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【観察】エンドウの栽培

今回は珍しく本業のお話です(笑)

昨年からスナップエンドウの栽培を本格的にはじめました。

うちは適地適作がベースなので、食べて一番美味しい時期を見極めて作付けします。

言い方を変えると、

野菜は旬の時期だから美味しいのです。


◇エンドウは秋採れはNG

九州でエンドウの旬は12月〜6月あたりまでです。

一度、8月に種を蒔き10月後半に収穫したものを食べたことがありますが、味が全然なくて美味しくない‥

それに発芽率がとても良くありません。これは時期が適していない証拠ですね。

但し、秋口はエンドウが殆ど市場に出回っていないので、栽培すれば飛ぶように売れることはわかっています。

でも美味しくないものは出したくない(笑)

なにより『適地適作』の理念に反することはやらないと決めています。


◇種まきは10月〜12月が最適

この時期に種を蒔くと、ハウスで3月中旬、露地で5月初旬くらいから採れ始めます。

早めに種を蒔いても、エンドウは厳寒期の間はある程度で生長が止まります。

おそらく自分自身が寒さに耐えられる限界までしか敢えて生長しないように制御しているんでしょうね。

下の写真はほぼ同じ時期に蒔いたエンドウの芽ですけど、露地とハウスでは生長の止まる大きさも違ってきます。

◉露地のエンドウ

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◉ハウスのエンドウ

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当然ハウスの方が暖かく、霜の影響も少ないので大きくなりますが、3月に入るまではここから殆ど大きくなりません。


◇作物は環境に慣れていく

エンドウは基本的に冬越しさせてから春先に花を咲かせ、その後実になっていきます。

そうは言っても、厳寒期にハウスで花芽をつけたらどうなるのか?

今季は実験で試作してみました。

画像3

↑こちらがその写真ですが、枯れずに育つようです。

ちなみに、ハウスのビニールは半分くらいまで開けっ放しで、先日はマイナス6℃くらいまで気温が下がりました。

やっぱりエンドウは寒さには強いようです。


◇加温するとどうなるのか?

一般慣行栽培では12月から採れ始める『促成栽培』が主流になっています。

このやり方は多くの場合、暖房機による加温をして栽培しますが、加温をすることで低温(氷点下)への耐性がなくなってしまうのです。

知り合いの生産者の方で ↑ の促成栽培をされている人がいましたが、3月に入ったところで暖房機が故障してしまったそうです。

運の悪いことに、その日の朝がとても寒く氷点下になった為、すべて実が凍結しダメになってしまったという事例がありました。


◇合理化が魅力ではなくなりつつある

確かに促成栽培をすれば、春採れよりも2倍くらいの収量にはなるそうです。

しかし、最近の原油価格の高騰と運送費の値上がりで農業資材や肥料代がどんどん上がっていっています。

それに加えてコロナ禍による健康への意識の増加で、今までの主流だった農薬と肥料がセットになった慣行農業への魅力がなくなってきているのは事実でしょう。


◇本質の時代へ

私が実践してきた自然栽培は、農薬や肥料を使いません。

そして適地適作を基本としているので、無理に暖房などを使った長期採りをしません。

連作障害が深刻になるのも、長期間に渡り化学肥料を与え、農薬で有用な微生物まで殺してしまった弊害であり、土壌や地下水の汚染原因となっていることは事実です。

自然栽培は作物の美味しさを追求するだけではなく、生態系の改善・維持にも大きく貢献できる、持続可能な取り組みであると確信しています。

農業もいよいよ本質へ向かう時期になってきたと、日々強く感じています。


最後までお読み頂きありがとうございました。


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