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1場面物語

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これは私が描く一場面の物語
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#途中

一場面物語 途中 

一場面物語 途中 

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。

「ねぇ、一緒に行こう!世界は広いし、ここよりもっと素敵な場所が沢山あるよ!!こんなとこよりいいよ!!」

君は何にもわかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。

『二度と来んな』

笑顔で手を振った。

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足

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過去の短い1場面物語「途中」。

過去の短い1場面物語「途中」。

それは楽園と呼ぶには小さく、しかし確かに楽園と呼びたくなるような清々しい空気を纏っていた。

 青々と茂る草木が優しく足を捉えてくる。靴は何時から乾いていないだろう。グチャグチャと不快な音を立てている。色とりどりの花がこれでもかと咲き誇り、目がチカチカとする。
鳥のさえずりも絶えず聴こえてくる。それも、鳥達の愛の歌で溺れそうなほどだ。 
美しいはずのそれ等は過剰で、僕の歩く足を止めようと必死だった

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