見出し画像

まほろば


「倭(大和・やまと)は国の真秀(まほ)ろば 畳(たたな)づく青垣 山籠れる大和うるわし」


(読んでて、あれ?ってなるかもだけど、私が間違えた箇所がありますね。スミマセン。でもそのままにするね!)

ぼーっとしている時、口から言葉が溢れることがある。
どこかでは聞いたことや、見たことがあるのであろう言葉たちだが、何故その時にこぼれたのかは解らず、そして、たいてい、私はその言葉の意味を理解していない。

部屋が寒いな、静かだな、夕飯は鍋にしよう、あの言葉達は何を語っているのかな、工作をしよう、今朝の夢はなんだかなぁ、人間ってなんだろう、体が疲れてるな、苔撮りたいな…………………などなど。目の前の画面を通り越し、思考は上の空。

「まほろば、ねぇ…」

まるで何かが懐かしいみたいに、口が動く。
その後すぐに

「まほろばって何?」

となる。

そして調べた結果、古事記に載っているとされる歌が出てきたのでトップに貼ってみたりした。
倭建命(ヤマトタケル)作らしい。

歌を初めて見た私は空目して「山籠もれる」を「山龍もれる」と思った一瞬。
そしてなぜか、山龍の言葉に納得して『あぁ山も龍も昔は共にあったのだ』と幾重にも重なる薄墨色の山々を思い描いた。その後きちんと目を通し、
籠であったか、いやいや、恥ずかしい。となった。

ヤマトタケルかぁ。
私は『ヤマタノオロチ』のお話が大好きで、祖母に買ってもらった絵本を何度も読んだ。
「ヤマトタケル」といえば「ヤマタノオロチ」なのだ。ちなみに、歴史的なことはすっぽ抜けている。
お話の何が良いって、日本のオロチだの、ウワバミだののナガモノは、みーんなお酒が大好きで、すぐに酔っ払ってしまうところである。
実は首を落とされるヤマタノオロチを、少し可哀想だなと思っていた幼い私。
なのに、体内から出てきた草薙剣はカッコイイと思っていた。
ヤマトタケルについてはお酒運び頑張った人と認識していた。
ヤマトタケルは力押ししなかったから、ヤマタノオロチに勝てたのである。人間ってことだね。

《!!追記!!ヤマタノオロチを倒したのはスサノオノミコトだったー。なんでヤマトタケルと思ったのって、スサノオノミコトが取り出した草薙剣はヤマトタケルに渡った?から?らしい。》


真秀ろばとは「素晴らしい場所」とか「理想の地」という意味らしい。
豊かだが恐ろしい山々の合間に、そこはあったのであろう。

私は薄墨で描いたような山々が見える土地に住んでいる。
大抵の人は見飽きているようで、というか、山の顔など気にする人が少ないのだが、私はなんど見ても心の奥が動く。
美しい山々。

しかし、遠くを見れば土色が目立つ山もある。
今生きている場所が、どれだけの山を削り取って出来たのかと、胸が痛むことがある。
そうでもなければ人々が生き延びられなかったであろうことも、いまこの世にある事も生まれては来なかったであろうことも、勿論解っているが、やはり深い山のまた山奥は必要なのだ。


口から何気なく溢れた言葉は、そんな事を私にこうして書かせたのだった。
果たして、今の世は「真秀ろば」と胸を張って言えるのだろうか。

あぁ、なんとも。
なんともなぁ。



ここまで読んでくれて有難うございます。
どうか、あなたも、偶にでいいから山々から流れるものを感じ取り、大切にしてください。

この記事が参加している募集

サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。