七緒 らいせ

神と紙が大好きです。 ふだんは詩を書いたり哲学を勉強したり。たまに本を作ったりデザイン…

七緒 らいせ

神と紙が大好きです。 ふだんは詩を書いたり哲学を勉強したり。たまに本を作ったりデザインしたり。

マガジン

  • 真夜中のひとりごと

    夜、即興で書いた言葉とか、いろいろ。

  • 本の装丁を考える

    自分で本をつくるときに考える様々なこと。

  • 「わたし」に関するいくつかの論考

    「わたし」という、よく分からない存在のことを少しでも知るために、少しでも愛するために、「わたし」と「あなた」の周辺のことを書き溜めています。

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本の装丁を考える-詩集編-

こんばんは。 今回は【文学フリマ東京36】で頒布する詩集の装丁について、その思考をまとめていきたいと思います。 1.詩集という「空間」 そもそも、詩集ってなんでしょうか。 詩は言葉で出来ているのでしょうか。 詩はどこに存在するのでしょうか。 最近私は、「詩が本になる」意味について考えています。 詩は、私の頭の中にあるだけでは「存在する」とは言えないでしょう。 目に見える形になって、人と共有されてはじめて、詩はこの世界に生を受けます。 では、文字だけでインターネ

    • 「詩は何からできているか」

      生活のなかで言葉をつかっているとき、ふいにそのひと連なりが、まるで聖書の一句であるかのような、有意味性と象徴性を帯びることがある。 あくまでそれは会話の一部分であって、遊離して存在することも、紙上に書き留められることもない。 しかし、そのような言葉に出会ったとき「詩がそこに現前する」という事態に直面したような気持ちになる。 ***** 「詩を書いています」と、自己紹介の際に言うことがある。 それはほとんど、「言葉になんらか意識を向けています」という自己主張でしかない

      • 拡大する世界のこと、拡大する文学フリマ東京のこと

        先日、文学フリマ東京38に参加してきました。 これで出店するのは12回目、詩集は10作目になります。 上の引用は、そこで頒布した10作目『諦観の庭』からの一節です。 詩集のテーマは 「拡大する世界のこと、神から見放された世界のこと」 おそらく、なかなか共感を呼ばないテーマで、これまでの詩集の中で一番分かりにくい内容になったのではないかな、と思います。 ですが、文学フリマ東京38が終わって、何人かの方の文学フリマ東京に対する意見を見るうちに、むしろ今回の詩集のテーマは、

        • 詩を書けなくなったことについて

          詩を書くことは、自分のなかの祈りの力に身を委ねる行為である。 石を通して祈ること、 水を通して祈ること、 星を通して祈ること、 光を通して祈ること、 この世界にあるあらゆるものを通して祈ること、 その祈りの言葉が形をとって表出したものが、わたしにとって詩であったように思う。 この世界のあらゆるところで鳴り響く讃歌に耳を傾けること、 その声と交歓し自らの内面に讃歌を取り入れること、 これらは、世界という編み目のなかに自分の居場所を見出し、その関わりを探る試みである。

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        本の装丁を考える-詩集編-

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        • 真夜中のひとりごと
          20本
        • 本の装丁を考える
          4本
        • 「わたし」に関するいくつかの論考
          1本

        記事

          真夜中のひとりごと vol.20

          なんだろうな、終わりのような明滅のなかで反射角が行ったり来たりするとき、今まで気づかなかった手触りの像が結ばれることって、あるじゃないですか うまく言えないけれど、閉じかけのシャッターの隙間から覗いている現実がきみの首に手をかけるのなら、朝の情報番組が始まったのも悪くないと思える そうすると、結局食卓に鉢植えが並べられていたのって、昨晩来た洗濯機の修理業者の忘れ形見だったってわけ? もしかしなくても、結論は外周の堀に埋めてしまったから、毎秒1000キロで近づいてくる思念

          真夜中のひとりごと vol.20

          横隔膜

          横隔膜が隔てるところを触っていると、そこがちょうど私の上部分と下部分を区切っているような気がしてくる。 上は空気、下は栄養。その二つが無数の管を介して結ばれている。でも明確に交わらない二区分だから、横隔膜が境界線になって、上と下を決めている。どちらも生命の維持に不可欠なものだけれど、空気のほうが上にあるから、やっぱり大事なのだろうか。 横隔膜を押し下げ、大きく一息ついて、考える。 人が自分の意思でもって、自分に必要なものを身の周りに集めているならば、空気はどれだけ好まし

          本の装丁を考える-随筆編3-

          今日も引き続き【文学フリマ東京36】で頒布する本の装丁について書いていきます。 今回は楽しい楽しい「紙選び」編です! 1.前提条件をリストアップする(前々回) 2.中身の特徴を抽出する(前回)3.製本の方法を考える(前回) 4.紙を決める本の作りが決まったところで、次は紙選びです! さっそく紙について悩んでいきましょう!と言いたいところですが、せっかくなので用途別に紙屋さんのご紹介をさせてください。 単行本を開いた時にある、なんか色のついたオシャレな紙、ありますよね

          本の装丁を考える-随筆編3-

          本の装丁を考えるー随筆編2ー

          こんばんは、七緒らいせです。 前回に引き続き、【文学フリマ東京36】で頒布する随筆集の装丁について書いていきます。 1.前提条件をリストアップする(前回)前回は、文学フリマでものを売る際に考えていることをまとめました。 以下からぜひお読みください! https://note.com/nana_0rion/n/n423aa362f5d5 2.中身の特徴を抽出する前項で、前提条件から「ユニークな本を作る」と「発行部数を減らす」という軸を定め、「面白い形の手製本を作ろう!」とい

          本の装丁を考えるー随筆編2ー

          本の装丁を考えるー随筆編1ー

          こんばんは、七緒らいせです。 今回は【文学フリマ東京36】で頒布する本の装丁について、お話したいと思います。(装丁といいましたが、正確にいうと本の造りの部分の話です。) 私は基本的に中身と外側、全部自分で作ってしまう人です。中身を書いて、レイアウトして、表紙をデザインして、などなど。 そうすると、文学フリマのブースで「執筆も装丁も全部自分でやったんですか?」と割と頻繁に声をかけられます。 おそらく、文学フリマに出ている人の大部分が「文字書き」の人たちなので、デザインまわ

          本の装丁を考えるー随筆編1ー

          真夜中のひとりごと vol.19

          『相互的な愛』 わたしの愛をあなたにあげます 100あるうちの20をあなたに 80残ったうちの15をあなたに あるいは 1ずつ均等に、100人の人に わたしがわたしを愛するのには 100の愛が必要なので わたしを愛しながらあなたを愛することはできない 結局愛は分けられない 愛は分たれない わたし個人の愛はわたししか所有できず 共有されず 共感されない 普遍的な愛の蜜を吸って あなたとわたし同じ色の愛 見せ合いっこして きれいだねって それだ

          真夜中のひとりごと vol.19

          真夜中のひとりごと vol.18

          ぬるくなったビールジョッキ 居酒屋の隅でわたしたち 騙しあっていたね 結局爪にも触れないまま 心臓の手触りだけ知った顔して 許しあっていたね 賭しあった無数の情 回収されないままテーブルに降り掛かって イカ焼きと一緒に噛み切られた それでもチューハイ飲み干して からりと笑う どうせ失うからね、わたしたち

          真夜中のひとりごと vol.18

          真夜中のひとりごと vol.17

          あなたのてのひらの中 朝のはじまりを見たい パンの焼ける匂い スープの湯気 沸いたケトルの音 握り込んで 胸元にしまい込む その仄暗さ 優しさの中では目覚めない 白熱電球だけが許された部屋 とっておきの饒舌 またとない断絶

          真夜中のひとりごと vol.17

          真夜中のひとりごと vol.16

          「第七惑星の砂漠」 すべての空から砂が降った 公園をひっくり返したみたいに なみなみと 曖昧模糊とした 5時を知らせるチャイム 宛先のないまま ざらざらになって 拡散してった 無音との追っかけっこ 捕まったら最後 ここは天の砂漠だ

          真夜中のひとりごと vol.16

          真夜中のひとりごと vol.15

          薄暗さの中でしか かたちを保てない生き物が 肩を縮こめて 浅い呼吸で 電柱を縫って歩く そんな眩しさに満ちてきた 世界が

          真夜中のひとりごと vol.15

          真夜中のひとりごと vol.14

          ちりぢりになった 雲母のすきま 息づく 無数のせいかつ 呼応して ゆるやかなうねりを生み ひとつの有機体 結晶のもと 守られるのは 幾多のねむり 同化して しとやかに街をつつむ

          真夜中のひとりごと vol.14

          真夜中のひとりごと vol.13

          凪いだ海の真ん中 浮かんでいるのは わたしの子宮 そのうちクマノミの住処になって 深く沈んでいく あるいは藻草に侵食されて 塩を吹いて漂うまま 岸辺でそれを拾った人は 茹でて干して磨いて 自分の心臓に取り付けた 子宮の代わりに心臓が犯されるなら 精液が全身を回って 酸欠になって 動きを止めてしまうだろう だから子宮は海の真ん中 心臓はこの身の真ん中 たゆたうままに みちるままに

          真夜中のひとりごと vol.13