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読書記録□我が家のヒミツ

大好きな奥田作品の個人的ベストヒット🙌🙌

✒️:奥田英朗
📕:我が家のヒミツ

大好きな奥田さんの
愛すべき家シリーズ第三弾🏡

その中でも本作にダントツ心を動かされました。
私が捉えた『我が家のヒミツ』のテーマは
「許容」と「前向きな諦め」

当たり前だけど挫折は誰にでもある。
受験や昇進など人生の転機を伴う大きな挫折もあれば、
自分にしか分からないプチ挫折も。
実は後者の方が厄介(と思う)。

日々の小さな出来事が自信を削いで、自分への落胆を積み重ね疲弊していく。
目に見えた失敗でない分正解の選択肢が見えなくて、
自身の気持ちと折り合いがつかずに延々と苦悩。
且つ自分の中だけでの挫折が故に、他者からの気配りを受けることもできない。
言われなければ分かるはずないし当然!
…とは理解していても
つきまとう承認欲求。

作中でも、
妊娠が望めなかったり
ライバルとの出世競争に呆気なく破れたり
自身の才能の価値が簡単に下がっていったり
…ドラマティックな展開を伴わずとも訪れる挫折。
そこで現れる第三者の存在に救われる。
その人たちに共通するのは
「大小の挫折を経て自身を捉え、見栄を張ることなくそこに居てくれること」

何を説かれた訳でもないのに、その人の姿勢や選ぶ言葉から気付きを得て
置かれた状況と自身の気持ちとの折り合いをつけられるように。

心無い対応をスルーしたり
反の合わないライバルを認めたり
大切な人に献身することで一旦自身から離れたり

対他者へはもちろん、それと同時に自身への許容や諦めをきちんと肯定すること。

憎き相手を認め許すという苦行を手助けしてくれるような魔法の言葉を
「正雄と秋」にて主人公の奥様が残している。

-
誰にでも人生があるし、
バックグラウンドがあるし、
血の繋がりがあるってこと。
-

この言葉には大いに影響を受けた。
感情を乱された時冷静になる為の、おまじない的に使おうと思う。

改めて奥田英朗さんを尊敬✨✨

そもそも自分にも周りにも期待しなければ
挫折も失望もないけどね…
それはそれでつまらない。

おともは夏旅行みやげの雷鳥の里☕

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