『あー…油断した…』バイオレットエヴァーガーデン劇場版の話
何を今更。
金ローで放送されたのは11月である。
『バイオレットエヴァーガーデン劇場版』
私はそんなことも知らずにいた。
夫が録画していたのをおもむろにつけたのだ。
夫は眠いからと途中で布団へ行ってしまったが、私は折り紙なそんぞ折りながら、美しいバイオレットを眺め『こんな綺麗で強い子は現実にはいないよね』などと思っていた。
2021年に金曜ロードショーでアニメが放送されるまで、私は作品名はしれど、バイオレットエヴァーガーデンを観たり、読んだりしてこなかった。
その時の感想がこれだ↓
周りの人たちが記事を書いたのも読んだし、ネット記事も読んでいて、そこから感じ取るものが素敵な事もわかっていたが、何故かすっぽ抜けていた。
私は、人間同士の心の感覚を捉えることは上手いようだ(友達談)が、同時に何処かでセーブをかけているところがある。
感受性が豊かだからと気を使ってくださる方も中にはいるのだが、実に冷徹に、切り分けることを得意としている。
特に自分のことに関しては心底冷めていることが多い。
たとえ、作品や他人に心揺さぶられそうになっても、必ずもとの位置に戻る。
そんなに時間はかからない。
ところが、今回。
前回、感動したものの、上手くセーブ出来たし、バイオレットエヴァーガーデンが感動を生むものだということを周りからもよく知っていたしで、完璧に油断したのだ。
途中でネタバレまで読んだ。
ネタバレまで読んだのだ。
それなのに。
溢れだしたら止まらない涙。
たぶん、たくさんの人がそうだったのだろうが
止まらないにも程があった。
大抵、涙が溢れてもお話が終われば、本を閉じるようにその世界は閉じていく。
そこで感情の切り替えが上手く行くのだ。
ところが
油断していた為、同調しすぎた。
終わってから30分くらいの間、ポタポタと零れ落ちる涙は止まらなかった。
感動したとか、そういうのより、同調である。
おかげで私はこっそりと脱衣所にいき嗚咽を漏らし、さらには自分を「大丈夫よ。これは、アナタの気持ちじゃないわ。だから、いいのよ。そんなに泣かなくても…」と宥める羽目になった。
悲しいモノに同調し過ぎたら大抵これでいいのだが、私は嬉しい時や愛おしい時の涙の抑えどころを知らなかった。
そう、知らなかったのだ。
溢れては零れ、言葉にもならない、そんな想いを私自身は、知らなかったのだ。
だから、同調してしまっても、止め方も、宥め方も、この想いがなんなのかさえ、わかるのにわからなくて、涙のだけが床に落ちていくのだった。
この涙の止まらなさの極めつけは、過去の私が、10年以上前の私が書いた言葉を思い出した事かもしれない。
その後の言葉は忘れたが、私の中でこれが呼び起こされて、さらに深く何かが潜り込んだ。
だけれど、これも、やはり私の創作的心の詩だったから……私がこの経験をしたわけじゃない。
ぶつける誰かだけが埋まらないままに心が揺れる。
喉まで出かかった言いたい言葉を、一体誰に?
でも、伝えたくて、ずっとずっと、大切にしまって、すごく感謝してて、それでも本当は足りなかった……本当は、ほんとうは、
そう、現実の私的には当てはまる人が誰もいないから、気持ちの持ってきどこがなくなってしまったのもどうしようもなくて、涙はとまらないままだった。
だから、仕方なし「アナタの気持ちじゃないよ」と自分を宥めるしかなかったのだ。
「有難う」
作中に何度も出るその言葉こそ「愛してる」なのだろう。
出会ってくれて「有難う」
一緒にいてくれて「有難う」
優しくしてくれて「有難う」
生きていてくれて「有難う」
あなたといられるこの時に「有難う」
「愛してる」というのは、本当に、ここぞって時に出てくるものなのかもしれない。
そんな事を思う。
いろんな「有難う」がある。
けれど、有難うって、とても人間らしいと思うの。
感謝って、人間らしいと思うの。
それが人同士の愛し方のひとつ。
有難うは文字でも、言葉でも、手を握るのでも、伝わるし、どの国にも「有難う」に通ずる言葉がある。
作品の中の「有難う」は丁寧に愛が織り込まれていたと私は思う。
人間の感情は実は受け取るのは疲れる。
すごく疲れる。
普段は弾いてるから。
良い事も悪い事も、私の中にはあまりなくて、強いものは弾くようになってる。
こればっかりはなってるとしかいいようがない。
その中で端っこを掴んで丁寧に読み解いて、世界に流してるのに、いやぁ、今回は油断しすぎた
というか、かなりビックリした。
忘れてる私に響いたのかな。
まぁ、今の私には関係ないわけだから、体力と精神力を使って疲れた。
いい作品だと思うよ。
とても美しくて
とても人間らしくて。
という、バイオレットエヴァーガーデン劇場版をはじめて観た私でしたとさ。
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