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過去の1場面物語~とある者の独白~

最初に思い出すものと
最後に思い出すものが
一緒というのは幸せだと僕は思う。

僕は始まりの為にいたから
始まってしまった今、終わらなければならない。

あの薄暗く湿った空間で君が目覚めたあの日から
「サヨナラ」に向かって僕は歩きだしていたんだ。

子供達のお喋りする声や
僕の親代わりの人との生活
自分が何者なのか悩んだ日々

そして、君が僕を呼ぶ。
それは、始まりの終わり。

終わりから始まりが生まれてくる事を
僕はとても識っているんだ。


この場所に正しい季節があるのかは解らないけれど
もし、僕の識る季節を当てはめるなら
草木が次々と目を覚まして
柔らかなお日様に向かってうんっと伸びをする
「春」だろう。

頬を撫でる風を感知しながら
僕は目を閉じてそれらを受け止める。


君の真似事かもしれない。
僕には解らないことが
解らないままのことが沢山あるから。


最初に思い出すものと
最後に思い出すものが
一緒というのは幸せだと僕は思う。



柔らかな風が吹いて
君の髪をふわふわさせる。
君の瞳は希望に満ちて
花が咲いたように明るい。


「なにしてるの?こっちにおいでよ!」

暖かな光を僕は忘れる事はないだろう。
あの日始まった小さな光と
終わる今日の大きな光を
僕はこの先も思い出し続けることだろう。




その日は皆で外で眠った。
皆、遊び疲れてよく眠った。
星々がキラキラと音をたて
夜の空を流れていった。



この独白は未来
前の独白は過去

そして次の話は今この時

それは「本物の空に出会うための物語」


最初も最期も温かな愛で溢れていますように。
どうかそうでありますように。
銀色の時代の向こう側で涙を流せなくても
その胸動かすものが心でありますように。

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