われた側の無言の圧力(返答)はこうだ。
「誰にでも分かるように話せないのに、なに『コミュニケーション力が高い、仕事ができる人財は俺(私)ですドヤッ』みたいな顔してるの?」
本当にコミュニケーション力が高いのであれば、相手の立場に立って話ができるので、『専門用語 超特盛で!』な独りよがりな話はそもそもしないものだ。
本当の意味で頭が良い人は、例外なく、誰にでもわかりやすく話すことができる人だ。
どうしても専門用語を使う必要がある時でも、使った直後に「つまり、〇〇が」といった具合に、一般的な言葉に置き換えて説明してくれる。
これを自然にやっている一人がホリエモンこと堀江貴文氏。
例えば、「ゴールドマンサックスという投資銀行、通常はBtoB、法人向けの営業しかやらないところが . . . 」と説明している14:00あたりの部分。
まず、詳しくない人が聞いている前提で、ゴールドマンサックスが投資銀行であるということをパッと説明している。
さらに、「BtoB、法人向けの」と直後に日本語に置き換えて説明してくれてもいる。
今でこそBtoBという言葉はよく使われるようになったとはいえ、知識のある人たちからしたら「まぁ分かるんじゃないの?」と思ってしまうこの言葉でさえも、相手はわからないかもしれないという前提で話をしているのだ。
そのおかげで、意味が分かりにくい言葉に意識を引っ張られることもなく、話がスッと頭に入ってこなかっただろうか。
相手にどういう意味なのかをそもそも考えさせずにその場で解決する、先回りの配慮だ。
不特定多数の人が目にする(耳にする)可能性のある場では、「相手がこの業界・職種に就いて長い専門家とは限らない」という前提を常に持った上で、一般の人がわかるような言葉で話すことができる。
「本当に頭が良い人はわかりやすく話してくれる」と言われる所以のひとつがここにある。
相手の気持ちを考えられるか。最後は人としての部分が話し方にも表れる。それが、今回話したかったことだ。
自分が当たり前のように使っている言葉でも、別の誰かからすれば当たり前であるとは限らない。それが業界の専門用語であるならなおさらだ。
「無駄を省けだの効率化だの言う前に、まずお前のその専門用語だらけの話し方をわかりやすく(効率化)しろってんだ!ばーかっ!(べーっ)」
マンガの主人公が言いそうな文言だけど、周りからこんな風に思われてしまうのは損でしかない。
やりにくいなと思う側で実際に経験してきたからこそ分かることだけども、私自身も、相手が同じように分かる前提でうっかり話してしまうことがあるので気を付けたいと思っている。
私もまだまだ勉強することがたくさんありますゆえ、自戒を込めて一筆。
※一部、辛口めに書かせていただきました。
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