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「キミまで700km」のシナリオ差し替えについて

シナリオ担当のナナです。
昨日もお伝えしましたがこのたび、タイトル通り、自主制作フリーゲーム「キミまで700km」のシナリオを一部差し替えることになりました。
簡単にいうと、劇中に出てくる実在スポットの表現を、一部曖昧にしました。そのため具体的な名称を書いていませんがお許しください。
なおヘッダーは内容とはあまり関係ないですが、原画のむかいかわずさんが頑張って作ってくれたコンフィグ画面です。可愛い!

その経緯

当初は「広島に実在する観光地にも行けて、プレイヤーさんに旅行気分で楽しんでもらう」というコンセプトで進めていて、そのように宣伝もしていたと思います。

発端は、劇中に登場させたい(自身の撮影による写真背景込みで)と思っていた神社について調べていたら
「権利関係がとても複雑なので、アニメなどの舞台にはなかなかなっていない」
「写真を使用したいのであれば、審査が必要になってくるため、写真掲載許可申請書を郵送しなければいけない」
といった情報が目にとまったことです。

「確かに神社仏閣って神様や仏様が絡んでくることだし、権利関係は大事なことだよね…………」

よく「二次創作は公式が黙認してくれているから、隠れてやらないといけない」と聞きますが、こういう話になるとまた事情が違ってくるというか……「このまま進めるのは危険だな」と感じました。
制作中のデータではすでに登場させていたのですが、かなり心配になってきたため、その場面をスクショなどで先行公開するのはやめることに。
さらに調べていく中で、見つけたのがこちら。

求めていた回答がここにあった……。

プロの漫画家さんと、私のような同人ゲーム制作者とは立場が全然違うとは思います。
けれども、この漫画に描かれているように、神社側の意向が全てですし、それは当然のこと。
私も何度か「ゲームが嫌い」と言われる幻想が脳裏によぎりました(笑)
とてもわかりやすくて面白い漫画なので、皆さんよかったら一度読んでみてください! そして引用の許可をくださった川崎順平先生、本当にありがとうございました!

そして申請へ

この時点では(ネットの情報を見る限り)「イメージを損なうことや、営利目的であることがまずい」という印象を受けたため、
「利益は一切発生しないし、たくさんの人に広島の魅力を伝えたいという思いで制作しているので、イメージを壊すようなことは絶対しない!」というのを強調すればいいのかな?と思っていました。
とにかく聞いてみないと始まらないと思い、なるべく丁寧に申請許可書へ記入。可能であれば画面サンプルが確認できるものがあるとなおよいとのことだったので、開発中画面スクショを印刷したものも込みで郵送したのが4/3です。
そして先方からお電話があったのが4/5。早い。
はやる心を抑えながらご担当者さまのお話を聞いてみると……

「結論からいうと、許可が下りなかった

「決して内容に問題があるわけではないし、コンセプト的にはむしろうれしく思っている。が、肖像権などの問題で、どうしてもインターネットでの公開ということになると承諾を出すことができない」

「条件付きでも難しい」


すごくご丁寧に説明いただいたのですが、私の脳内では「許可が下りなかった……許可が下りなかった……許可が下りなかった……」とご担当者様の言葉がリフレイン、「企画倒れ」のネオンが点灯し、「少しサークル内で相談したいんですが……またお聞きしたいことがあればもう一度お電話してもいいですか?」と言うのがやっとでした。
というのも、シナリオの根幹にかかわるシーンで登場するスポットのため、ここでいいお返事を得られないともはやプロジェクト存亡の危機になってくるからです。

公式(?)の見解

私が放心状態になっていたところ、原画担当のむかいかわずさんが「せっかく頑張って作ってきたんだし、もう少し詳しく聞いてみよう」といって、私に代わり再度問い合わせてくれました。
先方の見解としてはこのような感じでした。
おそらく同じような問い合わせをさんざん受けてこられたのか、かなり慣れてる印象でした……

●当サークルのゲームの内容については全く問題ない、むしろ広島の魅力を伝えたいというコンセプトについてはとてもありがたく思っている

●しかし、利益が一切発生しない非営利目的であろうと、肖像権があるので、こちらとしては承認することは、申し訳ないができない

●ただ問題なのはあくまで「固有名詞を出したうえで、実際の背景が出てくること」。名称そのものを出さないで、「雰囲気は近いけど微妙に違う」という風にするということもできる。つまり、特定の場所であると明言しない。

●こうやって実際に申請してくれるケースはかなり少なく、もういろんなところでめちゃくちゃ無断使用されてるのも把握してる。ただそれ全部に対応するのは現実的じゃないから、現状黙認せざるを得ない

●法人より個人の方がどうしても対応が厳しくなってくる。なぜなら法人は会社でビジネスだから下手なことできないけど、個人だと好き勝手されかねないから。(法人を商業、個人を同人と置き換えるとかなりわかりやすい)

●重ねて言うけれども内容自体に全く問題はなく、良いと思うし、このような回答になってしまい申し訳ない。

か な り 勉強になりました……
そして今なら、先述の川崎順平先生の気持ちが、もう痛いほどわかります。(ご対応いただいた方への感謝の気持ちも含め)
我々の思いを尊重した上で丁寧にご説明いただき、「こういった方法であれば」と代替案まで出してくださったご担当者様、本当にありがとうございました。
当初のコンセプトからは少し外れるにしても「予定通りゲームを公開できる」ことが本当にうれしかったです!!! 感激のあまりつい「昨年からこのために生きてきたので」と言ってしまった笑
何気に無断使用(商用含む)が認識されてるというのが衝撃的でした。私も今回の過程で「これはやばくないか?」というのをいくつか見かけましたが……。何なら私も最初の頃のビジュアルが引っかかりそうなので取り下げようかなと思ってます

最後に

かなり長い記事ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。
ゲームは調整に少し時間がかかりますが、その分良いものをお届けしたいですし、安心して公開するためにももうしばらくお待ちいただけるとうれしいです。
そしてお忙しい中今回ご対応くださった神社のご担当者様、我々の思いをとても汲んでいただき、心の底からうれしかったです。また広島に行くことがあればぜひ参拝させていただきたいです。
本当に本当にありがとうございました!!(泣)