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映画「ある男」を観て

映画「ある男」を観ました。

2022年最高の映画納めでした。

キャストが豪華

妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝のメイン3人はもちろん、
柄本明さん、真木よう子さん、清野菜名さん、小藪さんなど…しっかりとした俳優さんばかり。魅せつけられた2時間でした。

どの人もしっかりとその人を生きていて、本当に素晴らしかったです。
この作品に力を入れていることがよくわかります。
知名度がある=実力がある、ではありませんが、力の入れ具合がよくわかりました。

個人的には、仲野大賀の使い方が本当に好きでした。
めちゃめちゃ贅沢。写真だけでも伝わる人柄と、ここまで観客の中で勝手に作り上げられた人物像と対峙する数分のカット。あそこに仲野大賀を持ってきたキャスティングが素晴らしい。

鮮やかな伏線回収

「鮮やかな伏線回収」としか言い表すことのできない鮮やかさ。

最初の絵画がああ回収されるとは。最後のシーンは「おぉ」と感嘆の声と鳥肌が立ってしまいます。あの絵画は作品中で回収されるだろうと思っていましたが、それでもはっとしてしまう鮮やかな瞬間でした。
3人目、ねえ。谷口さん。

序盤の車中でキスするシーン。あのシーンすごく違和感があったんです。
何があったのかいまいちわからない感じ。
…ここも回収されましたね。
ここははっきりと鮮やかにではないけれど、こちらが勝手に補える作りがとても素敵でした。語り手の過保護さは観客にとって疎ましいこともあります。観客の想像力を信頼してくれる作品が大好きです。

演じ分け

キャスティングの豪華さともつながるのかもしれませんが、この作品、どのキャストもすごく大変だと思います。
柄本明さんの怪演は素敵でしたね。狂気的。素敵。
妻夫木聡さんの心ここにあらずとでもいうような雰囲気も、「在日」と言われた時の表情や「帰化しました」と答える時のちょっとしたこわばりも。時折見せる「良き父親」の面も素敵でしたね。時折。急に怒るところも、理解はできるけど、突然の怖さがあってぞっとしました。
安藤サクラさんの「離婚した女性」の表情と「子持ち恋人」の表情も「母親」の表情も「未亡人」の表情も「文具屋」の表情も。同一人物が与えられた「役割」によって見せる顔が変わる感じが出ていて、とっても素敵でした。違うことで同じ人間であることがよく伝わる感じ。

何より窪田正孝さん…
何人演じました…?何歳の年齢を行き来しました…?
「怪演」ですね…
素敵な俳優さんだとは思っていたけど、今までよりも私の中の評価がグッと上がりました。窪田さんの魅力が全世界に伝わってほしい…
これからもいろいろな表情を見せていただきたいです。



以上が簡単に言語化できる範囲です。
もっともっと言語化できない何かがこの作品の魅力だと思います。
見ている間、何度も胸が苦しくなって、今もどこか息苦しさを覚えています。非常にエネルギーを使う良作でした。

少しはこの作品に向き合えたところで、今日は終わりとします。

ご覧いただきありがとうございました。

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映画感想文

ケーキが食べたいです。今はモンブランが食べたい気分。