美しい花がある、花の美しさという様なものはない /* 小林秀雄 */
美しい花がある、花の美しさという様なものはない。彼の花の観念の曖昧さについて頭を悩ます現代の哲学者の方が、化かされているに違いない。肉体の動きに則って観念の動きを修正するがいい、前者の動きは後者の動きより遥かに神妙で深淵だから、彼はそう言っているのだ。
「当麻」 小林秀雄
素敵ですね、と僕が口にする時、僕は物質的に対象だけを観察してその言葉を発していない。
何か形容の詞を発しようとした時、僕の想念は一度、観念の世界へ旅立つ。
今までに蒐集してきた形容と抽象の