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ダンナのいない部屋


なんだか眠れない、というよりも

なんだかまだ寝たくない。

そんな夜にボ〜っと想うのは、

ダンナのこと。


妊娠中、分かり合えなくて

なんどもなんどもケンカをした。

お腹の赤ちゃんに

仲良くできなくてごめんね、と思いながら

たくさんたくさん、泣いた。


好きで結婚したはずなのに

大嫌いになって

1ヶ月会わない時期もあった。


だけれども、

ダンナの一人暮らしのマンションに行くと

私は妙にダンナのことを理解する。


掃除の行き届いていないお部屋に

山のようにたまった洗濯物。

男臭いパジャマや枕。

ゴミ箱にはお弁当の空箱がいっぱい。

冷蔵庫の中に余った食材。

珍しく、お酒の空き缶。

水切りケースに入れてある食器・・・

部屋を片付けながら、

私はいろんなことを思う。


仕事の日は、疲れてしまって

毎日お弁当を食べていたんだなぁとか。

土日はパスタや丼物を作ったみたい、とか。

お酒は、私とケンカしてた時に

ムシャクシャして飲んだのかも、とか。

この臭いは、パジャマも枕カバーも

ずっと替えてないな、とか。

新しいものに取替えながら、

ダンナの匂いをふと思い出し、恋しくなる。


床には散らかったままの物件カタログ。

2人で住む予定の新居の契約書類。

引っ越し準備途中のダンボール・・・

引っ越しまでに、間に合うのだろうか。

手伝って欲しい時には言ってね、と

手紙を書いてそっと机に置いておいた。


妊娠9ヶ月に入った私は、

切迫早産の恐れがあり。

医師から絶対安静の指示が出たため

1ヶ月ほど実家で安静に過ごしていた。


最近ようやく、

少しの外出なら大丈夫と言われ

ダンナの部屋に来てみたのだ。


私の知らないところで

ダンナは仕事とプライベートに

ひとりでいっぱいいっぱいに

なっていたみたい。

彼も彼なりに頑張っていたんだ。

史上最高に荒れた部屋をみて、

私はちょっぴり心を痛めた。


ダンナの生活が垣間見れる

一人暮らしの部屋に行くと

ダンナのことがよくわかり

いつもなんだか愛おしくなる。

だらしない部屋に

毎回呆れながら・・・。


私は無条件に

ダンナのことが “好き” なんだと

気がつくのです。














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