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【あれは新聞】

子どもの頃から
思ってた

大きな薄い紙に
びっしりと
小さな黒い字が
のっている
数枚の紙の束

毎朝、配られてくる

あれ

朝ご飯のとき
いつもお父さんは
あれを
両手で広げて持って
姿を隠していた

不思議な

あれ

少し大きくなって

あれには
いろんな種類が
あるらしいことを知った

あるとき

町の図書館で
あれが
物干し竿のようなものに
たくさん
下がっているのに
気がついた

興味しんしんで
近寄って
片っ端からめくって
見て観て視て診て

たしかに
違う種類のあれが
存在することを知った

なぜか自信満々に
ニヤリと
笑みを浮かべた

そして、同時に

なんかへん
と、感じた

もう少し大きくなって
簡単な字が
読めるようになって

ふたたび
町の図書館へ行った

あれには
最初のページの右上に
名前が書いてある
会社の名前だ

だから違う種類だ

でも

なぜだろう

そこに書かれている
いろんなことが
まるで同じに見えた


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