私の旅路 No.1
あるとき、私は旅にでていた。それは、「みえない世界を廻る扉を見つけてしまったから」かもしれない。
最初は、気味が悪かった。暗く、ジメジメとした重たい雰囲気だったから。怖くなり引き返そうと、身を反転したとき、何か崩れる音がした。とっさに逃げられないと直感した。恐る恐る、ゆっくりと前に、足を踏み出した。そして、扉を見つけた。正直言うと助かると思った。この場から抜けられると思い、藁にもすがる気持ちだったからだ。何もかもが不確かであり、徐々に言葉は暗号化してきていた生活に、区切りが見えたと思った。
-でも、その扉は開いてはいけない” 魔の扉 ”だった。
私は、引き戸に手をかけた。凄くつめたい。驚くほど、手先が痛いと感じるくらいに。扉の先は、闇だった。でも、此所にいるよりきっと良いと思い飛び込む気持ちで入っていった。薄暗く、ジメジメとした肌を伝う不安感と鎖に巻かれたような不自由感が襲ってきた。「嫌だ。嫌だ。助けて。」と必死に叫ぶ気持ちは不安感の中では息ができなかった。私は、絶望の中にいるようだ。言葉が消え、気持ちははじけ、目には見えなかった。
そこからは、苦痛だった。慣れない世界に旅人は苦い顔をした。
ときに、雨のように泣き、風のように時間は走り、日々を過ごした。またある日は、花のように顔をお日様に見せ、笑った。慣れない世界は、複数の空間を交差しひとつの大国でできていた。
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