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2023年2月の記事一覧
一場面物語『サイドᗷ +』ふみ
「ふみはさ、俺のことちゃんと好きじゃん。」
資料をとめる作業を黙々こなしていた私の向かいに座った司はそんなことをいう。
私はチラッと、顔を上げて司を軽く睨む。
「俺の顔がどうだの、なんだのじゃなく、俺のこと好きでしょ?」
まるで独り言のようにそう言う。
私は作業する手をとめることなく、その、独り言に応える。
「うん」
「だから、ふみがいいんだよ。」
私は軽くため息をつく。
「とんだ告
連続1場面物語。 『サイドᗷ 』カナタ
熱気に包まれる体育館。
わけもわからず盛り上がる新入生。
いつ練習したんだよって言いたくなるほど
揃った合いの手の同級生達。
あっという間に散る桜の花が珍しく遅咲きで
大きめの窓の向こうが優しい薄紅色の光にそまっている。
どんなスポットライトより綺麗だと思った。
少しだけ冷える昼のステージで
俺らは何処よりも熱い場所にいた。
きっと世界の中で一番熱かった。
真ん中で飛んで跳ねるアイツは楽しそ