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【作品レビュー】性別の枠を越えて大切にすべきものとは?

こんにちは!江森奈々です。


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男の子は強くなきゃだめ?

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「男の子は強くなきゃだめ?」
ジェシカ・サンダーズ/文
ロビー・キャスロ/絵
西田佳子/訳
すばる舎
2022年4月21日刊

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君という男の子は世界に一人しかいない。それって実はすごいこと。それなのに男の子はこうでなきゃいけないと思うことはありませんか?と作者は冒頭で読者に語りかけます。スーパーマンのように強くなきゃいけない、男の子らしい服装をしなきゃいけない、スポーツをしなきゃいけない…など、世の中には「男の子」という性に対して様々な固定観念があります。でも、そんな枠に縛られず、「君らしくいれば、いいんだよ」と伝えています。 

一人一人得意、不得意があるのは当たり前で、誰かと比べる必要もありません。自分らしさをすべて受け入れ、好きになることが最も大切なのだと語ります。そして、自分を好きになるために具体的にどんな行動を取ればよいのかも提案してくれています。

例えば、自分の身体を好きな人を扱うように大切にする、自分の好きなところを書き出す、自分への感謝を伝えるなど。また、身体が何を欲しているのか、その声に耳を傾けること、直感が与えてくれる危険信号を周りに知らせること。自分の中にあるどんな感情にも蓋をせず向き合って、自分なりに表現することも有効です。こういった「セルフケア」の手法は、子どもだけでなく大人も日々健康で幸せな生活を送るために欠かせないものです。

後半では日本におけるLGBTに関する相談窓口の情報も掲載されています。助けが必要な時は伝える勇気を持つことが大事と作者は呼びかけます。

現在、日本においてLGBTQの割合は人口の約3~10%いると言われています。「男の子」「女の子」という性の枠にとらわれない新たなあり方が受け入れられつつある中、様々な課題も浮彫になってきているが実情です。

一人一人が声をあげ、自分らしさを大切にすることで、周囲も自分らしさを大切しようと思うきっかけになるかもしれません。小さな行動でも、それが波紋のように全体に広がり、世の中を変化させるきっかけとなっていくのです。

自分の性に悩み、自分を好きになれずにいる子どもたちが、自分をもっと好きになって表現して生きられるように。この絵本に作者が込めた沢山の力強い応援メッセージをより多くの子どもたちに受け取って欲しいと思います。

巻末には作家兼ソーシャルワーカーであるジェシカ・サンダーズさんと、カラフルな色使いに定評のあるイラストレーター、ロビー・キャスロさんお二人のお写真も載っています。そのステキな笑顔からも勇気をもらえます。

親世代や教育に携わる方たちもこの絵本を通じて、性について、自分を好きになることについて語り合うきっかけに繋がればとも思います。

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