TGF2023終幕御礼~「キミまで700km」あとがき~
アア、祭りがオワッタ………
こんにちは! シナリオ担当のナナです。
ティラノゲームフェス(以下TGF)2023が……
ついにフィナーレを迎えてしまいました……
運営さま、参加者の皆さま、本当にお疲れさまでした。
2022年度のフェスはプレイヤーとして参加していましたので、あの頃見上げていたキラキラした舞台にいま自分が立てていることが、とにかくうれしかったです。
この半年間、たくさんの方にゲームを楽しんでいただき、またみなさんのステキな作品たちをプレイすることもできて、本当にすばらしい経験をしました。ありがとうございました。
今回のnoteは、TGF2023、そして当サークルの初ゲーム作品「キミまで700km」について振り返る目的で書きました。制作裏話や小ネタもたくさん詰め、ファンブック的に楽しんでいただけるnoteを目指しました。
どうぞお好きなところから、ごゆっくりお読みください。
結果について
「キミまで700km」は、佳作に選出していただきました!
本当にありがとうございます!!!
みなさまも同じかと思いますが、本当に一生懸命作ってきたゲームで、また初めてのTGF参加だったこともあり、とても感慨深いです。
「ああ、やっぱりない、ない………」と思いながらページをスクロールしたときの焦燥感、ついに見つけたときの喜びはずっと忘れられないでしょう。
受賞されたみなさまもおめでとうございます!!!
参加された全員の方が最高です!!!!!
結果はこちらから
このゲームができた経緯
※ゲーム本編には直接関係ない話です。
えー……「なぜ、もともと広島に縁もゆかりもなかった私が、こんなに広島を好きになったのか?」から語ると、それだけで記事が1本できそうなので割愛しますが、要約すると「私の人生最大の推しが生前広島で活動していて、ファンの聖地になっていたから」です。
私がイラスト担当のむかいかわずさんと仲良くなったそもそものはじまりも、推しが共通していたことからでした。
きっかけこそ推しだったものの、初めて訪問した広島は穏やかな時間が流れ、優しい人々に出会える街で、推しのことを抜きにしても、私が広島を大好きになるのに時間はかかりませんでした。
時は流れ、2022年。
そのころフリー乙女ゲーム沼にどっぷり浸かっていた私は、あるゲームに出会いました。
このゲームは蛍舞う夏の夜、長崎弁の青年と甘酸っぱい時間を過ごすというコンセプトのものなのですが、方言男子が好き(九州の言葉も大好き)な私にはクリティカルヒット。プレイ時間は短いながらも、鮮烈かつ切ない余韻の残るストーリーになっており、今でも印象深いゲームです。(おすすめです!!)
クリア後「方言男子の乙女ゲーもっと増えればいいのに!!」と思っていた私。勢いで、とある発言をします。
詳細な流れは忘れましたが、ノリでむかいかわずさんに同じことを話したところ、なんと「立ち絵があればゲームが作れるんなら、描こうか?」と提案してくれたのです。かわず氏にとっても「故郷広島をアピールできるなら」という意味では決して悪い話ではなかったのかもしれません。
「広島を舞台にした作品はたくさんあるけど、私も自分なりの方法で、広島の魅力を表現した何かを形にしたい!」という思いもあり……
こうして、まだタイトルも決まっていない広島乙女ゲー(仮)のプロジェクトが発足したのでした。
ゲームタイトルの由来
ゲームに限らず、作品にはタイトルが必要ですよね。
私はタイトルをつけるのが本当に苦手なのですが、今回割とすんなり決まった思い出があります。
この「キミまで700km」というタイトルは、推し(※"このゲームができた経緯"で語ってるのとはまた別の方です)の曲の歌詞にヒントを得て、命名しました。
浜田省吾さん(以下、浜省)は、母がファンであることから、私にとっては人生の最初期から馴染み深いアーティストでした。でも、浜省が広島出身であることを知ったのは、だいぶあとになってからです。
うちの妹は、浜省ガチ勢であり、聖地巡礼もかねて何度も広島を訪問していた時期がありました。私に「広島に行って広島焼発言だけはやめておけ」と忠告したのは他ならぬ妹です(笑)
後に私も、広島県竹原市にある、浜省の生まれた家を見に行きました。
話を戻して……広島乙女ゲー(仮)のタイトルをどうしようか? と考えていたときに自然と頭に浮かんできたのが、↑の「GEAR UP 409」でした。この曲の歌詞とゲームのシナリオが似ている、と思ったんです。
冒頭、「ふるさとの家族に恋人を会わせるため、東名高速を走り、700km離れた広島に向かう」という描写があります。
遠距離恋愛の話というのは早々に決まっていたため、「700km」というワードが直感的ですごくわかりやすいなと感じ、アレンジしてタイトルに採用する流れになりました。
実はゲーム本編サブタイトルや、番外編にも、浜省の歌詞を引用しているところがあります。怒られない程度に……(笑)
以下の番外編ショートノベルのタイトルは、「こんな気持のまま」の最初のコーラス部分から引用しています。
ちなみにゲーム公開後、妹に「広島が舞台のゲームを作ったよ」とURLを送ったところ、秒で「GEAR UP 409やんwww」と反応してくれました。さすがガチ勢や
本当は歌詞を掲載した方がわかりやすいと思うのですが、JAS○ACさんに怒られるのが怖いので……やめておきますね。とても爽やかなラブソングです。ぜひ、聴いてみてください!
制作を振り返って
さて「ゲームを作るぞ!」と決意はしたものの、「具体的にどういう流れで進めたらいいのか?」というのがなかなかつかめず、最初のうちはゲーム中に出てきたお寺の地下のように暗闇の中を手探りで進んでいる感じが強かったです。正直、制作ノウハウなどについて私が語れることはないと思います。むしろ、思い出せない……(震え)
私が英語と数字アレルギーだからか、ティラノスクリプトを見ても「何コレ????」状態でしたし、思い通りにならないのは当たり前。とりあえず、エラーは絶対出るものと学びました。変数も未だに理解できていません。私も自分なりに頑張りましたが、むしろ、むかいかわずさんの方がスクリプト得意でした(これは言わないと怒られそうなので言っておきます笑)
キャラクターやゲームのUIデザインに関しては、イラスト担当のむかいかわずさんがこちらで語ってくれています。
また制作期間中の年末年始(2022.12~2023.1)、実際に広島で年越し取材したことは、とてもいい思い出になっています。ゲーム中に使っている背景写真の多くは、このときに撮影しました。なので季節感がおかしなところも……
唯一の心残りは、時期的にお休みしているお店が多く、行きたくても行けなかったところがたくさんあったことです。夏までにまたリアル広島に行きたいと思っているので、その際はこのnoteにてゲームに登場した場所の紹介……公式(?)聖地巡礼ガイド的なものを作りたいなと考えています。ゲームに採用した写真はそちらに掲載しますね。
ゲームを制作する側になってみて明らかに変わったことがあるとすれば、それはゲーム作りの大変さが理解できた分、どんなゲームをプレイしても長所ばかりが見えるようになったこと!!(笑)
上記含む商業ノベルゲームをプレイすると常時「おおおおおお!?!?!? なんだこれは!!!!!!! やっぱプロの作ったゲームはすげーや!!!!」みたいなノリになってますし、ノベルゲームコレクションをはじめ各所で公開されている同人ゲームもクオリティの高いものばかりで……学ぶことがいっぱいですね。永遠に。
追加アップデートについて
このゲームは公開後、2回大型アップデートをしています。
1回目は、2023年11月の新規スチル追加。
最近遊んでくださった方には関係ないですが「せっかくだからスチルがもっとあっていいかも」というむかいかわずさんの発案で、3枚描いてもらいました。特に、このゲームで一番ネタバレなシーン(雑紹介)のスチルは、物語をよりいっそう盛り上げてくれるものになっており、私もとても気に入っています……!
そして2回目は、みそ汁さんにお願いした、2024年2月のCV追加アップデートです。1000DL記念のシチュボが最高すぎたので、逆輸入的な形で本編にもご出演いただきました。
もはやフェス終盤になってからのアプデですが、多くのプレイヤーさんから「薫は存在していた」「あまりにも思ってた通りの声だった」「音声で聴くイケボ広島弁やばい」など、うれしいお言葉を続々いただいたため「何でもっと早くやらんかったんや!」という気持ちです(笑)
「やっぱり音声だとより広島弁の魅力を強く感じられるだろうし、薫の声を聞いてみたい!」とずっと前から思っていたものの、まず広島弁話せるボイスコさんが見つかるだろうか?という懸念が大きく、なかなか踏み出せませんでした。
しかし、ご縁があって最高の形で叶うことに。広島弁ネイティブの方だけあってとてもナチュラル(※出身者じゃない私が言うのも何ですが……)ですし、なおかつ声質も薫の雰囲気にぴったりだとは……何という幸運なんだろう。と、今も思っています。
本当にこれ以上のキャスティングはないと思います。薫のCVへの思い入れについては、以前のnoteでめちゃくちゃ書いてるので、よろしければそちらもご参照ください。
シナリオ、薫と花梨の人物設定など
「東京に住むヒロインと、広島の青年が遠距離恋愛をする、切なくもハッピーエンドのストーリー」という設定自体は、本当に初期のうちからすんなり決まったと記憶しています。
ノベコレの作品ページにも書いてある、お気に入りのキャッチコピーです。
私自身ハッピーエンドの物語が好きで、また優しい作風が得意だと自負しているので、たくさんのプレイヤーさんに「本当にこの紹介文の通りだった」と言っていただき、感無量でした。でも作業用BGMに関しては、失恋の曲をセレクトした方がめっちゃはかどりました。Why??????
↓制作中よく聴いていた曲
また、登場人物について。
打ち合わせ時、印象的だったのが、むかいかわずさんの「巷でよく見かける、広島出身という設定の男子キャラクターは、なんかこう……荒っぽい感じだったり、何か(お察しください)を想起させることが多いから、逆に普通の等身大っぽい子にするのがいいのでは」という趣旨の発言です。
こうして、優しく穏やかな性格ながら恋愛には不器用……けれどもヒロインを一途に想う攻略対象・薫が生まれました。
ヒロイン・花梨のキャラ造形についてはあまり悩むことはなかったです。本当にオーソドックスというか、くせのない乙女ゲーヒロインになったかなと思います。薫にもいえることですが、ビジュアルは私が案を出して、むかいかわずさんに描いてもらっています。花梨の容姿には私の好みがモロに表れていますね
ふたりのプロフィールを貼っておきますので、よろしければごらんになってください。(背景はOKUMONOさんより)
ふたりの名前については、特に明確な由来があるわけではありません。
花梨は字面と響きが可愛いなと思って命名した気がします。同名の有名商業乙女ゲーヒロインや、同名の有名乙女ゲームブランドとは無関係です笑
薫も、中性的でさわやかな響きが気に入って命名しました。
実は、ふたりの姓には太陽と月が入っているんですよ。
狙ってそうしたのか偶然そうなったのかは忘れましたが……
その他小ネタ
広島弁について
上記にもありますが、私は基本的に方言が好きで、広島弁も大好きです。だってこんなゲームを作るくらいですからね。公開したばかりの頃、「広島弁って正直怖いイメージがあったけど、このゲームを遊んだら見方が少し変わった」という趣旨のご感想をいただいたときは「やったー!」と思いました
攻略対象の薫をはじめ、主人公の花梨を除きほとんどの人がバリバリの広島弁でしゃべるこのゲーム。彼らの台詞を監修してくれたのは、このゲームのイラスト担当にしてガチの広島県民であるむかいかわずさんです。
私も、伊達に広島に通ってない(もっと言えば、むかいかわずさんの話し方を6年くらい聞いてきたので覚えてしまった)のである程度はわかるのですが、細かいところでどうしても「あれ? ここって何て言えばおかしくないんだろう……?」という点が出てきて難しかったですね。後述しますが、シニア世代モブキャラとかの台詞になると、どうしても私ではわからないところもありました。言葉って奥が深いですね
ちなみに私の好きな広島弁No.1は「さえん」です。劇中で薫が使ってる用法とはちょっと違いますが、残念なことがあった人を慰めるときに「そりゃ、さえんかったねえ」という感じで使われるのが好きです……
登場するグルメについて
今でも意外なのですが、このゲームに登場する食べ物の中で一番反響があったのが、がんすでした。
「お好み焼きやもみじ饅頭みたいな有名どころだけではなく、ちょっとマイナーな食べ物も紹介したい」という気持ちからお出ししたものですが、予想以上に「美味しそう」「食べてみたい」というお声をいただき、驚いています。
「花梨の食レポが上手い」と、とても光栄なお言葉もいただきました。全部自分で食べてみて考えた甲斐があったと思いました笑
別記事でも紹介してますが、このゲームに登場するグルメは、ほとんどが銀座にある広島県のアンテナショップでお買い求めいただけます。
お近くの方はぜひ行ってみてください!
オンラインショップもあるので、お取り寄せもできますよ。
東京要素について
忘れがちですが、このゲームは、東京が舞台でもあるんですよね。
とにかく濃い広島要素に対し、東京要素はあまりにもふわっとしています。なぜなら私が東京に行ったことがほぼ皆無だからです……
ただ、ヒロインの出身地として一番無難なのはやっぱり東京かな?と思ったため、そのように設定しました。
せめて地名だけでも……と思い、入れてみました。
大学時代の花梨は、東京郊外にある実家暮らしだったのですが、就職後は杉並区阿佐ヶ谷でひとり暮らしを始めています。実家にいては気軽に薫に会えないから、というのもあるかもしれません。
ちょっとでもおかしくないようにしたかったので、都民の相互さんや、当時東京に住んでいたむかいかわずさんの弟さんに「極端な例かもしれないけどヒロインが六本木とかに住んでたらリアリティがないし、若い女性がひとり暮らししてそうなエリアとかあります?」と聞いてみました(笑)そのときに得られたエリア情報の中で、一番ピンと来たのが阿佐ヶ谷でした。
リアル阿佐ヶ谷にも機会があれば、行ってみたいですね。
余談ですが、東京オディエットアモという私の超お気に入り乙女ゲーシリーズ(私がノベコレを知るきっかけになったゲームです)があり、その中に登場するヒロインの義兄は六本木のタワマンに住んでいます。大企業のCEOという設定の彼なら全く違和感ないですな。
オディアモはこのOPの時点でセンスしか感じない!!!
とってもオシャレでスタイリッシュなゲームなので、ぜひチェックしてみてください!!
あのポスターに書かれている文字は……
いろんなところでお話した気がしますが、制作後半になって、大人の事情でシナリオ差し替えをする必要が出ました。詳しくはこちら
要約すると「広島にある某有名な神社を登場させることが、残念ながら権利関係で不可だった」です。↑の記事にもありますが、「具体的な名称さえ出さなければ……」という見解を得ることができました。
ただ制作初期、むかいかわずさんが考えてくれたこのゲームのロゴには思いっきり鳥居が入っており、今からそれをなかったことにするのも……名称さえ明示しなければ、本編にそれっぽいものが出てきてもいいのかな……?と話し合った結果、東京駅に「実物とは微妙に異なる」鳥居のポスターを登場させました。
おわかりでしょうか。左上にかすれた文字で、何か書かれているのを。
実はここには、「これは例の鳥居ではない。心の目で見るのだ。」という文言があります……(笑)
薫と花梨が写真を撮ってもらうシーンも、本当は海に浮かぶ鳥居をバックに撮ってもらうはずでした。幸い、以前宮島で撮影した浜辺の写真がすごくいい感じだったため、それに助けられましたね……
シナリオ担当、実はスポーツの知識皆無
本人もこう言ってるように、薫は筋金入りの広島東洋カープファンです。
広島を舞台にする以上、この街と強い結びつきのあるカープのことはスルーできないのではないか? そう思い、2回目の行先選択の中に、マ〇ダスタジアムへ行く流れを作りました。
しかしシナリオ担当(私)は、テレビでスポーツの試合やオリンピックやっててもよくわからないからろくに見たことがないし、そもそも自分自身がスポーツやるのも大の苦手(文系にステータス全振りしたような学生時代でした)という……その上、私の実家は阪神ファンです。2023年、AREのアレは私もうれしいと思いました(笑)
薫のカープへの思い入れについては リアル広島に生まれ育ったむかいかわずさんの体験談や、ネットで得た知識をもとに、自分なりに解釈して作り出したものなんです。本当に何も知らなくて、何ならマ◯ダスタジアムだって、昔からあるものと思っていました……(※実際には2009年にできています)
その前にあった旧広島市民球場についても、「広島の人たちにとってとても大切な場所だった」と聞いて、何とかシナリオ中に組み込めないかと思い、薫がよく通っていたという設定にしました。
カープが生まれた経緯を知って胸が熱くなったのは事実ですし、本当のカープファンの方にも共感してもらえるものになっていればうれしいな、と思います。
BGMについて
前項目からの流れになりますが、マ〇ダスタジアムのシーンで流れている曲は、ヨハン・シュトラウス1世のラデツキー行進曲です。私も好きな曲です
当然ですがカープの公式テーマソングを流すわけにはいかないので(笑)、じゃあ何にするか?となったときに むかいかわずさんから「ラデツキー行進曲は?RCC(中国放送のこと)野球中継で昔から使用されてたから、地元民プレイヤーならニヤリとできるかも。クラシック曲だし、著作権切れの曲なら使っても問題ないんじゃないか」と提案があり、決定しました。
↓の動画で4:54あたりからはじまります。
そしてもうひとつ……2回目の行先選択で、本通商店街に行った場合。
ゲーム中のTipsにもありますが、本通商店街は、中四国エリア最大規模のアーケード商店街です。おみやげ屋さんやアパレルショップ、ゲーセン、グルメ、カフェ、本屋さん、100均、ドラッグストア……何でもあります。
街頭インタビューの現場にも、よくなっていますね。
私はこの本通商店街が大好きで、何度も足を運びました。募金活動してたスラィリーに近づいたらものすごい力で頭をなでられたのもここでした
本通商店街には、公式テーマソングがあります。
それがこちら。「幸せのプレリュード」
優しい気持ちになれる曲です。初めて聞いたとき、むかいかわずさんに「なんか、すっごくステキな曲が流れているね!!」と言ったところ、あった返答は「もう今までさんざん聞いたわ。」でした
さて、このシーンで流れるBGMですが、マ〇ダスタジアムのときと同じで、公式の曲を流すわけにはいきません。最終的に、雰囲気がちょっと近いかな?というフリーBGMをお借りすることに。ただ、どうにかして「幸せのプレリュード」を思わせる要素を盛り込めないかと思い、章サブタイトルに歌詞の一部を引用しました……
それ以外のBGMについても、お借りしたのはステキな曲ばかりです!
本当にどの曲も大好きなのですが、特に気に入っているのは、花梨と話していてカープの話題に発展したとき、薫が食い気味に反応するシーンでお借りしたこちらです。中毒性がすごい
タイトル画面はもともと、ときメモGSシリーズみたいにBGMなしだったものの、やっぱりさみしい気がしたのでBGMをつけることにしました。お借りしたのがこちらです。切なくも優しくあたたかなサウンドで、表現したい世界観にぴったりだなと感じました。
お借りした曲はプレイリストにまとめましたので、「このBGM気になるけど、何て名前の曲なんだろう?」というときなどに、ぜひご活用ください。
いただいたFAご紹介
ありがたいことに、たくさんのFAをいただきました。
坂さんより
こちらは、坂さんの企画に応募(?)して描いていただきましたが、あまりにもゲームの雰囲気を体現してくださっている&クオリティが半端ないため、ご紹介します。それもそのはず、坂さんはなんと広島のご出身なんです。再現度が高いのも納得ですね!!!!
実はこのイラストをいただいた瞬間、薫のボイス実装を目指した作業中で、しかもちょうどこのシーンをテストプレイしていたため、衝撃が走りました!!!!!
改めて、ステキなイラストを描いていただき、本当にありがとうございました。坂さんはマドロミメモリーズというシリーズを創作されています。個人サイトを引用させていただきますので、ぜひのぞいてみてください!!
さむいそらさんより
skebでさむいそらさんにリクエストし、描いていただきました! ありがとうございました
ふたりの間の優しい空気感が伝わってきて、、好きです😭
さむいそらさんは「コイサクカガミ」「うさぎユニバース」など可愛らしくキュンとできるゲームを制作していらっしゃいます!!
以下、シナリオ核心のネタバレを含みます
ネタバレ注意!!!!!
プレイ予定のある方はご注意ください
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このゲーム一番のネタバレについて
といってもまあ……ヒロインが新幹線の中で見ている、夢という名の過去回想に出てくる謎の少年の正体が薫であることは プレイヤーにはバレバレなんですけどね。隠す気ゼロの伏線
「ふたりが実は、過去に出会っている」という超王道なやつ。私このパターンが大好きで、制作が決まった直後に薫と花梨の出会いは絶対これで行こう!!と決めていました。私の考えたシナリオがいかに胸アツかをむかいかわずさんに語ったところ「ただの早口オタク!」と言われました。草
まあそれは置いておきましょう。初めて出会った場所で、今度こそ本当の意味で想いを通わせたふたり。エンドロール後も、遠く離れながらも定期的にデートをし、着実に絆を深めていました。
交際3~4年目くらいになり、そろそろプロポーズを計画していた薫ですが、その頃未曾有の事態が世界を襲います。そう、COVID-19です。
花梨のモノローグではサラッと触れられているものの、実際には相当苦しい期間だったんじゃないかと思います。私はゲームでは語られなかった番外編もたくさん書いていて、一瞬「2020年頃ふたりが会えなかった頃の話も書いてみようか」と思ったのですが、どう考えてもしんどさしかないので保留中です
そしてエピローグには、それすらも乗り越えた薫と花梨が、真新しい結婚指輪をはめて、笑顔で登場します。
ふたりは今、思い出の詰まった宮島で結婚式を挙げようとしています。薫の両親や兄も、新しい家族になった花梨を大切にしてくれるはずです。また花梨の両親も、あのとき平和記念公園で出会った優しい男の子を、これからは息子として愛してくれることでしょう。
And they happily lived ever after.
ふたりはきっと今この瞬間も広島で、仲良く暮らしています。
薫の兄について
前項目でも少し触れていますが、プレイヤーさんから結構人気だったのが、おまけに登場する薫の兄です。そういえば名前を考えていない薫より6歳上で、不動産の営業をしているという裏設定があります。
薫の背中を押してくれるような同性のキャラがいたらいいなという気持ちから、彼は生まれました。むかいかわずさんがキャラデザも考えてくれて「薫とは対照的な、明るいスポーツマン系の兄ちゃんにしよう」となりました。
おまけのモノローグでも語られていますが、薫は家庭環境が複雑だったため、何かと寂しい思いをしていました。そんな薫にとって、兄はもっとも身近な理解者であり、頭の上がらない存在でもあります。花梨を一途に想う薫を、誰より応援してくれていました。ふたりが結ばれて一番喜んだのは、きっと彼でしょう(笑)
ちょっとかわいそうな設定にしてしまったので、また彼が救済されるような番外編を書けたらなと思っています。花梨とも会わせてみたいですしね。
その他モブキャラについて
宮島で写真を撮ってくれる老夫婦の台詞が印象的だった、という感想もちらほらいただきました。ありがとうございます!
地元民プレイヤーの方からは「宮島で会う夫婦の広島弁が完璧だった」というコメントもいただきました。実はここの台詞、私が最初書いたものから、むかいかわずさんによる大幅な添削が入りました(笑)薫の台詞に関しては、あまり修正がなかったのですが……やっぱりそこはネイティブが強かった。
あと、私が気に入っているのは本通商店街で出会う、薫の高校時代の同級生・ハルヤとタクミです。薫のことをあだ名で呼んでいるのは、おそらく彼らだけです。
「乙女ゲームの攻略対象の友人が、主人公と絡むシーン」がすごく好きで、自分のゲームでもそれをやりたいと思った結果、このシーンが生まれました。薫曰く「あの頃からよくしゃべる奴らだったけど楽しかった」とのこと。お調子者なハルヤとタクミに対し、薫が世話を焼くポジションだったのかなと思っています。気のいい彼らは、仲がよかった薫のことを、ずっと心配してくれていたようですね。ふたりはきっと、薫と花梨の結婚式にも出席してくれることでしょう。
一瞬しか出てこない人物ではありますが、この子も印象に残っています。
お好み焼き呼び方問題のシーンで薫をフォローしてくれる、山口県出身の女の子ですね。実は彼女の設定として「地元が同じ中国地方ということで親しくなった薫に好意を抱き、この場面でも"薫によく思われたい"という打算がどこかにあったが、薫が花梨しか見ていないので諦める」というものを考えていました。が、乙女ゲームの攻略対象に他の女性キャラが絡んでくること自体が人を選ぶこともわかりきっていたのでやめました。とはいえせっかく考えた設定なのでここに公開しておきます……
最後に、花梨の両親(というか、父)について。
回想シーンで「(旧)広島市民球場でカープの試合を見たかった」と発言しているように、花梨の父も薫と同じく熱心なカープファンで、そこがある意味シナリオの肝にもなっています。
花梨の両親はゲーム中では立ち絵もなく、ほぼモブのような扱いですが、番外編コミックではがっつり登場しています。
コミックに登場する花梨父が素敵だったので、掘り下げたくて小説も書きました。こうやって自創作の世界が広がっていくのは楽しいですね。
BGMについて(ネタバレ編)
狙ってやった結果とはいえ、お借りしたBGMのタイトルとシーンが絶妙にリンクしたんだ!! ってことを言いたいだけの項目です。
こちらは、平和記念公園にて、薫が例の真実を花梨に明かすシーンで流れる曲です。本当に「実はね……」ですね。しみじみと心が温かくなる一曲。
そしてこちらは、一日の終わりが近づき、いよいよ薫と花梨が離れるシーンで流れる曲です。どちらかというとラスボス戦の前で仲間がどんどん脱落していき最終的に主人公ひとりが残る場面を想定して書かれたのかな……という印象がありましたが、合わせてみるとすごくしっくりきました!
おまけ
イラスト担当・むかいかわずさんより
「キミまで700km」をプレイしてくださった全ての皆様、ありがとうございます。ナナさんが努力して書いたシナリオを自分の絵やデザインといったスキルでいかに魅力を上げられるか、ということを第一に考え制作に関わってきました。賞をいただくことができたのも嬉しいですが「イラストがお話の雰囲気に合っている」と感想の中にあり「やってよかったな」ととても思いました。
広島は人口の転出超過が全国で最も進んでおり(2024年時点)「若者が魅力を感じない街」「閉鎖的な街」なんて声も最近地元で囁かれてますが・・・縁もゆかりもない和歌山人のナナさんが広島の魅力を知ってくれて「キミナナ」を作り上げたように、地元民だと気がつかない魅力を秘めた街でもあると思うので、本作をきっかけに広島に興味を持ってくれる方が増えたら自分もとても嬉しいです。
「きまぐれシャノワール」のゲーム版も、ナナさんがいま一生懸命制作に励んでいます。自分はファンタジーものはあまり詳しくなく、初めて学ぶこともかなり多いですが・・・「キミナナ」と同様、ストーリーを盛り上げられるようなビジュアルを作れたらと思っています。今後とも当サークルをよろしくお願いします🙇
おわりに
ノベルゲームコレクションの存在を知ったばかりの頃、上述の東京オディエットアモもそうですが プレイし「面白かった!!」ということをシェアすると、制作者さんがとても喜んでくれ、その流れでゲーム制作者の相互さんがどんどん増えていきました。
制作者さんたちの交流する様子を見ていて、次第に「このやさしい空気感、すごくステキだな。」と思うことが多くなりました。そして「私もみんなの仲間入りができたら楽しいだろうな」とも。
「だけどゲーム制作なんて夢のまた夢だ」とずっと思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。何でも最初に思うほど、難しくなかったりするんですよね。自分の考えたストーリーに立ち絵や背景、BGMがついて、ゲームという形になっていく様子を目の当たりにする喜びは、何ものにも代えがたく感じました。
キミナナ制作中は大人の事情によりシナリオが差し替えになったり、私のポンコツミスのため申請を3回却下になったりしましたが(うっ頭が……)、なんとか公開できたとき、本当にたくさんの方々からお祝いの言葉をいただけたことが、いい意味で衝撃でした。「何て暖かで優しい世界なんだろう」と強く思いました。
今こうして制作者として、ティラノゲームフェスのフィナーレを迎えられたことを、とてもうれしく思っています。
話はそれますが、私はTGF2023とほぼ同じ期間に放送されていた朝ドラ「ブギウギ」を初回からずっと見ていました。
なぜかうまく表示されてませんが
YouTubeのリンクを貼っています
朝ドラといえばもちろんかなり歴史のあるコンテンツですし、身内が見ていたこともあるので存在は知っていたものの、自発的に視聴したのはこれが初めてです。なお見ようと思った理由は「ヒロインが私の好みで、推せると思ったから」です。(笑)
歌手であるヒロイン・福来スズ子が劇中、いろんな壁にぶつかって乗り越えていくのですが、その中で創作者としても考えさせられる台詞がたくさん出てきました。
私が一番印象に残っているのは、ヒロインが少女歌劇団に所属していた頃の、憧れの先輩による「お客様は現実を忘れるために私たちの舞台を見に来ているのだから、一瞬でも現実を見せてはいけない」というものです。
私も視聴者として大好きだった先輩は、残念ながら病気で早逝してしまいますが、その言葉はヒロインの中でずっと意味を持ち続けていました。
もちろんスター歌手の福来スズ子と、しがないフリーゲーム制作者の私とでは全然違いますけど(笑)、ゲームをプレイしてくれる方もきっと、現実を忘れたいという気持ちがどこかにあるのではないかと思うんです。
なので、我々の作ったゲームでプレイヤーさんがちょっとでも心を明るくしてもらえたり、元気になってくれたら……制作者としてこんなにうれしいことはありません。
TGF2023も、ブギウギも、終わってしまって悲しい!
すっごく、ズキズキワクワクな半年間でした。
でも、私にとっては、むしろこれからが本番です。
何といってもTGF2024(仮)では、一番思い入れのある作品「きまぐれシャノワール」で参戦できるのですから!
このゲームは、私が初めて完結させた小説が元になっています。
長編マルチエンドだったり、主人公が高校生だったり、魔法や異世界の王国が出てきたりと……前作(キミまで700km)ではできなかったことがたくさんできて、私も制作が楽しいです。
シナリオとしても 笑い・涙・青春・友情・恋・闇・魔法・夢・そして勇気と希望……私の好き要素をぜんぶ詰めたゲームになっております。キミナナと同じく(というか原作通り)、イラスト担当のむかいかわずさんとタッグを組んでお届けします。どうぞご期待ください!!!!
最後になりますが、こんなに楽しい場を設けてくださったノベルゲームコレクション運営さん、ゲームを遊んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。せっかくなのでこちらにも、薫からの伝言を掲載しておきます。
これからも楽しくゲームを作っていきます。
来年度のフェス(あると思いたい)も楽しみにしています。
私はゲーム制作者になってよかったです。
書けば書くほど物足りなくなり、最終的に10000字超えになって戦慄していますが、最後までごらんいただき、本当にありがとうございました。
このゲームを楽しんでくださったみなさまが大好きです😘
ななほしサミット/ナナ