本当の強さ/インサイドヘッドを観て
こんにちは、Nanaです。
ディズニー・ピクサー作品「インサイド・ヘッド」をみました。
ピクサーもすごい作品を作りましたね。
こんなに直球に人間の感情について描くなんて挑戦的すぎる。
主人公となる人物をライリーという11歳の少女にすることで、ピクサーらしく子どもも楽しめる雰囲気の作品に昇華しています。…が、なかなか子どもには難しい話のような気がします。
実際、公開当時小学生(ライリーと同い年くらい)の妹と父が観に行ったのですが、2人とも「うーん」といった反応でした。
その反応を見て、当時の私は観ませんでしたが、少し成長した今、私好みの作品のような気がしたので、やっと観ました。
結論から述べますと、私は好きです。
上にも述べましたが、この作品はとても大人向けの作品だと思います。
自分の頭の中にいろんな感情がいて、どんな時にどんな感情になるのか、ということを理解するのは子どもにはなかなか理解し難いことです。小学校高学年になると少しずつ理解できる子どもも出てきますが、平均的なことを考えると(反抗期ではない)高校生がやっと理解できる内容なのではないかと思います。
私も本当に理解したのかと言われれば、まだまだな点があるのかもしれないです。ライフステージによって理解度・解釈・感じ方が異なる作品なのではないかと思います。
ですが、ピクサーはすごいです。自分たちが社会から求められているのは子どもも楽しめる作品であるということをしっかりと認識した作品づくりを行なっているように感じます。「どうせ子ども向けでしょ?」と言われることを望んでいるような作品づくりです。
主人公のライリーを11歳児にしたことだけでなく、色遣いやキャラクターデザインでしっかりとパッと見は子ども向けに仕上がっています。ディズニーやピクサー作品のあるあるですが、日本版のタイトル・ポスター・広告はこの作品を子ども向けだと思って見に行った方が不憫です。…おそらく、そういう風に観に行った親子の"親"側をターゲットにした作品なのだと思いますが。
この作品を通して、子どもはこんな風に考えているのかもしれないよ?ということを伝えたかったのかもしれません。
反抗的な態度に見えても、本人もそんな風な態度をとりたいわけではなく、困っているのかもしれない。そしてそこに寄り添えたとしても簡単には本人の困り感は解消されないかもしれない。
そんなことを親御さんに考えてもらうことが、この作品と一つのメッセージだったのではないかと思います。
ここからネタバレ祭りです
この作品の大きなメッセージの一つは「悲しみは共感する力」ということだと思います。
私はこのメッセージが大好きです。
作品内でもそうだったように、「悲しみ」という感情は良いものだと認識されていないことが多いです。出来れば悲しいなんて思いたくないし、悲しい出来事は少ない方が良いと思っている人がほとんどだと思います。私も悲しい気持ちにはなりたくないです。
でも、悲しみを知る人はとても強い。
悲しんでいる人に寄り添えるというのは、すごい能力です。
弱さを知っている人が本当に強い人である。これは私が大切にしている言葉です。弱い人に寄り添える人でありたいから、私も弱い人間でありたいと願うほどに。そんの私の信条にぴったりと合う作品でした。
それから、私は「喪に服す」ということも大切にしています。文字通り、誰かが亡くなったときだけでなく辛いときは辛い、悲しいときは悲しい気持ちを尊重することが大切だと思っています。誰かに話を聞いてもらったり、1人になったり、たくさん泣いたりしてしっかりと休み、自分の感情に優しくしてあげましょう。
カナシミの存在はそんなことにも合致していたように思います。
大前提のようにビビリやイカリが生命維持のために必要なことだと描かれていたのもとても好きです。
こちらも不要だと言われてしまいがちな感情のはずなのに、感情は全部ぜんぶ大切だと描いてくれたことがとても嬉しいです。感情が全て必要だと気づくことで、どんな自分も間違っていないのだと思え、自分に優しくなれます。
だからこの作品は子ども向けではないけれど、わかるようになるまで何度も子どもたちに見てほしい作品だなと思います。
最後にこのシステムトラブルを経て、操作室がアップデートされます。
その描写が大好きです。
困難を経て、人は変わります。そんなことを表してくれています。
また、子どものころは1つの出来事に対して1つの感情と、単純な思考だったけど、成長することでいろんな感情が混在する複雑さを持つようになるということをこんなにも簡単に表すことが出来るのかと感動しました。
そしてこのアップデートを機に思春期というボタンが増えるのがいいですね。この描写のために11歳という年齢にしたのか!と思いました。
ライリーの操作室はこれからもアップデートを続けるのでしょう。これからが楽しみですね。
エンドロールも素敵でした。
ライリーやパパ、ママだけでなく、みんなにこうした操作室があるんだよ、と伝えてくれるようなエンドロールでした。しかも人間だけじゃないよ、と。
このメッセージがあることで、マイナス(とされる)感情やごちゃごちゃした複雑な感情は特別なものでも悪いものでもないと、強く伝えられるような気がします。だから、あなたも思い通りにいかなくても、自分の本当の気持ちがわからなくなってしまっても大丈夫だとはっきりと伝えられました。
まだ見ていない方はぜひ一度見てみることをお勧めします。
きっと自分を大切にすることができます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Nana